[戦極MC BATTLE 第15章] Lick-G v.s. TENGG

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Lick-G v.s. TENGG

戦極MC BATTLE 第15章 1回戦 Lick-G v.s. TENGG

今回は戦極の第15章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

[Lick-G]

まずは戦極 俺のこのメッセージを

しっかりと聞いてくれって話だからよく聞いとけ

韻がどれぐらい固いか

韻がどれぐらい踏めたか大会

そんなシーンじゃ不甲斐ない

だからここでまたも刻みな

オマエの頭とそして客の頭 すべて揺らしながらここに来てるフロー

一発で見せてくだけだ

つまりフロー ここでフロー

またも勝負 頭の回転数が違い過ぎる

俺のスキルはヤバ過ぎる


[TENGG]

HipHopってのは body&soul

打ち込む一発だろ ごきげんよう

ダサ過ぎるぜオマエ 粉砕骨折

その若さにして引退表明

Uh… 迷うフリースタイルダンジョン

埼玉 草加はコンクリートジャングル

Alight? ハスでどんぶり勘定

俺が迷ったのはドルネコマンション


[Lick-G]

残念だったな コンクリートジャングル

東京じゃ一切通用しないぜ おんぶに抱っこ

だからここでまたも頭の回転数が違う

そう このビートの上で分からすだけだから

俺は撤回するぜこの場で 引退宣言

いや 今日優勝するから心配ねぇぜ yeah

だから経験 またも宣戦布告

俺が吸いたいのはカリファクッシュ KK


[TENGG]

俺は埼玉人だから東京のことは知んねぇが

基本的に中指の裏側

腐った表情から 出ちまうインディアンポーカー

てめーみてぇなMCが死んじまうのさ

What’s up? わかる? 俺ならこう

オマエがどう じゃねぇぜ 俺のこと

おんぶに抱っこじゃねぇぜ ギャグ fuck off

踏んだり蹴ったり バッサリ fuck off, aight?

概要

8小節2本
勝者: Lick-G

解説

戦極MC BATTLE 第15章 1回戦 Lick-G v.s. TENGG

今回は戦極の第15章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

Lick-G対TENGGという組み合わせだけ見ても興味深いマッチアップなんですが、このバトルは両者のスタイルの対比で、モロにtrap-likeなビートに対して、両者まったく異なるアプローチでrapしていて非常に面白いです。

基本的にLick-Gの方は要所要所分かりやすいライミングを挟みながらも、それ以外は比較的自由かつ変則的に緩急をつけていて、バース中で小刻みに起伏をつくっている感じです。

韻がどれぐらい踏めたか大会 そんなシーンじゃ不甲斐ない
– Lick-G

これはもう明白にTENGGのスタイルに攻撃しているわけですが、この揶揄する感じがけっこう核心を突いている印象はありますね。こうしたラインをテクニカルなアプローチの中でナチュラルに繰り出せるのがLick-Gのいいところだと感じます。

それに対してTENGGはビートにピッタリと合わせた等速のrapになっていて、トラップに乗せている手前フローとしてはぼったい印象が否めないものの、語気の強弱とデリバリーされる言葉のインパクトでオーソドックスながらかなり頭に残る内容になっています。

Uh… 迷うフリースタイルダンジョン
埼玉 草加はコンクリートジャングル
– TENGG

こちらはTENGGの1バース目。こちらも「言われたらそれ以上に言い返す」という感じでいいスタンスのrapになっています。

相手への攻撃と自身の地元アゲを効率よく1ラインに集約していて、アンサーとして見ても負けてないかな、と感じました。

残念だったな コンクリートジャングル
東京じゃ一切通用しないぜ おんぶに抱っこ
– Lick-G

そして対するLick-Gのアンサーがこちら。TENGGの放った「コンクリートジャングル」を見事に取り込んだアンサーになっていて、フロー主体とは言いながらも相手のお株を奪うかのうような良い具合のライミングです。

腐った表情から 出ちまうインディアンポーカー
てめーみてぇなMCが死んじまうのさ
– TENGG

対してTENGGのラスト。ここはストックだとは思いますが、状況や前後関係としては時宜を得たアンサーになっていることがわかりますね。

また、ラストには「おんぶに抱っこじゃねぇぜ」「ギャグ fuck off」と、こちらも相手の言葉を巧みにライミングに組み込んでアンサーしていて、その高い瞬発力とスキルを見せていたように感じました。

両者のrapスタイルで振り返ってみると、バース全体のリズムやビートアプローチに表情を作っていたLick-Gに対して、内容のインパクトや語気の力強さに緩急を求めていたTENGG、という好対照をなすスタイルウォーズになっていたんではないかと思います。

また、それでも両者とも相手に言うべきことをしっかりと言っている感じで、さらに両者それぞれの主張をちゃんと拾った上でアンサーしており、その点でもかなり見応えのある展開になっていました。 

そして結果の方はLick-Gの勝利。勝因としてはやはりTENGGのライミングに追従しつつも、スタイリッシュにまとまったバースとビートに対して多彩なアプローチを見せていた幅の広さがジワジワ効いていたという印象です。

また、Lick-Gのビートへの対応力は本当に幅広く、決してライミングへ振り切らずとも「フローによる聴こえの良さ」を重視してカッコイイrapになっている点は素直にスゴいと感じました。

一方のTENGGはUMB2015でU-roadを下した時のような調子の良さがありつつも、それを上回るバリエーションを見せた相手に一歩及ばなかった感じでしょうか。

[UMB2015] TENGG v.s. U-Road

ちなみにこの試合も含めて、戦極15章はバチバチでシリアスな戦いが多かった印象があります。

地域色がモロに出る16章や、エンターテインメント色の強いAsONEとの合同イベントになった14章などに比べてみると、なかなかヒリヒリするするガチンコの大会になっているんじゃないかと思ってます。面白いです。

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