[ADRENALINE2015] GOTIT v.s. 掌幻

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GOTIT v.s. 掌幻

ADRENALINE MC BATTLE 2015 一回戦 GOTIT v.s. 掌幻

今回はADRENALINE2015からこちらの一戦を紹介します。パパ対決です。

[GOTIT]

昭和 平成 関係ないぜ

舞台に立てば 皆がラッパー

オマエもそのうち パパになって

俺もパパだぜ

結婚したよね おめでとう

Disることなんかない

無理にdisる 必要はない

ただ言いたいことを言いに来た

茨城のレペゼン 誇りに来た


[掌幻]

俺も結婚… ありがとう

こうやってバトルでまた交わろう

何回やったってアンタとは足りねぇ

無駄なdisり合いなんかしねぇ

ただrapどっちがうめーかだけで決めたらそれでいいじゃねぇか

お互い家族持って

俺はまだガキがいねぇが

ちゃんと幸せな家庭

どっちが男としてかっけぇ

それだけ乗せるタンテ

Hey yo どんどん回してくれ


[GOTIT]

Yeah 回してくれ 言わしたら回るぜ

テンション こんなに集んならアガっちまうぜ

茨城じゃ見れねぇ客を見に来たぜ

だからこそこの場所 俺も足を下ろしに来たぜ

あんま家族の話すると嫌われっから

YASさんみたいに嫌われっから止めた方がいいぜ

だから俺も今夜 ここ一回だけにする

次のバース 言ったら負けるからね


[掌幻]

そういうこと言うんだよな 性格悪すぎるぜ

家族の話アンタから出してきたのにね

揚げ足とるような下らねぇrapは俺はしたくねぇ

家族の話出したら負ける?

家族の話で勝ってやるぜ

病気持ちの妹がこの前俺がしっかりとrapしてるってことを伝えたら

そう もうすぐ余命が1年だった妹も最近退院したってことで俺覚醒

概要

8小節2本
勝者: 掌幻

解説

ADRENALINE MC BATTLE 2015 一回戦 GOTIT v.s. 掌幻

今回はADRENALINE2015からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

8×2と短い戦いですが一気に紹介していきます。

この試合、基本的にはGOTITがテーマの主導権を握っていて、それに対して真っ向からの正論を掌幻が切り返していく、という構図で試合が動いていきます。

例えば1バース目で「オマエもそのうちパパになって」と家族の話題を早くも投下。「無理にdisる 必要はない」とピースな雰囲気でスタート。

それに対して掌幻も完全に同調していて、「何回やったってアンタとは足りねぇ」と、ピースなまま内容も合わせていくのですが、次の2バースから試合は急展開を迎えていきます。

まず先攻のGOTIT。「あんま家族の話すると嫌われっから」とここで方向転換。しかも「YASさんみたいに」というオマケつきです(笑)

こうしたバックボーン込みのこれはこれで面白いのですが、言われたY.A.Sにしてみればとばっちりな感じもします。

この辺りは間違いなくオーディエンスを意識した物言いだと思いますが、掌幻にしてみればハシゴを外されたような格好ですね。「家族ネタ」という話題の制約を受け入れた上で、disを封印して純粋にバイブスの高いワーディングで盛り上げた掌幻に対して、この仕打ちは酷すぎます(笑)

そしてそんな掌幻の2バース目。こちらは「性格悪すぎるぜ」「家族の話アンタから出してきたのにね」ともっともな反論でスタート。

さらにここからがハイライトで、掌幻のかっこいいところなのですが、「家族の話出したら負ける?」「家族の話で勝ってやるぜ」とあえて外されたハシゴを掴んだまま相手をぶちのめしに行く選択をしています。

それで後に続くのが「病気持ちの〜」と身内の話をドラマティックに描写していくのですが、これはユーモア混じりに話題の転換を図ったGOTITに対して完全に主導権を握り返したように感じます。

ユーモアで場を支配しかけていたGOTITの自由にさせず、相手の材料のみを使って気づけばあっさりと流れを取り返した掌幻、素晴らしすぎます。

そんなワケで勝者は掌幻。これが例えば2バース目も相手のユーモラスな転回に振り回されていればこの結果はきっと無かったでしょう。

戦術としてこの2バースは見事にハマっていた感じですね。というか「家族の話で勝ってやるぜ」との宣言通り流れをひっくり返す辺りが面白いです。

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