BUCHI DA MIC v.s. cosmo da ug
UMB2017 一回戦 福井代表 BUCHI DA MIC v.s. 島根代表 cosmo da ug
今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPからこちらのバトルを取り上げます。
[BUCHI DA MIC]
お前の yo ゴミごと なんて要らない
ただのお年頃
俺にやると 落としどこ わからなくなるよ
サムライブルー 俺は危ないクルー
代表してる 拡大する勢力図
北陸 チェックしてみる?
俺のことが分からないやつ
cosmo da ug コイツのピンチ
[cosmo da ug]
Yeah ピンチかどうかはわかんねぇ
けれどもある人間には浮き沈み
ブルーノートみたいなもん
針落とすブルー
お前も曇り空を抜けて今日も来たんだろ? 福井から
鳥取から来たぜブチ上がるためにな
やりてぇことがめちゃくちゃあるぜ
今日も瞳孔 かっ開いてきたぜ
085からT.O.M.
打ち込みにきたcosmo da ug
[BUCHI DA MIC]
登場シーンだけはいっちょまえ
だけどrapの中身は全然ねぇ
Yo コイツとミスマッチ
カルマっち 早く出てこい
デスマッチ やりに来てんだよ
こっちはFKI 代表の名を4度も頂戴
してるからよ今回負けられない
ドンマイで終われないよ今回
[cosmo da ug]
ドンマイ 言ってくれる奴がいるだけマシなんだぜ
仲間のことを思い浮かべる今日の夜
T.O.K.Y.O 俺は鳥取
笑う膝 押し殺して来てるお前もB-boy
しっかりと結んできたぜ靴紐と腰紐
捕まるわけにはいかねぇぜ 出来たプライド
今日も埃取ってかけるレコード
いいもんがある digする東京
概要
8小節2本
勝者: cosmo da ug
解説
UMB2017 一回戦 福井代表 BUCHI DA MIC v.s. 島根代表 cosmo da ug
今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPからこちらのバトルを取り上げます。
UMB2012に始まりもう本選も5回目、常連中の常連と言っていいベテランのBUCHI DA MICに対して、今回が正真正銘の初出場となるcosmo da ug、地元鳥取ではなく、島根を制しての出場となります。
まず先攻はBUCHI DA MIC。相変わらずライミングもキレがあり意味的にも繋がっています。ただし最後までまで持続できていない感が否めず、アンサーできない先攻だけに、余計にその不安定さが浮き彫りになる立ち上がりです。
ライマータイプのMCは基本的に最後にピークアウトすることが求められるのですが、スキルどうこうよりもBUCHI DA MICの場合はそのペース配分で損してるような感じでしょうか。相手へのアンサーが入るとまた話は変わってくるのですが、スキルの披瀝という点では戦い方をもう少し工夫するとだいぶ見栄えが変わりそうな印象です。
対して後攻cosmo da ug。こちらは清々しいほどにライミングやビートアプローチを重視しておらず、このバースは本当に言いたいことをただ言っているような感じです。
そして面白いことに両者を対比して見たときに、明らかにcosmo da ugの方がrapに余裕があるように見えてしまうのです。
ひとつにはBUCHI DA MICが先攻であったこと、ひとつにはビートとの相性など、様々な要因があるにはあるのですが、伸び伸びとrapするcosmo da ugの方にやや有利な1本目だったのではないかと思います。
(あまりに自然体なrapで、後攻の有利をそれほど活かせてないような印象はありました)
そして2本目、BUCHI DA MICはそれでも冷静に突くところを突いて対応していきます。
そしてこちら。呂布カルマに対してのメッセージングですが、ライミングも乗ってインパクトを生みだしてます。
ただし両者に元々因縁があるわけではなく、新人をいなすための道具立てと見るべきでしょう。
個人的にはラストの「ドンマイで終われないよ今回」というラインの方が気持ちが入っていて良いラインだと感じました。これこそリアルな物言いで、偽らざる本心という感じがします。
そしてcosmo da ugの2本目。「ドンマイで終われない」というBUCHI DA MICに対してこのアンサー。もうどっちがベテランか分からないくらいの平静さで切り返していってます。
目の前の相手は眼中にないかのようなスタンスでrapするBUCHI DA MCに対して、ルーキーならば通常噛みつきにいくところをこのcosmo da ugは諭しにかかるかのような、余裕のある展開に持っていってるのが分かりますね。
そしてこの2バース目もライミングを特別意識しているわけではなく、ただただトップオブザヘッドで言葉を連ねていく感じで、制約がない分だけ余裕を感じさせます。技術点だけで言うと相当にマイナスになるはずのこの戦術ですが、常に尺やライミングに追われるBUCHI DA MICとはこの点が非常に対照的です。
Rapとしての技巧を追求しない代わりに、リリカルな表現や本心を随所に置いていくスタイルになっていて、それが逆にミスや焦りを感じさせない等身大のパフォーマンスという印象を生んでいたように感じました。
そんなわけでフタを開けてみればcosmo da ugの快勝。スキルやキャリアだけ見ればまさかの展開なのですが、相手に構わず伸び伸びとrapするcosmo da ugが支持を集めた感じでしょうか。逆にBUCHI DA MICの方は普通に挑んでいればもっと拮抗したはずで、作戦負けという感は否めませんでした。