[小池潔宗]
乗っときなお客さん
心の中のバイブス開放しな
右に 左 揺れて楽しめ
下から上にブチ上がれ
音の乗り方 ハメる言葉をどこにしようか
考えてるオリジナリティー
その遊び方にこの場も乗っときな
[peko]
暴れまわるのはいいけど
バイブスだけなら俺には勝てない
このビート 俺の独壇場
まるでイかれてるぞ yo
Yo お前が足りてないぜ
シケた花火みたいなもんだな
俺がイかれてる
大阪に持ち帰るぜ 今日はデカい土産話
[小池潔宗]
OK 俺がシケた花火なら速攻乾かそうか
着火ライター 脳内で いい感じに乾燥した
そいつを今ここで出した
ほら砕いた後は好きにしな
吸い込みたいのか?
それとも 部屋の中充満させたいのかな?
[peko]
部屋の中は充満させちゃダメだ
今日は私服警官 たくさん来てるぜ
俺の計算 どんどん上がってけそこらの姉ちゃん
Yo 俺来たから心配ねぇ 最初っから一回戦
俺のrapはガソリンまみれ
アンタのrapじゃ引火しねぇ
概要
8小節2本
ビート: AKLO / RGTO feat.SALU, 鋼田テフロン & Kダブシャイン
勝者: なし(延長)
解説
戦極MC BATTLE 第17章 一回戦 小池潔宗 v.s. peko
今回は戦極17章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。異色の対決。
ビートはRGTO。言わずと知れた有名ビートで、バトルで耳にする機会も増えました。
それでは試合です。先攻の小池潔宗はラガっぽいフローで思いついた言葉をポンポン出していくスタイルになってます。
決して技巧的なrapをするタイプではないのですが、通る声と熱の込もった言葉で不思議とオーディエンスを惹きつけます。
対してpekoはライミングスキルと音楽センスで冷静に対処していく格好で、スタイルウォーズと呼ぶに相応しい一戦になってます。
引用は小池潔宗の2バース目から。「シケた花火見たいなもん」というpekoのdisに対するアンサーなのですが、予想外にいい切り返しを見せていました。
ここからストレートな草ネタに移行していくのですが、その描写や高いテンションにお客さんも大きく反応します。pekoに対して圧倒的に大きく知名度の見劣りする小池潔宗でしたが、この2バース目の巻き返しで流れを完全に掴んでいた印象です。
それにしてもこういうテンションのrapはイイですね。お客さんをうまく巻き込んで会場の空気を盛り上げていく様は見ていて楽しいです。
対して後攻のpeko。小池潔宗のイリーガルなバースに対して「今日は私服警官がたくさん来てるぜ」と諌めるかのようなアンサーで対抗。
細かくライミングを仕込んだりしつつも、最後の「アンタのrapじゃ引火しねぇ」というラインでは「シケた花火」の路線に話題を戻すdisを加えたりと、暴走する対戦相手をよそに文脈を器用にコントロールして冷静にさばいていた感じでした。
pekoはpekoで本来バイブスもあるアツいタイプのMCですが、ディテールの技巧もさすがに巧いですね。
短い尺であっという間に試合が終わるのですが、フタを開けてみれば判定割れて勝負は延長へ。
まだ本調子ではなさそうなpekoだったとはいえ、小池潔宗はめちゃくちゃ善戦していたんではないでしょうか。正直勝ってもおかしくなかったほど2バース目では会場を席巻していたように思います。
彼は決してオーセンティックなrapではなく、かつスキルよりも熱とキャラクターのインパクトが非常に強いMCで、今回の64名の中でも一際異彩を放っていました。ここに誰よりも正統派B-boyであるpekoが初戦でぶつかった訳ですが、そう考えればこのマッチアップがそもそも今日海深いですね。
延長もこの試合に負けず劣らず面白い展開になったのですが、その模様はまた後日記事にしていきたいと思います。