黄猿 v.s. Kowree
UMB2016 一回戦
東京代表 黄猿 v.s. 島根代表 Kowree
今回はUMB2016からこちらの一戦。個人的に雄猿と並んで応援していた黄猿と、今やすっかり本戦常連となった島根のKowreeのバトルです。
[黄猿]
Yeah 一発 心拍数全然
違うフローを オマエにお届け
これが東京 モノホンの方
モノホン どこでやるだけだ今後も
Yeah 東京を全部つけ
どこに各企業 内容どうも
コンボ どうせオマエはオタク
しりとりゲームだろ?
韻踏みのルーツじゃねぇ
[Kowree]
フローはいいけどもっとちゃんと
言葉に意味持たすべき
それじゃ越えられん日々の軋轢
オマエはちゃんと
そういうことだぜ
Yo B-BOYイズムの話
上げてんだよ
心臓を射抜くことが
この日の出る国
まるで東洋のブルース・リーか ブルックリン
フルスイングで 古過ぎだよオマエのフロー
ぶった切ってやるって話だぜ
[黄猿]
どうのこうの ブルース・リー
感覚じゃないだろ感じろ それだけのパワー
知ってる割に結局文字起こし
しりとりゲームじゃねぇ
一句も言う気ないが
俺の方はどこまで響すトロンボーン
知らねぇ 何回本戦
東京 見逃すなこの黄猿をよ
[Kowree]
俺はこのライムにこだわりがある
このライムってのはな
Rapって他の表現との違いは
ライムとこのリズム
だから自分のイズム
それをそう ここに刻みに来てんだよ
新木場COAST 俺は汚れる覚悟
この手のカスと 一緒にすんな
磨いた言葉でトドメを刺すぞ
バックボーン これが俺のスタイルウォーズ
まさにオマエなんて理解不能
ここで死んじまえよ
概要
8小節2本
勝者: なし(延長)
解説
UMB2016 一回戦
東京代表 黄猿 v.s. 島根代表 Kowree
今回はUMB2016からこちらの一戦を紹介します。黄猿対Kowree。黄猿は意外にも本戦初出場となります。
さて、試合の方を見ていきましょう。先攻は黄猿。技巧的なフローというよりも小節に素直に言葉を叩きつけるようにスピットしていて、力強いスタイルのrapになっています。
ビートの雰囲気に合わせてそのようなスタイルになっているのだと思いますが、こうした順応性の高さは彼の武器の一つですね。ハマった時にめちゃくちゃに強いのが黄猿のフローですが、その片鱗を感じさせるパフォーマンスを見せています。
また、バース後半では「しりとりゲームだろ?」としっかりKowreeのスタイルをdisることも忘れず、ビートキープを崩すことなく、ちゃんと内容の方もバトルモードになってます。
一方の後攻Kowree。「フローはいいけどもっとちゃんと言葉に意味持たすべき」と立ち上がりからスタイルのdisで見事に黄猿からのdisに対するカウンターから始まっていることがわかります。さらにその上で「日々の軋轢」と韻を重ね、途中噛んでしまってますが「耳ヲ貸スベキ」までつなげている部分はKowreeの巧さがよく出ています。綺麗ですね。
また、こちらも叩きつけるような言葉のスピットで、ラストの「ぶった切ってやるって話だぜ」のラインなども、黄猿に負けないくらいの気迫を見せ、スタイルの異なる両者ですがバイブスでどちらが上回るか、といった様相の戦いになってます。両者の熱気がスゴいです。
試合の後半に入って双方ボルテージがかなり上がります。特に黄猿は2バース目のバイブスがさらに高まり、2小節ごとに「ヴォー」と叫ぶようなラインが入り、技巧的なrapとはまた違ったスタイルになっています。
対するKowreeは2バース目にスタンス・スタイルに関する内容をrapしていく説明的な展開で、「ライムとこのリズム」との言葉通り、「俺は汚れる覚悟」「この手のカスと」「トドメを刺すぞ」の部分では畳み掛けるようなライミングをビートにハマった形で見せ、会場を大いに盛り上げていきます。
両者ともに温度感の高い状態で2バースを完遂しきったバトルでしたが、判定は割れて延長戦へと決着は持ち越されます。
フローとライミングの対決かに思われましたが、それほど単純な構図ではなく、むしろ自分のスタイルにどれだけバイブスを乗せられるかに勝負の力点が置かれているような展開となっていました。
この黄猿とKowreeの組み合わせはどんなバトルになるのか読めませんでしたが、いざ始まってみるとスタイルウォーズという言葉がピッタリハマるほど双方のカラーが出た興味深い戦いとなっていました。
続く延長戦の模様は以下にリンクからご覧ください。
[UMB2016] 黄猿 v.s. Kowree 延長
※ 採れたての言葉に耳ヲ貸スベキ
RHYMESTER「耳ヲ貸スベキ」よりリリックの引用。
※ B-BOYイズム
RHYMESTERの楽曲タイトル。
※ ブルース・リー
米国で活躍した映画俳優、武道家。
※ 新木場COAST
本大会の開催会場。