[UMB2017] 椿 v.s. JAKE

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椿 v.s. JAKE

UMB2017 BEST16 福岡代表 椿 v.s. 鳥取代表 JAKE

今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPのBEST16からこちらのバトルを取り上げたいと思います。

この試合、文句なく個人的大会ベストバウトです。

[椿]

Yo シンデレラじゃねぇから12時過ぎても

解けない魔法のこの低音

クラブで遊んでるよ お前も

きっと鳥取 そして福岡

東京 どの街でも一緒

同じ一つ屋根の下上がってこうぜ

楽屋でペラペラ うるさ過ぎるね

でもまぁそりゃ置いといて

Microphone 1本 1本

男と女のバチバチの勝負が見てぇ

今日は一番高い山登りに来たぜ

富士山 どこでもいい まるでアートのピカソ

ビート上一番光ろう これは地元との約束だ


[JAKE]

うるさくて 本当にゴメンね

でも俺の性格 ステージでバチバチ

裏ではバッチバチやめても今夜はparty night

12月30日の年末 わざわざ観に来てるやつがいんだ

演者が踊らなくてどうすんだ?

俺は観てたぜ オープンの

ここのDJじゃなくて富士山のDJ

マジバチバチ クソイケてたぜ

どこでなにやっても別にいい

お前が福岡の代表

つまり福岡の最強

俺は鳥取県 すなわちザイオン


[椿]

ザイオン まるで財宝のように

大事なメモリー詰め込んで来たんだ

あるようで無い 頭の中から

吐き出す言葉 空っぽの言葉いわねぇぞ

一寸濃いくらいに目線が合ってるから

伝わってるよ体温 そして魂

でもかき集めていく低音の元

熱量 そして経験があるからやっとここに立てたんだよ

瓦礫の山 決して諦めない

あたしは一番高い山 登りに来た

何度も言うぜ HipHopに一つのLOVEを混ぜる


[JAKE]

Yo めちゃくちゃイケてるラッパーだってことは

言わずと知れてる

頑張ってるだなんて言うな

頑張ってっからここに立ってる

「女でよくここまで来たな」なんて絶対言わねぇ

女が一歩下がる時代は終わりだ

男が一歩先行く時代だ

ナヨい男がヘラヘラしてっから

こうやって女になめられんだろうが

オメーのことだぜ オメーのことだぜ

カメラ構えてるオメーのことだぜ

俺の後ろに付いて来いとは言わねぇ

背中を見てろよ


[椿]

マジでなめんな

あたしは別に男をなめてなんかない

男でも女でも嫌いな奴は嫌い

好きな奴は好きなのさ

だけどさ 性別で何かを諦めたことは一度も無い

だからこの場所で 奪うために来たmicrophone

パーティー するのは大事

そりゃ現場が生きるからな

HipHopシーン殺してたまるか

それはよく分かるが 今日はバトルだ

この1年間 今日のためにあたしは戦ってきたんだ

このステージ上だけの話じゃないぞ

最強の1秒を燃やしてやるぞ


[JAKE]

今日のために戦って来たなら

今日が終わったら戦うの辞めんのか?

違ぇだろ 福岡をオメーは上げ続けんだろ

俺も1月20日に初めて福岡に行く

お前の街でバチバチのLIVEで

お前のヘッズをバチバチにする

知らねぇよもう

頭は回転しまくってる 酸欠状態

でも女だからって俺は容赦しない

男も女も関係ない 安定ない

残念なライムなんて吐かない

ここで目と目合わせてバチバチでやろう


[椿]

Yo バチバチでやろう

もちろんLIVEもイケてんぞ

鳥取じゃあ呼んでくれよパーティー

ひとつのmicrophone 魂

何度も言ってやる それほど大事なこと

2017 雑音がやかましい

でもあたしの言葉の矛先

お前に向けるためひとつ

絶対に退いてたまるかよ

九州が全滅? あたしの色じゃ無い

みんなのために戦うよ

当たり前さ 同じようなこと

うまい奴が勝つんじゃない 勝つべき奴が勝つんだ

だから諦めない


[JAKE]

でもな 俺もそれは昔 去年一昨年 思ってた

勝つべくして勝つ奴が

活躍して脱落していく悲しいMC

でもそれは決して無駄な努力ではないだろ

勝つべくして勝つMC

そいつら蹴散らし 負けるべくして勝つMC

今のは全然関係ない

誰が司会者 晋平さんから替わって

とりあえず47都道府県 お疲れ様

予選が増えて? 代表者が増えて?

薄まったUMBなんて 俺は絶対に言わせない

概要

8小節4本
ビート: ONE a.k.a ELIONE / 此処ニハナイ REMIX feat. CHICO CARLITO & Pablo Blasta
勝者: JAKE

解説

UMB2017 BEST16 福岡代表 椿 v.s. 鳥取代表 JAKE

今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPの一回戦からこちらのバトルを取り上げたいと思います。

本選初出場にして早くも2回勝ち上がった椿でしたが、このBEST16にして強敵のJAKEとぶつかります。

もうマッチアップ見るだけでワクワクしてしまう組み合わせだと思います。

それでは内容です。

シンデレラじゃねぇから
12時過ぎても解けない魔法のこの低音
– 椿

まず先攻は椿から。冒頭このラインはよく練られてる印象。これはフィメールであることを相手に言及させまいとする牽制のようにもとれますね。色々と椿のキャラクターが凝縮されたラインになってると思います。

また、JAKEに向けては「楽屋でペラペラうるさ過ぎるね」とこれまたキツめの攻撃。個人的には愚直なバイブスシフトのrapで来るかと思いきや、かなり広い角度からrapを展開しにきてる印象です。

12月30日の年末 わざわざ観に来てるやつがいんだ
演者が踊らなくてどうすんだ?
– JAKE

対してこちらは後攻JAKEの一節。勝負を意識して相手を直接的にブッ刺しにいく椿に対して、JAKEは比較的のらりくらりとした立ち上がりになってます。それでもこの抜群の言語センスで会場を沸かせていくのがさすがです。

ちなみに今回の試合、ビートはKOK予選のSIMON JAP対ムートンの試合でも使用されていたトラックなのですが、4小節目に音抜きのように空白になる瞬間があり、上記のラインが見事にそこにハマりオーディエンスの盛り上がりに一役買っていた印象です。

4小節目に音抜き、8小節目にドラムスクラッチという構成のビートの中、バースのピークをどこまでシンクロさせられるかというポイントもこの試合のひとつの見どころになってくるのですが、今回JAKEの方はかなり上手くビートを使っていた感じです。

「女でよくここまで来たな」なんて絶対言わねぇ
女が一歩下がる時代は終わりだ 男が一歩先行く時代だ
– JAKE

続いて2バース目、こちらはJAKEのライン。こちらも4小節目の音抜きのタイミングに合わせていて、見事のバースのひとつの山場になってます。

椿に対するリスペクトがありつつも、それを上書きするかのように鋭く言語化されたパンチラインで、

ナヨい男がヘラヘラしてっから こうやって女になめられんだろうが
オメーのことだぜ オメーのことだぜ カメラ構えてるオメーのことだぜ
– JAKE

畳み掛ける言葉ひとつひとつのインパクトが強く、またジェンダーのことをrapしていますが、とにかくオーディエンスの使い方が上手かったです。

相手へ愚直に向かっていく力の込もった椿とはまた違ったスタイル、違ったベクトルで、rapの技巧性も計算に入れた中での説得力・メッセージ性を作り出している感じです。

男でも女でも嫌いな奴は嫌い 好きな奴は好きなのさ
– 椿

この1年間 今日のためにあたしは戦ってきたんだ
このステージ上だけの話じゃないぞ
– 椿

今日のために戦って来たなら
今日が終わったら戦うの辞めんのか?
違ぇだろ 福岡をオメーは上げ続けんだろ
– JAKE

そしてそんな流れの中でこうした応酬が続いくのですが、特にこのテーマに関して言えば、UMB本選で実績を残してシーンの価値観を覆したいという椿に対して、あくまでもベーシックに地元repのプライオリティを強調するJAKE、という構図になっていて、両者のメッセージングを明白に対置されています。

個人的にはJAKE最後の「福岡をオメーは上げ続けんだろ」とのラインにはかなり上がりました。

異なるバックボーンもった両者ですが、その中でもrapとしては椿のバイブスとJAKE独特の言語感覚が際立って見えてきます。

ちなみにこのJAKEの3バース目、「酸欠状態」と本人が言っている通りで後半から明らかに失速するのですが、逆に言うとそれまでしっかり思考して言葉をひねり出していたということになりますよね。

椿の全身全霊のメッセージやdisを浴び続け、またそれらへ対応し続けていたところへ、突然フッとスイッチが切れてしまった感じでしょうか。

何度も言ってやる それほど大事なこと
2017 雑音がやかましい でもあたしの言葉の矛先
– 椿

逆にラストバースに入ってますます存在感を増していったのは椿の方で、音抜きの瞬間にしっかりと沸きどころもあって、かなり良かったのではないかと思います。

内容的にも熱いラインやテンションが衰えることなく継続していて、どこを切り取ってもUMBファイナリスト然とした素晴らしいMCであることを誰もが認識させられたのではないかと感じました。

うまい奴が勝つんじゃない 勝つべき奴が勝つんだ
だから諦めない
– 椿

そして最後がこちら。もう気持ちが最前面に出た渾身のラインという感じで、もうここまでで椿に感情移入しきっていた私はここでまたさらにアガりました。この日の椿は本当にかっこ良かったです。

勝つべくして勝つMC
そいつら蹴散らし 負けるべくして勝つMC
– JAKE

続いて後攻のJAKEも最後4本目。「勝つべき奴が勝つんだ」というラインへのアンサーになっているのですが、椿全力のパンチラインを飄々といなしていくようなラインで応戦。

引用した音抜きの瞬間のラインもハマっていて、JAKEらしい戦い方を展開してこの4本目は完全に持ち直している印象でした。

そしてバース後半。いきなり「今のは全然関係ない」というラインで始まってますが、これは書き起こしで「・・・」と表記したところで小節を数え間違えた主審のDOUGH BOYが試合を止めに入ってしまう、というアクシデントがあったせいでこうなってます。

各所で言われていますがそんなトラブルを「まだあるだろ」と乗りこなしたJAKEの臨機応変な対応がDVDでは丸々カットされてしまっています。

ビートの音飛びやラッパーの拍間違いなど、MCバトルの現場ではこうしたトラブルが往々にして起こるものですが、そうした場面に出くわしたMCの対応も試合の一部として判定・評価の対象になるのがシーン全体の共通理解と考えて差し支えないかと思います。

例えば同じUMBの2012本選、二回戦のSURRY対早雲の試合では、終盤に突然ビートが止まるアクシデントをものともせず、平然とrapを完遂した早雲が会場の評価を一気にかっさらって圧勝する、という場面がありました。

[UMB2012] SURRY v.s. 早雲

当時SURRYに比べプロップスの面で見劣りした初出場の早雲でしたが、実力伯仲の熱戦の最中、この難局を見事乗りこなしたことが決め手となって一気に流れを引き寄せたのですが、私がそれを知り、またこうして記事に出来ているのもそれがDVDに収められているからに他なりません。

そういう意味で、試合の一部を恣意的な編集で取り去ってしまった今回のこの編集については個人的に非常に残念に思っています。

それもこの対戦、大会屈指のベストバウト級の試合でのことであり、両MCのパフォーマンスや試合内容自体は非常によかっただけにそのショックも一方ならぬものがあります。

映像としては注意して見なければ一見気づきにくい程度に編集されてはいますが、それでも話の文脈でみるとその不自然さが際立ってしまいますね。

そして試合結果ですが、これはもはや確認不可能なラストの対応も手伝ってかJAKEの勝利に終わります。

次のBEST8の戦いで呂布カルマも触れていましたが、JAKEのとっさの対応が素晴らしいものであったことは確かなようです。

映像作品として致命的な編集が惜しくはありますが、それでも本試合は素晴らしいの一言に尽きます。

椿もJAKEもそれぞれにメッセージやスキル、キャラクターを余すことなくぶつけきっていて、白熱した展開が終始続く文句のつけようのないバトルではないかと思います。

ちなみにこの片手落ち感の残る編集は別の試合でも何点かあるようなので、ノーカット版DVDを別途販売するか、該当の試合をWEB上で動画配信するか、個人的にはなんらかの措置を希望したいところではあります。

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