[句潤]
先攻 1984 レペゼン神奈川代表
子忍の残党
こっから 上げちゃう
じょうを捻り蝶々に変えちゃうような音楽
皆も左右に首振る
[じょう]
1996 みんな 俺様注目
コイツは本当にスモーク
だけど品質中国みたいなもん
だけどもさっきのフローするけど
オマエのコントなんて誰にも見てないよ
[句潤]
同じの見て楽しかったっすか?
造られたrap そんで自然に出ているrap
どっちが食らう? ジャッジメント kickin’ the door 開く
レベルが違ぇ 俺音楽やりに来てるんスけど
一本一本悪口ばっか
あ まだケツ青いまんまだった?
[じょう]
別に俺は悪口なんか 言ってねぇよ
オマエのマネなんかしてねぇ
会場のグルーヴに合わせただけ
ガキに合わせられてんぞオッサン
Hey hey こういうこと
オマエのフローは確かにいいけどさ
この辺のヘッズも三日坊主
[句潤]
ガキはガキ でももう
超ヤバいってヤツはいっぱい
いるけどもオマエは超枠外
俺はマジでまぁ食らわない
無い無い さっきもしゃべったら
俺がしゃべったじゃん それパクリって言うんだ
俺がレクチャー one
I’m the No.1
今日のワンダーランド
I’m a No.1
[じょう]
さっきからフローばっかりしてるけど
それ以外なにもないじゃん
オマエさっきの試合「屍を越えて来た」って言ったよな?
予選の屍越えてきた?
俺はもともと去年まで葬儀屋
つまり リアルに屍越えてきた数が全然違うってコト
[句潤]
Yeah 争うとこそこっスか?
仕事頑張ってくださいよ yeah
俺はここで争ってんだ
マイクは1本 俺の実力で上へと
上昇 頂上
いつも通り絶好調 登場
I’m a 045 ストリート
I’m a 「句」に「潤う」
Check da hero
[じょう]
やっぱり同じことばっかり
言ってるけどその辺どう?
「句」に「潤う」前で 筋通す
コイツ突き通す マジでぶち殺す
Hey, オマエの言ってる晋平さんもビックリしてるぜ
出してくださいよ紋所とことん
とんと見たいなこのコント
概要
8小節4本
勝者: 句潤
解説
UMB2016 BEST16 神奈川代表 句潤 v.s. 大阪代表 じょう
今回はUMB2016からこちらの一戦です。リクエスト頂いた皆さま、ありがとうございました。
句潤対じょうという組み合わせです。じょうの方はUMB本選初出場となりますが、すでにこれまでの地方予選や高校生ラップ選手権などでその実力は広く知られています。UMB本選、トーナメントも佳境を迎えたタイミングで非常に面白いマッチアップだと思います。
まず先攻は句潤。序盤の1バース目は立ち上がりゆっくりで、手数は少ないながらもしっかりとビートを掴んだフローを見せていきます。無難な内容ながら、先の展開に期待をもたせてくれるような感じですね。
続いて後攻のじょう、1バース目。「1984」と始まった句潤に対抗するように、「1996」の出だしから同じようなビートアプローチでバースが始まります。じょうの方が語気に力が入っているように見えますが、句潤との年齢差や本選での経験値の差もあり、緊張も多少あったかもしれません。
フローの切り口は同様ですが、あくまで自然体でrapする句潤に対して勇んで前のめりに向かっていくじょう、という感じで、両者の違いは序盤からかなりハッキリと表れていました。
続いて2バース目。「同じの見て楽しかったっすか?」と追従しにくるじょうを冷たく突き放していく句潤ですが、ここから一気にスイッチが入って、「ドア開く」の部分まで一気に疾走します。
この緩急の切り替えが彼の良さですが、今回もその特徴がよく出ていて、ノリのスムーズさに会場からも大きく声が上がります。
また、後半の「まだケツ青いまんまだった?」というdisまで、完全に勢いづいた形でバースを展開していくですが、disの内容もどこかに行ってしまうくらいに気持ちのいいrapをしていて、会場の空気を一気に掴んでいきました。
軽快なビートキープやどこか無邪気な雰囲気のdis、そしてあるべきところにしっかりとピークが来るバース全体の構成、と句潤の特徴がすべていい方向に作用している印象です。強い。
それに対するじょうの2バース目。「会場のグルーヴに合わせただけ」から始まり、「ガキに合わせられてんぞオッサン」と切り返していきます。
多少「減らず口」のような印象はありますが、先ほどの句潤のdisに対して年齢差を逆手にとって反撃していくあたりは上手いですね。場慣れしてるだけあって、どんなdisでも柔軟に切り返せる柔軟性を持ち合わせている感じです。
さらにバース後半の「2009くらいの鎮座dope」という部分。もはやフローの代名詞とも言える過去のチャンピオンを引き合いに出して句潤のフローを貶めにかかります。鎮座についても「その名前を出すだけで声が上がるMC」の一人ではないかと思いますが、しっかり「三日坊主」とライミングで締める辺りがじょうらしいですね。
そして先攻句潤の3バース目。「ヤバいガキもいるけどオマエは違う」という趣旨のアンサーを返していきます。そしてスイッチが入るのがバース後半で、「無い無い さっきもしゃべったら」のラインから一気呵成に加速して「それパクリって言うんだ」という「マネなんかしてない」というじょうへのアンサーをピークへもっていきます。
続いて勢いを殺さないまま「I’m the No.1」からさらにアクセルをかけるようなラインで最後4小節分を一気に疾走して、流れを一気にさらっていきます。一度走り出したら句潤は本当に強いですね。disの内容も伴いつつ、問答無用で勢いを生んでしまうフローを持ってます。この時点でじょうはちょっと劣勢に立たされます。
続いて後攻のじょう、3バース目。「さっきからフロー以外なにもない」とストレートなdisをぶつけます。また、「葬儀屋」のくだりは上手いこと言っている感じがしますが、お客さんの反応はイマイチで、個人的には高校生ラップ選手権だったら声が上がっていたのかな、という印象です。UMBはオーディエンスの耳もそれなりに肥えてますのでじょうにとっては初出場の洗礼になっていたかもしれませんね。
そして4本目。先攻の句潤のバース。個人的にはここが「トドメ」になったのではないかと思うのですが、葬儀屋のラインに対して句潤は「争うとこそこっスか?」「仕事頑張ってくださいよ」と平然と突き放していきます。じょうの繰り出した技巧やユーモアをこうもサラリとかわしてのアンサーで、もうこの構図で勝負ありだったんじゃないかという印象です。
さらに「マイクは1本 俺の実力で上へと」といつものアクセルを踏んだような加速するフローで自身の話題へ移行して、フローの上でも意味の上でもお客さんを巻き込んでいきます。こういうところに場数の差が歴然と表れているような感じでしょうか。句潤は上手いという以上に強いです。
続いて後攻のじょう、最後のバースです。「同じことばっかり言ってる」と正当なdisで応戦しつつ、フローではなく内容面から流れを均衡させようと奮闘します。続いて「マジでぶち殺す」の辺りまで細かく刻んだライミングで句潤とは異なるスキルで対抗していきます。
ちなみにこの辺りの内容で最初の韻が「句に潤う」と「筋通す」になるのですが、一見してわかりづらい、やや複雑な音韻ではないかと思います。いったいバトル中どのタイミングでこんなの思いつくのか本当に不思議ですね。こういうことさせたらやはり大阪勢は頭一つ抜けてます。
そして最後もライミングのオンパレードで着地。やはりじょうのキャラクターや本来持つスキルで勝負するのが一番拮抗する感じですね。オーディエンスも素直に上がってます。
ちなみにラストに「紋所」という語が出ていましたが、この試合の時には司会の晋平太はすでにタキシードになっていましたが、これが紋付袴姿であればさらに印象は違ったかもしれません。(余談)
そんな感じで中身の詰まった濃いバトルが展開されていきましたが、結果はより多く会場をのせていた勢い句潤の勝利に終わりました。
一方で惜しくも負けてしまったじょうも当然のように凄まじいスキルを持っているのですが、この試合では高校生ラップ選手権と同じような戦いをしているように感じてしまいました。R-指定がスタイルを変えてUMB2012以降3連覇を成し遂げたように、じょうも「大人の大会」での戦い方を身につければさらに強くなっていくのではないでしょうか。
ちなみにじょうはUMB2014 REVENGE WEST予選でのふぁんく戦が本当に素晴らしかったので、見ていない方は是非チェックしてみてください。
[UMB 2014 REVENGE WEST] ふぁんく v.s. じょう
※ 2009くらいの鎮座dope
鎮座DOPENESS。UMB2009大会優勝。
※ 045
句潤のレップする横浜市の市外局番。そこから転じて地域そのものを指す。
※ 晋平さん
本大会の司会、晋平太。UMB2010,2011大会優勝。
ジャッジメント〜
の後は
キッキンザドア開く
のような気がします!
2バース目の句潤、『ジャッチメント kick’in theドア開く』じゃないですかね?
> のーねーむさん
> ザキをさん
コメントありがとうございますー
該当の箇所、変更しました!
この試合の句潤ほんとに上手い!
じょうにもっと上がって欲しかった
ムートンvsLEONお願いします
> フラフラさん
コメント頂きありがとうございます!
句潤は上手い上に強いですよねー。フローが優れているのももちろんですが、勝負をかけにいくタイミングを外さないのと、その瞬発力が特に頭ひとつくらい抜けてる印象です。
また、リクエストの方も承知しました!