[戦極第13章] 晋平太 v.s. CHICO CARLITO 再延長

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晋平太 v.s. CHICO CARLITO 再延長

戦極MC BATTLE 第13章 BEST16 晋平太 v.s. CHICO CARLITO 再延長

戦極MC第13章_晋平太_vs_CHICO_CARLITO_再延長

今回は戦極13章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

このマッチアップもいよいよ再延長。これでラストです。延長前のバトルはそれぞれ以下のリンクからご覧ください。

[戦極第13章] 晋平太 v.s. CHICO CARLITO

[戦極第13章] 晋平太 v.s. CHICO CARLITO 延長

[晋平太]

憧れてた 漢と般若

それでもこの場所のファンに感謝

憧れてた ずっとZEEBRA

でも気付いちまった俺は実は

テレビに 出てても深夜枠

それじゃせっかくの俺の韻が泣く

さらに続けなけりゃ意味が無く

この言葉でほらみんな沸く


[CHICO CARLITO]

みんな沸く

でも俺もだいじょうぶ芯がある

進化する この呼煙魔のビート

ジェットストリーム上の気流に乗る

飛ぶ アンタが誰に憧れてた?

でも憧れだけじゃアホだぜ

俺はここ 超えに来てるだけ

その先 カベは高ぇ


[晋平太]

オマエの憧れた憧れが 俺アホだぜ

俺知ってる 後出しはしねぇ

幻も見ねぇ ズタボロにするはずもねぇ

オマエの歌心に惚れたぜ

その自由に気流に 一流二流

関係ねぇ ここで飛び散るまでやる

ほとばしる この言葉尻

オマエもどのみち友達


[CHICO CARLITO]

どのみち友達

今さら言われなくても知ってる

友達 でも言葉に あるぜこだわり

おざなりにさせないぜ

on the beat

雄猿じゃない呼煙魔

鳴らしてくれ 俺も奏でるぜ

音から出る ノドから出る

ますます目指すはずだぜ俺は


[晋平太]

ノドから手が出るほど

つかみたかったmicrophone

のどかな街からやって来てるぜ

ノド枯らしながらの こっからやってく

木枯らしに負けんな

唐辛子みたいに辛口な旅路

それでも頭の中のギャラクシーは回転しっ放し

MPC 呼煙魔

エンピツの芯みたくとがってる

伝説のシーン ABC

オマエも吠えな


[CHICO CARLITO]

俺も吠える ギリギリのところ まで行く

エンピツの芯が リリックになる

そしてビート rap これがケミストリー

天と地 俺のrap スキルまるでケンドリック

ひっくり返しに来たぜ 時代を

変えるんだよ 今日この場所でな

概要

8小節3本
勝者: CHICO CARLITO

解説

戦極MC BATTLE 第13章 BEST16 晋平太 v.s. CHICO CARLITO 再延長

戦極MC第13章_晋平太_vs_CHICO_CARLITO_再延長_2

今回は戦極13章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

現UMBチャンプと旧世代のチャンプという夢のマッチアップでしたが、延長2回までもつれたこの一戦もとうとう決着です。

まず先攻となった晋平太の1バース目。

漢や般若、ZEEBRAなど、上の世代のMCたちの名前を列挙していくところから入っていきますが、そこからつなげて「テレビに 出てても深夜枠」「それじゃせっかくの俺の韻が泣く」とZEEBRAのソロ楽曲である「東京の中央」からリリックを丸々引用していきます。

ちなみにこの曲、リリースが1998年で今から数えて18年前、ZEEBRAの中でも最初期に当たる楽曲で、日本語rapシーンの黎明期から勃興期にかけてのもの。当時のメディアからの冷遇を謡ったもので、往年のリスナーにとっては非常に馴染み深いものとなっているはずです。

つまりこのラインは私も含めた昔からのファン層にとっては聞いた瞬間に思わず「おぉ!」となってしまうようなまさに珠玉のラインなのです。

名前の上がったMCたちはいずれも言わずと知れたTV番組「フリースタイルダンジョン」の関係者として最近も大活躍していますが、それを踏まえて考えるとシーンの「大昔」と今現在を嫌でも対比させる歴史的な含意のある絶妙な一節になっているんじゃないかと思います。

もういきなりですが個人的にはこの辺りが本バトル最大のハイライトだと思ってます。ここがピークです。そしてこれを再延長で出すなんて晋平太さすがすぎます。

そしてそれを受ける後攻のCHICO CARLITO。晋平太ラストの「みんな沸く」からつなげてアンサー。ゆっくりとしたフローで返していきます。

また、晋平太の1バース目の内容に対しては「アンタが誰に憧れてた?」「でも憧れだけじゃアホだぜ」と結構ストレートにdisをぶつけていきます。

本来はリズム感や独特なフローにも定評のあるMCですが、凝ったフローをするでもなく、ただただ自らの主張を落としていく、という感じのrapをしています。

戦極MC第13章_晋平太_vs_CHICO_CARLITO_再延長_3

続いて先攻晋平太2バース目。こちらは対照的に脈絡に多少のラグがあっても小節ごとのライミングを軸にしてリズムよく言葉をビートの上に刻んでいきます。

8小節の間を失速することなくこのリズムを守って言葉を出していくのですが、特に「その自由に気流に一流二流」の部分などは非常に気持ちのいいフローになっていて、多少の文脈の揺らぎなどは気にならなくなる程スムーズでクオリティの高いrapになっていると思います。

一方CHICO CARLITOの2バース目も負けておらず、「友達 でも言葉に あるぜこだわり」と短いライミングを積み上げて特有の少し詰まったようなフローで淡々とrapしていきます。

ライミングやメッセージというよりはどちらかというとフローで聞かせていく感じで、そういう意味では非常にCHICO CARLITOの色が出ている内容ではないかと思います。

そして晋平太のラストバース。「ノドから手が出る」と相手の言葉を受けた上で「のどかな街からやって来てるぜ」と返し、そこからさらに「ノド枯らし」「唐辛子」とこちらも連打。

要所要所で語気を強めながらスピットしていて、晋平太も全体を通したリズムの良さみたいなものが際立ってます。

戦極MC第13章_晋平太_vs_CHICO_CARLITO_再延長_4

対するCHICO CARLITO後攻ラスト。「エンピツの芯が リリックになる」のラインで冒頭から魅せます。もともと「エンピツの芯」は晋平太が出したワードですが、それを受けてのこのリリカルな一節なので非常に上手さが出ています。

また、ラストには「ひっくり返しに来たぜ 時代を」「変えるんだよ 今日この場所でな」というラインで世代交代をアピール。メッセージの伴ったとてもキレイな形でバトルを終えます。

もつれにもつれたこの一戦でしたが、勝負を制したのは後攻のCHICO CARLITOでした。技巧やメッセージ、アンサーなど、どれをとっても非常に僅差での決着ではなかったかと思います。

それでも試合の中での勝因を上げるとしたらやはりCHICOラストの「ひっくり返しに来たぜ 時代を」から始まるラインではなかったかと個人的には感じました。

UMBファイナリスト(現チャンピオン)で非常に勢いのある若手の口から出た言葉で、従前の王者たる晋平太に対してこれ以上ないくらいの説得力をもったメッセージとなっていました。

しかしこういう組み合わせが見れるなんて嬉しいですね。それも再延長まで計3回、どちらも実力を余すことなくぶつけていて、全体通して非常に熱のある素晴らしい対戦になっていました。大会通して見てもこのバトルは一つのハイライトだと思います。

まだ見ていない、という方は是非最後まで映像でチェックしてみてください!

※ 漢と般若

9sariグループの漢、ならびに昭和レコードの般若。ちなみに漢はUMB2005、般若はUMB2008のそれぞれチャンピオンである。

※ テレビに出てても深夜枠 それじゃせっかくの俺の韻が泣く

ZEEBRA / 東京の中央 より引用。

※ 呼煙魔

本試合のバトルDJ。

※ ケンドリック

ケンドリック・ラマー。USのラッパー。

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