DOTAMA v.s. ふぁんく
UMB2017 FINAL 東京代表 DOTAMA v.s. 大阪代表 ふぁんく 延長
今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPからこちらの一戦。決勝の延長戦になります。
延長前のバトルは以下からご覧ください。
[ふぁんく]
前代未聞の好カード
コイツが優勝して皆感動したいんだ
それを覆すために またも脳ミソをフル稼働しに来たぜ
延長戦でもエンジョイプレイとか まるでガレッジセール・ゴリ
みたいな感じ なんも無いこのほとぼり
ちゃんと 聞いとけ俺の語尾
[DOTAMA]
後半5小節なに言ってっか全然分からないバカ野郎
最低だなクソ野郎
アウトレイジみたく耳に箸ブッさすぞ
ゴメンねヤクザスタイル
スマイルなどは要らないぜ
俺だって上手くビートに乗ってるじゃないか
これフローじゃなきゃなんて言うんだバカ
[ふぁんく]
お前の見た目でヤクザスタイルとか嘘くさい
マジで危なくない?
脳ミソが異常事態 これがrap
コイツのはおしゃべりや…
いやもう おしゃべりとか言うの止めるわ
お前のこと認めるわ
受け止めた上でdisりまくるわ
Yo こっからは楽しくフリースタイル
俺は嫁さん一人 不倫はしないっス
[DOTAMA]
後半4小節 「disりましょ」って言ってたけど
嫁の自慢しかしてない
残りカス みたいなrap
俺は心をここに残します
そして優勝狙いにいく
ふぁんくくん fuck you
みたいなフレーズ言われ飽きてるけど
やっぱり言いたい お前苦痛
[ふぁんく]
嫁一人って言っただけで
嫁の自慢なんかしてないけど
Hey 嫁自慢 してないよ
俺は酒飲めないけど 飲めるZIMA
Yeah Rの相手はCIMAの場合は中々厳しいな
でもお前が相手だと余裕だな
これがラッパーの呼吸だな
[DOTAMA]
「ラッパーの呼吸だ」の意味が分からねぇ
呼吸は人間全員がしてるものでしょ?
よく分からねぇ 嫁の話出すだけで自慢だよ
俺は独り身だからな
だから勝利の女神を今夜嫁にする…
いや違う これ高校生rap選手権みたいでクソだせーわ
[ふぁんく]
勝利の女神 キスするのは俺のこめかみ
「こめかみ」って言いながらここ
指すのが浪速(なにわ)もんの面白いとこ
懐見せてくフリースタイル
俺がふぁんくと言いますお見知り置きを
ってか皆知ってるか この場で言うこと無いか
NAIKAさんみたいにお前が
[DOTAMA]
さっきからCIMAとかNAIKAとか
違う人の話ばっかりしてるぜ
だんだん言うこと無くなってきてるんじゃないすか? ふぁんくさん
こめかみにキス ここ 普通でしょ?
常識がわかってないの
承知の通り 俺がぶちかます押韻
Yeah 優勝は俺の方に
概要
8小節4本
勝者: なし(再延長へ)
解説
UMB2017 FINAL 東京代表 DOTAMA v.s. 大阪代表 ふぁんく 延長
今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPからこちらの一戦。決勝の延長戦になります。
前回の試合に続く延長戦で、かなり拮抗した勝負を繰り広げた中で2戦目に突入していきました。
[UMB2017] DOTAMA v.s. ふぁんく
ビートはややBPMが早めで、ベースとドラムで構成されたシンプルなものですが、これがどちらとも相性がよく、1戦目とくらべるとかなり自由に無理なくrapしている印象でした。個人的にはこの2戦目の方がいいバトルだと思ってます。
それでは内容です。
先攻はふぁんくで、予想通りこの試合は伸び伸びと言いたいことをrapに乗せている感じで、ビートアプローチも完璧。スキルとユーモアを余すことなく詰め込んでます。
これこそみんなが観たかったふぁんくのスタイルではないかと思います。少なくとも私はコレを期待してました。
対して後攻DOTAMA。突拍子もなく怖いフレーズが飛び出しますが、こちらもビートが非常にやりやすそうです。
当然ふぁんくとは異なるアプローチにはなりますが、DOTAMA特有の乗り方というか、地の会話文のように言葉を並べていくあの感じです。
そして着地がこちら。早くもパンチラインです。
スキルフルなrapが続くファンクに対して、DOTAMAの場合は内容面にややアドバンテージがある感じでしょうか。お客さんのツボをつく言い回しがポンポン出てきます。
続く2バース目先攻ふぁんく。個人的にここがハイライトです。
前の試合で「(DOTAMAのことを)rapだと思ってない」と言っていたスキル至上主義のふぁんくでしたが、この延長戦にきてその話題に転回をもたらします。
ここ、ビートにピッタリと寄せて一息に吐き出されていくのですが、それがめちゃくちゃスムーズなフローになっています。
内容的にもユーモラスな調子で「disりまくるわ」と、まくしたてていくこの感じがなんともふぁんくですね。
これです。これが観たかったんです。
さらに続くのはこちらのやり取り。この二人が掛け合いをすると何てことないやり取りでも途端に面白くなりますね。
この試合は全編に渡ってこんな調子で、スキルフルでユーモラスなアンサーがもう息つく暇のないほど飛び交っていきます。個人的にはベストバウトであり、本大会最大のピークがこの試合だと思ってます。
そしてふぁんくはここから「嫁自慢」「飲めるZIMA」と、茶化す調子でライミングへつなげていって、会場に歓声と笑いを起こしていきます。
もうこの辺りは完全にふぁんくの流れになってる感じですね。やっぱりとんでもなく強いです。
さらにライミングを重ねていきますが、もう文脈はよく分からないことになってますね(笑)
ただしふぁんくの独特のリズムは連綿と続いていて、かつアプローチの一貫性とライミングの気持ち良さがあるため、rapそのものは非常にクオリティが高いものになってます。
前回UMB2016で一回戦したのが信じられないほど巧いですね。
続くDOTAMA。「俺は独り身だから嫁の話が出るだけで自慢だ」と内容面ではキッチリアンサーしています。
そしてそんな流れの中でこの着地です。
これ高ラ選、ひいてはその出場MCを広くdisっていくフレーズなんですが、油断するとこういう「爆弾」を投下してくるのがDOTAMAの面白いところではないかと思います。
それも内容的には決して外しておらず、大いに首肯できるラインだったため、個人的にこのラインはアガりました。面白いです。
続いてふぁんく、4本目。「こめかみ」と言っておきながら自分の頬を指してしまったあとのシーンです。
完全なトップオブザヘッドな上、想定外の事態にもクオリティを落とさずしっかり対処していることがはっきり分かりますね。
スキルだけで言えば優勝に相応わしいのは間違いなくふぁんくでしょう。個人的には現時点ではこのふぁんくが日本語でのフリースタイルにおいて最高到達点ではないかという感じがします。
そしてDOTAMAのラストバース。こちらも継続して内容面ではしっかりとポイントを取っていて、ふぁんくの独走にストップをかけてます。
DOTAMAもオーディエンスの空気感を掌握しているようで、メッセージの強弱を絶妙に調整しつつ、沸かせるところではしっかりと沸かせてます。
着地ではしたたかにオーディエンスの方へアピールしていて、もう何がなんでも優勝したい、という心境が表れてる感じでした。
そしてなんとこの試合も結果はドロー。両者とも出し尽くして完全燃焼していたにも関わらず、判定は見事に割れていました。
今回の試合は両者のキャラクターやスキルが無駄なく出ていた感じで、かつやり取りのかみ合い方もスムーズな非常に面白いバトルになっていました。
個人的には本大会でも有数のベストバウトです。まだご覧になっていない方はぜひ映像でチェックしてみてください。
続く再延長の模様は以下のリンクからご覧ください。
[UMB2017] DOTAMA v.s. ふぁんく 再延長