[KBD]
大阪Spotlightのリベンジ
とか言うわけじゃねぇ 今日は今日で勝負
確かにオマエの人気はすげーが
あんまイキんなこのチンピラ風情が
アァ? クソなMCが何を粋がるんだこのボケが
オマエのそのかけてるサングラス
[呂布カルマ]
あれ オマエ そんな感じだったっけ?
そんなイケイケの感じだったっけ?
自分のスタイル ブレてねぇ? 大丈夫?
俺と俺以外 チャンピオンと敗者
もうこれはハッキリしてる 誰の目にも明らか
今さら自分にねぇことやったってムダだ
いつもどおり 韻踏んで楽しましてくれ
じゃねぇとオマエに勝ち目はねぇぞ
[KBD]
Yo じゃあ俺は俺のやり方でやるだけ
わかる? やり方千差万別 百万通り
俺は俺なりのやり方でコイツを爆弾処理
徒然なるまま まるで枕草子
俺はどんな状況でも胸を張るぜ 春日のように
わかりますか? 白馬の王子オマエには現れねぇ
赤兎馬に踏まれて死んどけmotherfucker
[呂布カルマ]
一本目スベって 二本目
自分の好きなネタ いっぱい出してきたところで
それはもう 俺には通用しねぇんだ
大阪から全然成長してねぇ
半月前 俺に半殺しにされて
半ベソかいてたヤツが
まだハンパなことやって
判断してくれ 反対はしねぇはずだ
反体制俺が ハンデ
[KBD]
オマエバトルの後に言うたら
俺のスタンスは
二度と俺とやれなくなるくらいぶっ殺すことだ
オマエの目を見たって何にも恐怖を感じねぇな
ただのガリガリの豚
このバカ motherfuckerが
体のウェイトに差がありすぎる
オマエよりも出してこいよCampanella
俺がコイツぶち殺すヴァンダレイ・シウバ
[呂布カルマ]
Yeah Campanella俺より細ぇけど
全然関係ねぇけど
オメーただでっけぇだけだけど
何にも怖くねぇけど
俺サングラスしてるから
適当言ってっけど
いつまでもこんなヤツが上がってるようじゃ
俺の言葉は伝わってねぇのと同じだな
概要
8小節3本
勝者: KBD
解説
戦極MC BATTLE 第13章 BEST16 KBD v.s. 呂布カルマ
今回は戦極13章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。韻の手数対パンチラインといったスタイル同士の対決です。
大阪のKBDと名古屋の呂布カルマによるマッチアップ。両者とも実力プロップスともに十分ですが、特に呂布カルマは前回12章のチャンピオンであり、今大会でももちろん優勝候補。当然ながら13章の中でも屈指のビッグカードとなりました。
試合に入ってまず先攻はKBDです。前回のマッチアップであるSpotlightでの敗戦を話題に挙げつつ、「人気はすげーが」「チンピラ風情が」といきなり7文字踏み。
この辺りのライミングを出す際の脈略のスムーズさはさすがですね。このバースの着地も「サングラス」「真っ二つ」とキレイなもので、まさにKBDの真骨頂といった感じで、ボキャブラリーの組み合わせ方、またその出し方は本当にキレイです。
加えて、「クソなMCが何を粋がるんだこのボケが」など、合間に語気を強めて攻撃的な言葉を盛り込みまくってるのもこのバースの特徴で、このバトルへのKBDの思い入れが伺えてくるようです。
対する後攻の呂布カルマ。「(普段は韻踏んで遊んでるだけなのに)そんなイケイケの感じだったっけ?」と煽るように相手のキャラクターに対する攻撃を仕掛けにいきます。
そこから「自分のスタイルブレてねぇ?」と続くのですが、こういう揺さぶりのかけ方はKBDのようにスタイルのハッキリしたMCには中々の有効打になっていると思います。
また、直後には「俺と俺以外 チャンピオンと敗者」という非常に呂布カルマらしさが出ていますね。
こうした自分のステージであるかのような物言いで会場の雰囲気を持っていくところも非常に試合慣れしていて上手いなと感じる部分です。
そんな呂布カルマのバースを受けたKBD、「じゃあ俺は俺のやり方でやるだけ」との言葉通り、2バース目は畳み掛けるような手数の多いライミングでリズムよく攻め立てていきます。
そんな中でも「オーライ オーライ、俺の勝手」と呂布カルマの楽曲を挙げながら流れを引き寄せようとする様が伺えますね。
続く2バース目呂布カルマ。「二本目 自分の好きなネタいっぱい出してきたところで」と、1バース目からの手の平返し。
「半月前 俺に半殺しにされて」と勝者-敗者の構図を強調することも忘れず、依然として優位に立っていることをアピールしていきます。呂布カルマは本当にこういうことやらせたら上手いのですよね。
また、このバースでは「半月前」から始まる「はん」の頭韻を最後まで刻んでいて、呂布カルマにしてはやや珍しくライミングもアクセントとして機能しているバースになってます。
そしてKBDラストとなる3バース目。「これが格闘技ならありえねぇ 体のウェイトに差がありすぎる」とのラインがありますが、こちらは言わずと知れた戦極12章 対ENEMY戦での名ラインをサンプルしているのです。
格闘技経験者のKBDだからこそ出た言葉ということもあると思いますが、それにしてもここにきてこうしたギミックが出てくるのが面白いですね。
観てる側からするとかなり楽しい展開になってます。また、そのすぐ後に「ヴァンダレイ・シウバ」と格闘技つながりで話題を維持している点も、
決して派手ではないですが職人的なスキルを感じさせます。やはりサイファーで鍛えられたMCはこういうとこがホント強いですね。
そして後攻呂布カルマのラストバース。ただ語尾に「けど」とつけて好き勝手に主張していくスタイルになっていますが、これが独特のリズムを生んでいて内容をほどよく強調する効果を演出している感じです。
ただし惜しかったのが最後のラインで、「いつまでもこんなヤツが上がってるようじゃ」「俺の言葉は伝わってねぇのと同じだな」という言葉で締めくくっていますが、まだバトルの流れを引き寄せていない状態だったのでちょっと早計な印象を受けました。
これで8小節3本の短いバトルが終了となりましたが、結果はなんとKBDの勝利。
確かにこのバトルのKBDは非常に滑らかで、またDISの構図も分かりやすく、純粋にオーディエンスからの共感の差がスコアに出ている感じなのでしょう。
一方の呂布カルマはバトルに負けてしまいましたが、途中、いく度か言葉に詰まるような場面もあって、結果的には終始安定感のあるrapをしていたKBDに軍配が上がったといった感じでした。
※ Spotlight
大阪で行われるバトルイベント。
※ 便所コオロギ 即真っ二つ
BUDDHA BRAND / 人間発電所より、DEV LARGEのリリックを引用。
※ オーライ オーライ
呂布カルマ / オーライオーライ。
※ 俺の勝手
呂布カルマ / 俺の勝手
※ 赤兎馬
『三国志』に登場する呂布の愛馬の名。
※ これが格闘技ならありえねぇ 体のウェイトに差がありすぎる
戦極MC BATTLE 第12章、対ENEMY戦での呂布カルマのパンチライン。
※ Campanella
名古屋で活動するMC。NEO TOKAI/TOKAI DOPENESS所属。
※ ヴァンダレイ・シウバ
ブラジル出身の元総合格闘家。