R指定 v.s. GIL
UMB2013 BEST8 大阪代表 R-指定 v.s. 宮城代表 GIL
今回はUMB2013からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
優勝候補同士の激突で、本大会でもベストバウトの一つと言われる人気のある一戦です。それではリリックをご覧ください。
[R指定]
Yeah 今年は東北じゃなくて
今年も大阪がいただくぜ
よりもヤバめなベスト
ラスト 出すぞ
エベレストよりヤバいぞ
お前に食らわすぞ
まだまだ仙台で俺は
ライブさしてもらったことがあった
オマエの雄姿を間近で見た
熱いものを俺受け取った
だがなここにきて
オマエは負けることになる
仙台のGIL
今日 自分の限界を知る
[GIL]
Yeah 限界を知ることはないぜ
いつもの言葉を吐いて
東北から看板がっちり背負ってく
オマエに打ち込むこれ弾丸
何べんもやってやるよ
それは知ってんだろ?
オマエのチャンピオンベルト
俺はちゃんと見つめているよ
そいつが欲しくて・・・
喉から手を出すような言葉
oh R指定 俺が簡単に
オマエのこと食らいついていくような津波
簡単に言うが こんなカウンターパンチ
繰り出すか
[R指定]
どの口が抜かしとんだリベンジャー
俺が狙い込むガチで二連覇
三回四回目は頂いた
本当の敗北を知ってる
だからマイクにも力が入る
俺勝ち決まりでオマエは終わり
ここでカネ出す打ち出の小槌
[GIL]
Ah 小槌 打ち出か
わかんねぇが俺が 撃ってんだ
言葉の弾道だったら
俺がチャンピオンベルト俺手がかかった
Oh 手加減なしなR
ありがとな そいつは受け取った
俺も全力で疾走するぜ
こっからビート 波長合わせてく
33にあっちゅう間に
バンって鳴ってから看板は
掲げる弾丸は履いてくから
パンパース程度のラッパーは
聞き飽きてんだよ 梅田サイファー?
結局は現場叩き上げのGILが上じゃないか?
[R指定]
梅田サイファーも現場じゃ
俺にとっちゃ歩道橋がストリートわかったか?
オイ 自分がライブをしてる
俺は 毎週末サイファーをしてる
梅田歩道橋 磨いたスキルを
ここで見してやるこんなんどうよ
土曜はいつでもやかましい歩道橋
北方領土も頂いちまうぞ
Yo 終わらないぜオマエ
俺のスタイルに飲まれてる時点で
もうオマエの負けは決定
わかってる? さっさと帰って
[GIL]
Yeah 決定しねぇぜ俺の負け?
そんなのはハナからわかってるような問題だぜ
Yo 崖っぷち裸一貫で挑んでるだけ
Ah 飲み込みてぇな
R その目線もやべーけどな
東北背負ってる荷物の重さが
オメーと違えんだボケが
Ah すべてを俺が
ひっくり返す天と地
だからUMBエントリー
見せてやるぜ 現実をオマエに
Ah こんだけ重い 気持ちがあったら
いくつにマイク握った? その強さはオマエよりも遥かに強ぇわ
[R指定]
オイ 東北握ってる
その重さは二回の東北のオマエとは段違い
わかるかなパンチライン
見せてくぜ オマエ何も感じない
Yo エントリーか知らんが
8ビートに乗せるヤバめな言葉
デッドヒート終わることはないぞ
オマエに見せてくこの倍速
オマエも目を合わせてるか
ヤバいか知らないが今日は俺の勝ちだ
最初から負けは決まってるって
オマエさっき言ったな?
口は災いの元 ちゃんと覚えて帰れよ
[GIL]
Ah バッチリ覚えたから最後のバース
勝ちで俺が勝利を全部ぶんどる
こんなライミング
繰り出してんだろジャストタイミング
Oh いつでも鼓膜に直送するような御託はどうよ
こっからHIPHOP すべてを実証
いつでも疾走 こっちが重いだろ?
こうやってのし上がった会場
いつでも大興奮さすためタイトに踏む
言葉でライドオンしてくのはGILの方だ間違いねぇ
Ah マイクで羽ばたきてぇ
だから俺がhave a nice day
何言われようが離さないぜ
勝負はこっから つける決着
概要
8小節4本
ビート: Pretty Flacko / Instrumental
勝者: R指定
解説
UMB2013 BEST8 大阪代表 R-指定 v.s. 宮城代表 GIL
今回はUMB2013からこちらの一戦を取り上げたいと思います。こちらも大会ベストバウトの呼び声高い人気のあるバトルですね。
前年王者であるチャンプオンR指定に対して必死に食らいついていくGIL、といった構図で試合が展開されていきますが、GILも最後まで負けておらず中盤にかけて互角に渡り合っています。
オーディエンスを沸かせる場面も何度もあり、R指定にとってもハードなバトルにだったんではないかと思います。
この試合は両者ともライミングやメッセージの他、フローやビートアプローチでも応酬し合っている点も魅力の一つに挙げられます。R指定が2バース目最後の2小節で「俺 勝ち 決ま りで オマ エは 終わ り」と二文字ずつ言葉を刻んだかと思えば、対するGILも「33にあっちゅう間に」から続くラインで宣言通り見事に疾走していきます。こんなの観衆は否応なく上がりますね!
また、このバトルで特徴的なのはGILの言葉数で、なんとR指定よりもかなり上回っていることがわかります。先ほど疾走と書きましたが、GILは本当に言葉が滑らかに出ていて熱いメッセージだけじゃない、スムーズなrapも武器に応戦しているのがわかります。
要所要所のライミングと非常に丁寧なビートアプローチで、文句のつけようのないパフォーマンスを見せていたGIL、オーディエンスの歓声から言っても非常に拮抗した試合展開のまま終盤を迎えます。
そしてラストのバース、先攻のR指定がGILに呼応するように途中倍速で言葉を詰め込むスタイルにシフトする場面がありますが、この辺りで徐々に試合の流れが傾いていきます。
さすがのR指定。倍速にしつつも余裕のある節回しとボキャブラリーで、GILとのスタミナの差を見せつけます。
後攻のGILも必死に食い下がろうとしますが、バースの中途から自在にスイッチしていったR指定と比較してフローのコントロールという面でやはり一歩及ばなかったという印象は否めないでしょう。
結果はR指定の勝利となりましたが、チャンピオン相手に大健闘のGILにも盛大な拍手が送られます。ちなみにこの二人は翌年の本戦でも対戦することになりますが、そのバトルも非常にドラマのある、見応え十分な一戦になっています。
前年の2012年に本選初出場ながらTKと熱い試合を繰り広げたGILですが、この時点でオーディエンスからの期待も高かったと思われます。地方をrepするMCが全国本選の舞台でプロップスを高めていく、といった要素もこうした大会の醍醐味だと個人的には思いますが、GILはその筆頭に挙げられます。
全国区では無名でもめちゃくちゃかっこいい地方のMCはまだまだ大勢いると思うので、そうしたMCが活躍するステージがこれからも増えていくといいですね。
※ 西に初めて持って帰ったチャンピオンベルト
UMB2012 大阪代表のR指定が優勝したことにより、長年大阪代表だったHIDAが果たせなかった関西勢初優勝が実現した。
※ 俺はリベンジャー去年負けた
UMB2011にてR指定はDOTAMAを相手に一回戦での敗退を喫している。
※ 一回戦で二回も負けてんだ
UMB2010 対晋平太戦、UMB2011 DOTAMA戦
※ まぁいいか 気を取り直してライムしようや
前の小節でGILのバース中、計算を間違えたR指定が割り込もうとしたため、つられたGILが一瞬止まってしまった。余談だが翌年で再びR指定と対戦したGILはこのことについて試合で言及することになる)
※ 一回戦で二回も負けてんだ
UMB2010 対晋平太戦、UMB2011 DOTAMA戦
※ 俺も大阪背負ってる しかも四回もな
R指定は大阪予選を四連覇している。また、2013で4年連続の本選出場となる。