[ミステリオ]
オマエ キモい 死ね みたいな感じ
かけない英語
microphone 栄養
キモい 死ね みたいな感じ
こういうのが俺と思ってる
バリHipHopやからな俺
マジで最高級
味わえ関西だし醤油
[黒崎かいと]
おいしいだし醤油
キノコにかけたらさらにおいしいだろうなぁ
いい感じ なんかそういうこと言われたら俺悲しい
そういう話 超える轍 勝つの私
関西のノリ え? ここって
え?え? 漫才するところ?
ピン芸人じゃないっすよねコイツ?
[ミステリオ]
ちゃう ちゃう ちゃう ちゃう ピン芸人
今年ハタチ迎えました新成人 よろしく
歩く暗い夜道
コイツ プライドの意味
フライドチキン ei yo
コイツがきっとこうだよ
ピコ太郎みたいな感じ
さっき 先輩のPen Apple Pen
変態のちゃんちゃんこ ハハッ
[黒崎かいと]
そんなこと言ってるけどコイツも奇人変人
ピコ太郎 ピコ太郎
オマエはPinappleとAppleの狭間にいるヤツ
アタマぶっ刺す
まぁわかった ゴメンな
そうやって盛り上げようとしてるのはわかってるけどさ
でも選手権の時の俺の方が変だったぜ
概要
8小節2本
勝者: なし(延長へ)
解説
戦極MC BATTLE 第15章 二回戦 ミステリオ v.s. 黒さき海斗
今回は戦極第15章からこちらの一戦を紹介します。
なるべく偏らないように色々なMC、バトルを紹介したいと思って日々記事を書いてるつもりですが、今回はどちらも初めて取り上げるMCですね。
バトルの内容はかなり異質なもので、まず先攻のミステリオが「オマエキモい!死ね!みたいな感じ〜」と、やや茶化すようなテンションで悪口を投げつけるシーンからスタートします。これがけっこうインパクトあるんですよね。
その後も語尾を奇妙な感じで伸ばすフローが続いたかと思えば、「バリHipHopやからな俺」と急にトーンダウンしたり、また最後には「最高級」「だし醤油」と関西らしいライミングで唐突に締めています。
全体通してみると内容・スタイルともにかなり荒唐無稽に近い展開です。「このバトル大丈夫なのかな」と思わずにはいられません(笑)
対する後攻の黒さき海斗。こちらはまた違った意味で独特で、「おいしいだし醤油 キノコにかけたらさらにおいしいだろうなぁ」と、普通に会話するような調子です。
どちらかと言うとポエトリーリーディングの雰囲気に近いかもしれません。ちなみに「キノコ」というのは彼のこの髪型にかけてのことですかね。
ただその後は「悲しい」「話」「轍」など、ライミングを交えた内容で意味の通ったアンサーを返していて、ようやく「バトルっぽさ」を少しずつ感じることができました。さらに「漫才するところ?」「ピン芸人じゃないっすよねコイツ?」など、飛ばすdisにも独特ないやらしさがあって中々いいです。
続いて2本目。ミステリオは「ピン芸人」「新成人」という押韻を挟み込んだ当意即妙な対応。「プライドの意味」「フライドチキン」の部分などはまさに関西らしい言葉のチョイスです。さらに言うとKBD辺りに近しい雰囲気かもしれません。
また、「ピコ太郎」のくだりは「ピン芸人」から話題を展示させていて、後に続く流れも起伏をもったいい内容だと思います。rapの形式の面ではかなり奔放な印象がありますが、それでも「言葉での殴り合い」はしっかり行っていて、中々面白い展開になってます。
そして黒さき海斗のラスト。私がこの試合でもっとも感心したのがこの、「奇人変人」から「P.P.A.P」へのライミングで、先のミステリオが「ピコ太郎」と切り出したことを受けてのアンサーになりますが、素晴らしい瞬発力です。また「P.P.A.P」の方を2小節目に持ってくるのもいいですね。
その後は「PinappleとAppleの狭間にいるヤツ」、「でも選手権の時の俺の方が変だったぜ」など、やや迂遠な表現を使いながら陰湿なdisが続きますが、やはりどこかポエトリーリーディングやスポークンワーズのようなジャンルに近い雰囲気があるように感じます。そしてバトルの中ではそれが程よく彼のキャラクターになっているようですね。
最初こそ不安もありましたが、フタを開けてみれば両者のキャラクターがぶつかり合う中々面白いバトルで、ライミングがあり辛辣なdisがあり、笑いを誘うユーモラスなラインがありで、内容の詰まった8小節2本になっていたのではないかと思います。
そんなスタイルウォーズでしたが、結果の方は判定が割れて延長へ持ち越しとなりました。
戦極は個性・アクの強いMCが大勢参戦していますが、そんな中でも本試合は他にない独特な雰囲気で、かなりインパクトのある一戦ではないかと思います。