[SAM]
相手誰でも 遠慮すらねぇ
ほら声あげろ戦極だぜ
後攻選ぶわけねぇよ
NAIKAさんの背中見てここまで来たぜ
これがHipHop microphoneが秘密道具
ライム重ね 補強道具
まで沁み渡ってく五臓六腑
[スナフキン]
ねーよ マジ意味ねぇよ
オマエのrapじゃまず眠てぇよ
言葉で警護 打ち込む稽古
俺ならイケイケだ 鼻からイェイヨー イェイヨー
秘密道具 24で回すミニストップ
ぐらいな感覚 事実dopeじゃねぇフェイクなら
まず要らねぇよ
[SAM]
Yo ミニストップ
ローカル学んできたぜ規律・教訓
眠てぇの? ならまぁ寝る子は育つ
悪ぃがチャンピオンベルトはもらう
Yo またもweed飲み干し
流れたB-boy みっともないぞ
ガンジャ? 顔射? 俺は女じゃねぇ
ステージに生死賭けてここまで来てるぜ
[スナフキン]
相手はココって最初に言ったのに
聞いてねぇだろオマエよ
飛ばせテーマを
中指の先につけるペンタゴン, aight?
SAM 俺に勝てよ
なんでむこう向いてんの?
だから言葉で稽古
クソな相手 寝れねぇよ
[SAM]
OK じゃあ前を向いて
牙を剥いて この場一皮むけてくぜ
枯れない花はドライフラワー
15の夜さ尾崎豊
でも 俺は盗んだマイクじゃねぇ
俺は掴んだマイクで走り出す
15の夜に 食らうHipHop
8のケツで決めるブザービート
[スナフキン]
花は枯れる前に刈り取り雌しべ
これがスタイルだ ケジメ
何が盗んだバイク?
盗んだスタイルで普通じゃないっすよ
ホントに苦痛で参る
俺のスタイルを伝えてぇんだよ
心 心 シンクロニシティー
真のプロ意識 俺の背中 キングの錦
飾りに来ただけ
概要
8小節3本
ビート: DJ HOKUTO / 10000 POUND feat. テークエム, HANG & CHICO CARLITO
勝者: SAM
解説
戦極MC BATTLE 第16章 BEST8 SAM v.s. スナフキン
今回は戦極の第16章からこちらのバトルを紹介します。SAM-スナフキンの押韻対決。もう誰もが期待するマッチアップではないかと思います。
この一戦は公式の方に動画も上がっていますので、まだチェックしていない方はぜひそちらも一緒にご覧ください。
それでは内容を見ていきます。
まず先攻は相変わらずハードな押韻ですが、それ以上にビートとの相性の良さが目に付きます。
まずはこちら、この辺りはもう説明不要でしょう。文脈に即した形でストックからうまくプロットできている印象です。巧いの一言。
続いてこちら。これはその前にスナフキンの草ネタをdisる流れがあったのですが、そこから「ガンジャ」「顔射」と横滑りして最後は「生死(精子)」のダブルミーニングで綺麗に着地。
これもおそらくストックからハメ込んだ一節だと思いますが、もうカンペキに時宜を得た運用になってますね。素晴らしいです。
SAMの押韻の連打に次ぐ連打の中でも、これはと思うラインをいくつかピックアップしてみました。
rapのクオリティという点にかけてはもともと安定感のあるMCですが、今試合は特に調子がよく、そのデリバリーがいちいち冴え渡っていたように感じました。
一方で後攻のスナフキン。こちらも押韻が素晴らしく、一定のリズムで押韻を安定供給するSAMと比較して、こちらはフローが多彩です。
要所要所で強めの煽りやdisも挟みつつ、内容面でも起伏のある構成になっているのがわかります。
また、ミクロな点でも「イェイヨー」や「aight?」など、合間合間に入るギミックもアクセントになって、平板になるまいという意図が見て取れますね。
それに加えて「秘密道具」には「ミニストップ」など、内容をコントロールしながら相手の言葉を逐次拾ってるのはスナフキンの方で、SAMがライミングのために話題を大きく展開させても、それらにキャッチアップしつつもプラスアルファを打ち返していっていました。
こちらは最後のライン。1小節1行の均等なペースでしたが、最後のラインは「真の〜」から一息に言い切っていて、かなりせまく言葉を並べていった感じです。「俺の背中 キングの錦」だけでちょうど4拍分でしょうか。
「シンクロニシティー」「キングの錦」と字面で見るとこれ以上ないほどタイトなライミングになっているのですが、外している感じはないものの、ビートキープがややせせこましくなってしまったせいで効果はそれほど上がらなかった印象でした。
そしてこの試合の勝者はSAM。アンサーではスナフキンの方が微妙に押していたかに思いましたが、1ライン1ラインのクオリティと、デリバリーの安定感でSAMの方が勝っていたといった感じです。それにしてもこの大会のSAMは本当に調子がよかったです。
ちなみにこの二人、直後に行われたKOK2017の予選にてご存知の通り再選を果たしています。
公式の動画で確認できるのですが、そちらも素晴らしい応酬の連続で見応えあるバトルになってますね。