Kowree v.s. mol53
UMB2012 BEST8 島根代表 Kowree v.s. 宮崎代表 mol53
今回はUMB2012からこちらの一戦を取り上げます。
どちらも本選初出場で、かつ島根・宮崎とそれぞれ地方をレップするMC同士という戦いです。
それでは試合の模様をご覧ください。
[Kowree]
Yeah 昭和59年製造 こういうやり方
サンプリングしながらやってく「破壊と再生」
ダサいと最低 出すなよmol53 俺たちは
クソみてぇな底辺 から天辺燃やしに来たんだろ
ゴミみてぇな俺らだけどな
上がりてぇもんがあるからやってんだよ
泥臭ぇ宮崎 未だに そう30代 20代後半
でも自由な思想が湧き出てるからオマエとぶつかり合ってんだろ
[mol53]
Yo yo 30代とか先の話してんじゃねぇよ
オマエ明日には消えてるかもしれねぇクソなMCじゃねぇかよ
速攻でシバいてくぜ 破壊と再生
マイメンのアンセムは金じゃないぜ
俺たちは核心を突き オマエたちのプロップスをもらいに
腹を満帆に空かす yeah 空かして来たぜ
hey yo オマエのフカシ気かねぇ
ここら辺で一発 一発かましてく
[Kowree]
Yeah 確かにアンセム
病んでる街から俺たちはやってる
そういう さっきからオマエたちのそうローカル
とかどうなるか知ったこっちゃねぇ
What’s your name? mol53
昨日からの仲間か知らねぇ ここでdisり合う
まさに見つめ合うそんな体勢 じゃねぇさ俺たちは
俺たちは体勢崩したって
なんだって1-way まだまだやってるぜ
いきなり オマエと当たれて上がってるぜ俺は
まだまだベスト8まで上がり足んねぇだろ
[mol53]
Hey yo 上がり足りねぇ オマエじゃ上がらねぇ
ただの鎮静剤 ここら辺で終わらすぜ like a オノヨーコ
みたいにまずはこの周波数を合わして
ジョン・レノンみたいなイマジンで投下してく
オマエたちのアタマの中と俺のアタマの中
心と連動さして魂の会話 hey yo 続けてようぜ
2012 コイツはマジBULLSHIT
[Kowree]
オノ・ヨーコじゃねぇ俺ならばジョン・レノン
みたいな感じ俺の言葉でぶっ飛んでろ
そんな感じだぜ まさにwar is over
みたいなオマエサービス問題みたいなやり方やってんじゃねぇよ馬鹿野郎
そうやって 底辺からレペゼンして ここまで来た
頭が イカれたとこからやってんだろ
まだまだNew Yorkよりも究極になりてぇんだよ
修飾した言葉でな まだまだ中毒性には程遠いぜオマエはな
[mol53]
おいおいおいおい 俺は確かにできてないよ就職
だって中卒 なmotherfucker
そいつがStreetDreamsじゃねぇか
だから俺はこれを掴んで掴みに来たぜ
誰だってやれるかもしんねぇマスター売名
オマエとは違うことを根っこから反映
させるからしねぇとオマエ東京のdream yeah
[Kowree]
Yeah 確かにStreetDreams
俺ならばNasやZEEBRA
みたいにいつかじゃねぇ 今なってんだろ
こうやって立ち上がることが オマエより成り上がる
みたいな天辺がHeadBanger
そういうところじゃねぇんだ
心に伝えたい ものがあるから こうやって
東京まで出てきた わざわざな
田舎もん 最初の歓声はまったく少なかった
今はどんな感じだぜ 頭イカれてるのはどっちの方だ
[mol53]
頭イカれてるのは俺の方だろ間違いねぇ
そいつは一目瞭然ここら辺で捨ててくぜ?
生ゴミ扱い 俺がよく言われる不燃物
ローカルで燃やして燃やし足りねぇならまた燃やすぜ?
東京大東京 バイト代稼いでから赤字で笑えねぇ!
でも勝つために100万 マスターギャンブル
これは博打 一発勝負賭けるMC
概要
8小節4本
ビート: MC漢 / 破壊と再生 feat RUMI,KEMUI
勝者: mol53
解説
UMB2012 BEST8 島根代表 Kowree v.s. 宮崎代表 mol53
今回はUMB2012からこちらの一戦を取り上げます。
両者ともに本選初出場な上、それぞれ島根と宮崎をrepしていて、「地方から成り上がる」というHipHop的なシナリオが要請されたMC同士の対戦となりました。
ビートは漢の「破壊と再生」で、先攻のKowreeは出だしから「昭和59年製造」とリリックを引用しつつ会場を沸かせます。熱いです。
そしてそのKowree、ここまで勝ち上がって来ただけあって、ラップ巧さも相当なものです。
「20代後半」からの「自由な思想が」など、ライミングを重ねながらメッセージを伝えていくという、オーソドックスながら熱のこもったバースを吐いていきます。
引き出しが多い、ということもあるのでしょうが、例えばmol53の2バース目を受けて3バース目の「ぶっ飛んでろ」、さらに「war is over」からの「サービス問題」など、相手の振った話題を継続しつつ見事に打ち返しています。
一方のmol53はフローの緩急やメッセージ性といった点を前面に出して勝負しています。これはKowreeと比べると顕著ですね。
特に3バース目の「バイト代稼いでから赤字で笑えねぇ!」など、ところどころ語気を強めてスピットしていくスタイルでかなりバイブス高いです。
また、前述したように地方叩き上げで上がっていく、という姿勢がどちらも色濃く出ていて、スタイルは正反対ですがその1点においては両者共鳴しあっているようにも見えて、中々熱い展開になっているんじゃないかと思います。
Kowree4バース目の「最初の歓声はまったく少なかった 今はどんな感じだ」のラインに見て取れるように、無名MCが全国の舞台でプロップスを得ていく過程はこうした大会の1つの醍醐味と言えるでしょう。
それを体現する者同士のぶつかり合い、という要素がこのバトルを一層盛り上げていると思います。
それで勝負の行方ですが、バイブスで勝ったmol53の勝利です。どちらが勝ってもおかしくない、僅差のバトルだったと思います。
そしてご存知の通り、Kowreeもmol53もこの試合を契機に全国の様々なバトルで名を馳せていくことになります。
前年は晋平太が圧倒的でしたが、地方で鳴らしたかっこいいMCたちが多数台頭してきて、2012以降は「誰が優勝するかわからない」という状態がより顕著になっています。
また、本試合も含めて大会全体のレベルがまたひとつ高まったと感じられるのもこの年の特徴ではないかと思います。
※ 昭和59年製造
本試合のビート「破壊と再生」よりKEMUIバースの引用。
※ war is over
John Lennon / Happy Xmas (War Is Over)
※ マイク1本あれば逆転できるってMC漢が言ったじゃねぇか
成るべくして成る漢の考え/漢
※ StreetDreams
ZEEBRA / STREET DREAMS