[UMB2017] DOTAMA v.s. ふぁんく 再延長

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DOTAMA v.s. ふぁんく

UMB2017 FINAL 東京代表 DOTAMA v.s. 大阪代表 ふぁんく 再延長

今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPの決勝、再延長戦の模様を取り上げたいと思います。

延長前の試合は以下のリンクからご覧ください。

[UMB2017] DOTAMA v.s. ふぁんく 延長

[DOTAMA]

仕事ももらった おカネももらった

名誉もプロップスももらったが

俺まだもらってねぇもんがここにあるから

今日 やって来たんだ

ごめんね自分のネタの使い回し

お前の顔面タワシ で擦り付けてやりたいけど

すでに頭がタワシ 丸くなる私


[ふぁんく]

今さっきバースの入り

まだ一言目も発してない時点で

お客さん「ワーッ」ってそれ違くない? さすがに

ちゃんと言葉聞いてから反応しろやって思う

それに対してあなたはどう思いますか? DOTAMAさん

僕はあくまでそう思ったんですけれども

いや そういうとこガッついて来な

なにしてるん自分?


[DOTAMA]

確かに即興にこだわりたいんですけど

君が13年間かけてやってきた僕のパンチラインを

同じくらい残してないっていう証拠です

俺それ歌っただけです

お客さんが沸いたのは勝手ですー

自由でいいじゃん キミも言ってたじゃん

俺はやりてぇんだよ

だが今日の今日だけは優勝させてもらうぜ

もう100万なんかぶっちゃけ焼いて捨ててやるわ


[ふぁんく]

No, no, no 俺は絶対求めない同情票

俺のフローを調理した上でお前の鼓膜をジャックする

俺はあまのじゃく yo ただのカス

俺はラッパーだから しょうもないラッパーじゃない奴の話は 聞かない

お前はさっきからずーっとお客さんに向けて

「優勝さしてくれ」「優勝さしてくれ」って遠回しに言ってるだけ


[DOTAMA]

だから呂布カルマん時も同じだったけど

同情票じゃねぇんだよ

呂布さんも俺もやることやってきたんだよ

だからそれここで言ってるだけなんだよ

お前は何も残してねぇんだよ

音源かっこよかったよ そこだけは認める

ニガリくんよりは良かった

でも全然やっぱり影響力 与えてないぜ

底辺の僕 俺が慰めてあげるよ ボク


[ふぁんく]

TV出てるからそんな大きなこと言えるけど

10年前の自分に同じことが言えるか?

ラッパーとして自分の信念に 疑わずに言えるか?

10年前の売れてない自分に

「お前なにも残してねぇだろー?」って ダッサくないそれ?

HipHopはなんにも持ってない 持たざる者が力持つ音楽じゃないの?

ていうかさっきから

「言ってるよ 言ってるよ」ってお前バース中に全部言え


[DOTAMA]

全部言ってるけど

お前がなんか無かったことにして

ペチャクチャ ペチャクチャ なんか

詭弁つかってごまかしてるだけじゃないかよ

残したもの残してないんだからさ

「残してませんDOTAMAさんごめんなさーい」

って 言ったらどうなんだよ

あ、「ごめんなさい」じゃないや「あきまへんわ」

DOTAMAのrap 飽きませんわ

知って来たぜ敗北の味 今日は俺の勝ち


[ふぁんく]

ギャグrapで優勝したら一番面白いって

いつかのUMBで言ってたけど

お前ギャグrapじゃないやん

笑わしてるんじゃなくて笑われてんねん

芸人と天然のギャルの違いじゃい これが実力

見とけよ俺は 血筋に刻み込む俺の遺伝子 DNA

FakeなMCは・・・

概要

8小節4本
勝者: なし(再々延長へ)

解説

UMB2017 FINAL 東京代表 DOTAMA v.s. 大阪代表 ふぁんく 再延長

今回はUMB2017から決勝の再延長、DOTAMA対ふぁんくの対戦です。

DOTAMAにとっては2013でのR-指定以来、大阪勢との決勝戦にして再延長で、今回も御多分に洩れずかなりの死闘になってます。

それにしても以前はR、そして今回はふぁんくと、日本トップクラスのスキルを持つ両者とここまで渡り合い、延長を重ねる消耗戦にまで持ち込むDOTAMAはさすがという感じがしますね。

それでは試合です。

仕事ももらった おカネももらった 名誉もプロップスももらったが
俺まだもらってねぇもんがここにあるから 今日 やって来たんだ
– DOTAMA

まず先攻のDOTAMA。この冒頭4小節は前年の自分のバースから丸々サンプリングしてます(笑)

UMB2016 2回戦でのNAIKA MCとの延長戦1バース目のことなんですが、いきなり大それたネタを繰り出すところや、すぐさまそれを白状する辺りがなんともDOTAMAらしいです。

ネタではありますが、その反面偽らざる本心でもあるのでしょう。UMB2011からすでに6回目の本選出場で、決勝戦はこれで3度目。同じ大会へ同じ理由で何度も挑戦する心境というのも冷静に考えるとかなりキツそうです。

バースとしては早速空気をモノにしていくのですが、後半には「すでに頭がタワシ」と、相手の見た目disで着地。ライミングもあるにはあるのですが、どちらかというとユーモアへシフトした戦い方になっている感じです。

続いて後攻のふぁんく。

今さっきバースの入り まだ一言目も発してない時点で
お客さん「ワーッ」ってそれ違くない? さすがに
– ふぁんく

こちらも冒頭は一種の恨み言で、おそらく日本一ストイックなスキル至上主義のふぁんくにしてみれば、rapしないうちから客が沸くような、明らさまにプロップスが先行する試合展開は腹に据えかねるのでしょう。私が同じ立場ならたぶん同じことを言ってると思います。

続いてその話題をふざけた追求していくふぁんく、ライミングなどスキルを魅せる場面はまったくありませんが、「なにしてるん自分?」と漫才のような口調でこちらも流れを掴みにかかります。この雰囲気は関西弁でしか作り出せないでしょう。

続くDOTAMA。ふぁんくの攻撃を「客が勝手に沸いただけ」と切り返していくんですが、続く「自由でいいじゃん」という展開も含めてdisの捌き方が素晴らしいです。

ふぁんくのシリアスなdisは中々痛いところを突いていたはずなのですが、さすがに場馴れしたDOTAMAは対応力が凄まじいです。

もう100万なんかぶっちゃけ焼いて捨ててやるわ
– DOTAMA

さらにこのパンチライン。もう勝ちたいあまりにこんなセリフがバンバン出てくる状態なのですが、意地というか、その気持ちの強さがありありと伺える一節になってます。

俄然ヒートアップしていく展開。後攻のふぁんくの2バース目。

No, no, no 俺は絶対求めない同情票
俺のフローを調理した上でお前の鼓膜をジャックする
– ふぁんく

「同情票」という追い打ちのdisでライミングを切り返していく冒頭の場面。

後半の「フロー・を・調」の部分でも器用に継続しているのですが、改めてその基礎体力を見せつけられます。ここまで綺麗にまとまったライミングやビートアプローチになるとDOTAMAには決して出来ない芸当でしょう。 

お前はさっきからずーっとお客さんに向けて
「優勝さしてくれ」「優勝さしてくれ」って遠回しに言ってるだけ
– ふぁんく

そしてこのラインで着地。ここも非常にドギツいdisになっていて、単に正鵠を射た発言というばかりでなく、この大会にドラマではなくスキルや競技性を求めるオーディエンスにズバスバと刺さったのではないかと思います。

過去10年に渡るバックストーリー込みで考えれば、確かに会場中に「DOTAMA優勝」という機運が高まっていたかに見えるのですが、それを面白くないと感じる向きがあったこともまた事実だったではないかと思います。

つまり元来のアンチDOTAMA派を始めとして、そもそも大会にストーリーを求めない層、つまりこれまでのバックストーリーを知らずに試合の雰囲気を楽しみに来た層や、スター選手の超絶技巧を期待して来た層なども一定数いたものと推測しています。

拮抗した試合展開が続く中、結果的に再延長までもつれているという事実がその証明になると思いますが、ここまでの試合でDOTAMAにプロップス勝ちを許していないということは、来場したお客さんの中にもいくつか陣営があったのではないかと思っています。

雑に噛み砕いて言うと「今年こそDOTAMAに勝たせてあげたい」という一派に対してそれ以外すべて、つまり「DOTAMAにだけは優勝させたくない」派や「ふぁんくのスキルがスゴい」派など、様々な陣営の連合勢力という構図になるんじゃないかと思うのですが、一見乱暴に見えるようで、その実大会の経過をよく説明できるため、私は便宜的にこの立場をとっています。

そんな中での「優勝さしてくれ」というこのdisは、どの立場をとるかを映し出す一種の踏み絵のような役割を果たしたのではないでしょうか。そうした視点でDVDを見直すとまた違った面白さがあります。

なんにせよふぁんくのこのdisは有効打だったと言っていいでしょう。

続くDOTAMA。そんなdisに対して「同情票じゃない」と応戦。

引き合いに出した呂布カルマですが、これはふぁんくがBEST4の呂布カルマ戦で同じく「同情票誘うようなスポ根HipHop」と揶揄したことを言っている感じです。

ここは色々な解釈ができそうですが、「お前は何も残してねぇんだよ」という一節はかなり強めですね。

音源かっこよかったよ そこだけは認める ニガリくんよりは良かった
– DOTAMA

そしてこちら。これは本試合でもDOTAMA屈指のラインではないかと思うのですが、とりあえず笑いました。

バトルの場で対戦相手ではない、第三者のMCを貶めて対戦相手を持ち上げるという非常にアクロバティックな戦術で、こんなことDOTAMAぐらいしかやらないんじゃないでしょうか。かなりダーティーなやり口です(笑)

10年前の売れてない自分に
「お前なにも残してねぇだろー?」って ダッサくないそれ?
– ふぁんく

対して後攻のふぁんく。「TV出てるからそんな大きなこと言える」と言う切り出しからこちらのアンサー。

もちろんこれは「お前は何も残してねぇんだよ」という一節に対する反論になっていて、DOTAMAが気持ちで押してくる分だけ正攻法でのアンサーになってます。

決勝前まであれだけふざけていたふぁんくでしたが、この決勝も再延長にきてシリアスなラインの比重が増えてきた印象。DOTAMAに対して負けまいという想いがrapにそのまま表現されているような印象ですね。

とはいえ最後の「お前バース中に全部言え」など、やはりオチとなる部分はしっかりつけていて、職人芸の染み付いたふぁんくのrapはクオリティの面で非常に安定します。どこまでも気持ちで突っ切るDOTAMAと比較すると、この点はかなり好対照をなしてると言えるでしょう。

そしてそれに対するDOTAMAの反論。

「バース中に全部言え」というラインに対しては「全部言ってるけど無かったことにして詭弁使ってごまかしてる」という切り返しで反撃します。

ふぁんくもマジレスですがここまでくるとDOTAMAもマジレス、後半はもう意地の勝負という感じです。

「残してませんDOTAMAさんごめんなさーい」 って 言ったらどうなんだよ
– DOTAMA

このラインなんてもうゴリ押しで相手に迫るような雰囲気で、技芸もなにもないただの口喧嘩といった様相になってます。それだけ気持ちが先行しているということなんですが、再延長も佳境に来てこの展開は中々アツいものがあります。

ふぁんくもDOTAMAも「勝ちたい」という想いがrapに乗っているのを感じます。そして気持ちの入ったDOTAMAのバースはどこかオーディエンスを引き込む力がありますね。

ギャグrapで優勝したら一番面白いっていつかのUMBで言ってたけど
お前ギャグrapじゃないやん 笑わしてるんじゃなくて笑われてんねん
– ふぁんく

続いてふぁんく、こちらもこちらで自分の信念に忠実に相手を貶めにかかります。

この「いつかのUMB」というは当然UMB2014でのDOTAMA対R-指定のことで、最後に放った「確かに三連覇はスゴいけど ギャグラップで頂点になる方が絶対スゲーんだ」というラインは同試合でも屈指のインパクトを残していました。

[UMB2014] MC DOTAMA v.s. R指定 延長戦

このふぁんくのラインの真意から見えてくるのは両者のrap観の違いで、さすが大阪だけあって笑いを生み出すrapの技芸にこだわるふぁんくに対して、ストーリーやパーソナリティー、その他使えるものはなんでも使ってお客さんを陣地に引き込もうとするDOTAMAという、rapに対するスタンスの決定的な相違がそこにはあるわけですね。

見とけよ俺は 血筋に刻み込む俺の遺伝子 DNA
FakeなMCは・・・
– ふぁんく

そして4バース目ラストのふぁんく。大意としてはスキルを誇示する内容になっているのですが、着地の沈黙の部分は「DNA(ディーエヌエー)」から導き出されるフレーズ、つまり「死んでくれ」が省略されています。

DVDをご覧になった方はご承知の通りで、あえて口からマイクを離して音に乗せなかったふぁんく。あまりにもありふれたライミングであるため、あえて発声しないでも会場は察してくれるとの考えが根底にあるのですが、アツい試合展開だっただけにこういうギミックは割と効果的だったんじゃないかと思います。

このエントリをご覧になっている方には自明のことかと思いますが、野暮とは思いながらあえて解説をしてみました。

そんなわけで最後までスキル・話芸にこだわりを見せたふぁんくでしたが、個人的には非常に好感を持ちました。もはやアウェイと言っていい雰囲気の中で、相手が相手だけに勝利への執着心が徐々に顕在化してきた様が展開から読み取れます。

そしてこれだけ熱かった試合も結果はドロー。勝負は再々延長へ。UMB決勝で再々延長は史上初のことで、今年も例に及ばすの死闘になっていきました。例年に劣らずクソアツい展開ですね。

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