[UMB2007] HIDA v.s. BES

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HIDA v.s. BES

UMB2007 一回戦 大阪代表 HIDA v.s. 東京代表 BES

umb2007_hida_vs_bes

今から数えて約10年前のこのバトル。今見ても非常に面白い、往年の名勝負だと思うのでpickupしました。

そして大阪東京の両代表が序盤で当たってしまうというのはこの頃から既にUMBの伝統と化しつつあったわけですね。

[HIDA]

Yo 自分ら よう聞いとけビートはZEEBRA

DJ KAZZ-Kの音で片付けるぜ

フリースタイル これが即興だ

どうだ? 東京にはねぇ スタイルだ

Yo BES yo BES yo BEST出せ

オマエが日本一の富士山なら

俺は世界レベルのエベレストだぜ?

You know オマエはダセェ

Yo motherfucker


[BES]

ありがと 今日のお相手よろしくね

俺 様子見で繰り出したジャブだ

気をつけな記憶の奥からまぶた

傷つけちゃうから速攻で聞きな

まぁその程度の芸当なら

できるよ キミ

言わせないで お宅はホモ?

Yeah 言い過ぎてごめんね

そういう感じで またフローで勝てるぜ


[HIDA]

英語が多い バイリンガル?

また汚い バイキンが言う

Yo 大東京 都会っ子

荷物をまとめてどっか行こう

Yo BES 中野区?

中野区ってオマエだけできない 仲良く

ハッ 握手はせんと

アクシデントあるぜ ULTIMATE


[BES]

大丈夫 仲良くする気なら

そんなのハナからありませんから

テキトーマイクで 火花散らしたいだけの奴にも

HipHop Dreamはここにあるから

マイク一本で 掴むのは お宅かどちらかだから

テキトー巧い奴に手ぇ上げればいい

テキトーヤバい奴に声あげればいい


[HIDA]

声あげればいい 一般ピー

違うよもちろん オマエは臭いことばっかり言ってる

なに? SWANKY SWIPEやな?

すまん キミ臭いプーやわ

言ってること 中身が無い

でももちろんオマエは何々系?

違うよ その帽子のかぶり方も

ニューヨークの誰かのそう 何々々系


[BES]

別に 言っとくか何々系?

テキトー言っとけ yeah yeah yeah

俺は気にせずにブチ込みてぇ

まぁ disならしょうがねぇ 名前だけ

俺の素性もなんにもしらねぇ

お客に 言われる筋合いはねぇ

ごめんね言葉にエッジが無くて

大丈夫 ナマクラ 十分斬れるぜ


[HIDA]

アイディア ビシッと決める

でも違うよ もちろん俺の方が日増しになる

寝るからもちろん練り返し

照り返し に背を向けないし

MIC握る HとI DADDY

420 煙に巻け

オマエは今日 俺に負ける


[BES]

まぁそんなこと 言ったって

勝負はすでにもう 目に見えてる

わかってる スキルの小せぇ差

小癪なこと言う奴は どいといてさ

やりてぇ奴が勝ち残るだけ

年末来年 良い年だぜ

とりあえず俺が優勝すりゃあな

わかってるか 東京

同胞homie なぁ?

概要

8小節4本
ビート: ZEEBRA / Street Dreams
勝者: なし(延長へ)

解説

UMB2007 一回戦 大阪代表 HIDA v.s. 東京代表 BES

umb2007_hida_vs_bes_2

今回はUMB2007からこちらのバトル。

もはや伝統となった大阪-東京対決。当時の東京はSwankySwipeのBES、そして大阪はHIDDADYが代表です。

こんなマッチアップはもう二度と見られないですよね。今振り返ってみると奇跡的な組み合わせだと思います。

そしてビートはStreet Dreams。この素晴らしいチョイスに会場も一回戦から否応なく盛り上がります。もうこの段階で既に期待大、楽しみ過ぎます。

さて、バトルが始まって先攻のHIDA。一見わかりにくいですが、随所にやや入り組んだライミングを混ぜていたりさすがと思わせるスキルです。

例えば「BES yo BES yo BEST出せ」など、凝った内容でもない、本当に何気ないラインですがビートアプローチや前後との噛み合い方がとてもスムーズで、流るようなrapの中で非常に印象に残る一節です。

2007年当時のrapの技術水準から言っても、当時HIDAやんがシーンのTOPクラスにいたことは間違いないのですが、そのことが非常によくわかる、とても素晴らしいパフォーマンスだと思います。

一方後攻のBES。こちらは音源と変わらぬ切れ味で鋭いフローに言葉を乗せていきます。

内容としてはHIDAとの対話という感じではありませんが、言葉選びのセンスが非常にハマっていて、聞く者に強烈な印象を残しています。

例えば2バース目最後、「テキトー巧い奴に手ぇ上げればいい」「テキトーヤバい奴に声あげればいい」という部分などはBESの良さがとてもよく出ていて、本試合最大のパンチラインではないかと思います。非常にかっこいいのですが、この雰囲気は是非映像で見て頂きたいと思います。

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この二人、それぞれに東京らしさ、大阪らしさを持った者同士でHIDAの方は特有のユーモア+ハードなライミング、対するBESは独特なフローとアティチュード、そして味のあるワーディングと、好対照をなしています。

また、バトルでのBESがどんな風になるのか見ものでしたが、音源そのままの感じをバトルの場にうまく持ち込んでいてこれがめちゃくちゃカッコいいです。

今で言うと数々のドラマを生んできたR-指定とDOTAMAの対戦のような対戦で、双方とも各々のスタイルや地域性、ラッパーとしてのキャリア、メンタリティなど、ありとあらゆる点で差異があり、それがこうして真正面からぶつかり合うわけです。

そしてどちらもトップクラスにrapがうまいので、そうした差異をものともせずにしっかりとrapでの対話、また、音楽としても見事に昇華していてエンターテインメントとしても余裕で成立しています。これが面白くならないわけがないですね。

さて、そろそろ試合へ戻ります。後半のHIDA。「SWANKY SWIPEやな」「すまん キミ臭いプーやわ」など、音韻にこだわった飾らない言葉を思いつくままに吐き出していきますが、この辺りは非常に大阪らしいですね。東京でハイクラスのバトルになるとこの手のワーディングはまず見られないと思います。

umb2007_hida_vs_bes_4

また、このバース後半での「何々系?」のくだりが個人的には印象に残る素晴らしいラインだと感じます。ストイックに言葉尻を追求していく大阪らしからぬスタイリッシュな一節で、BESへのdisの強度といい、メッセージ性といい、このバトルでHIDAやん最大のパンチラインではないかと思います。

一方で、これに対するBESのアンサーもまた奮っていて、「別に言っとくか何々系?」「テキトー言っとけ yeah yeah yeah」と、非常にらしさのある返し方で会場を沸かせています。

ライミングが硬いわけでも内容が強烈なわけでもなく、BESのスタイルそのままの一文が、只々ビートにハマっただけでもの凄くカッコよく見えるのです。ここはBESにとっての本試合最大の見せ場と言っていいでしょう。これに沸いた会場はさすがです。UMBは昔から客の耳が肥えてますね。

バトルのハイライトは3バース目にありますが、最後4バース目も両者それぞれのrapを思い思いにStreat Dreamsに乗せ、白熱します。

会場のお客さんも「いきなりベストバウト級の試合がきた」と思ったことだと思います。それくらい盛り上がりの凄まじい最高のバトルでした。

それでやはりというか、結果の方は両者に票が割れてドロー。勝負は延長戦へと続いていくのでした。

非常に熱いバトルで、私はこの一戦がとても大好きです。タイプは真逆ながらそれぞれにRapのクオリティも高い、最高のスタイルウォーズだと思います。

最近MCバトルを見始めたという方も、またBESを知らないという方も、MCバトルを楽しめる人であれば是非一度見ておくことをオススメします!

※ ZEEBRA

東京のMC。本試合のビートがStreet Dreamsであることから。

※ DJ KAZZ-K

本試合のバトルDJ。

※ SWANKY SWIPE

BESの所属クルー。

※ 420

大麻を表すスラングで、「煙に巻け」というのはそういう意味。

[UMB2007] HIDA v.s. BES” への4件のフィードバック

  1. 名無しのソナタ

    いつも書き起こしお疲れ様です。非常に興味深く拝見させて頂いております。
    この試合は最高ですね。何てことのないフレーズでもBESがラップすると物凄く格好良く聞こえるので反則です。相手にとっては相当厄介でしょうね。会場が一気にBESの空気になるあの感じが大好きです。

    リクエストとしては、個人的にUMBは2005〜2008の雰囲気が好きなのでその中のバトルの書き起こしをもっと見てみたいです。

    • > 名無しのソナタさん

      コメント頂きありがとうございます!

      このバトルはすごいですよね、
      盛り上がり方からして決勝戦かのような雰囲気です(笑)

      また、リクエストもありがとうございます!
      そのくらいの時期のバトルはまだまだ書けていないので
      少しずつ増やしていこうと思ってます!

  2. 何年越しのツッコミだよって感じで恐縮なのですが、ベスの一本目、オタクはホモではなく、オタクはオモローですね。
    当時流行っていた世界のナベアツを引き合いに出して、ヒダヤンをお笑い系のラッパーとして揶揄しているラインです。

    • > さとうさん

      コメント頂きありがとうございます!

      ご指摘頂いた箇所ですが、実際の発音や文脈の前後関係など勘案してもちょっとなんとも言えず、すみませんが一旦保留にさせて頂きたいと思います!

      他にも同様の声が上がってきた場合に再度検討させてもらいますー

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