[戦極MC BATTLE 第8章] TK da 黒ぶち v.s. GOLBY

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TK da 黒ぶち v.s. GOLBY

戦極MC BATTLE 第8章 TK da 黒ぶち v.s. GOLBY

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今回は戦極8章からこちらのバトルを取り上げたいと思います。いかにも戦極らしいマッチアップですね。

[TK da 黒ぶち]

Yo どうせオマエは8小節4本じゃ

本当のところも伝えられない

like a コント みたいな感じだ

混沌とした街中で

俺はリリシストとして 磨きかける

そのニヤついた表情が気に入らねぇな

Yeah かぶれハット リリーフランキー

また言ってやるぜあのパンチライン

悪夢のそう 再びまた悪夢をオマエに見せてやるぜ

俺が勝つのは間違いなさそうだ

Not slow down


[GOLBY]

オメーもしつけぇな リリーフランキー

オシャレじゃねぇよ ほれ俺は普段着

オマエと違ってしおれたパーカー

負けんのは今回はオマエだバーカ

Yeah 知らねぇぜこんなのまるで

中身は二時間煮込んだハンバーグ

Yeah オマエのスタイルもハンパだから

ここらで終わらすぜ 1バース


[TK da 黒ぶち]

Yeah さっき言われたぜ

「TK da 黒ぶちハンパじゃねぇ」

わかるだろ? オマエらに感謝だぜ

オマエのそう フローはどんなもんかわからないが

I got a monster

Microphone握ったら止まらねぇさ

リリーフランキー 普段着だとしても

Make the funky

Rap to da junky

間違いは無いし

いつも通り放つMICで内心

Yo 心の内側 口から吐き出すぜ

オマエとは違うやり方さ


[GOLBY]

Yeah オマエとは違うやり方で

オマエはいつもそうやって

神がかりなライム

確かにオマエはフローが良い

だけどそうやって俺はケンカ売る商売

Yeah 必要ないぜ 韻とフローの

プライド賭けたこれは戦い

やっぱ負けたら儚いが

俺もオマエもそうだけど

やっぱ韻がハンパない


[TK da 黒ぶち]

Yeah ケンカするのが商売?

All right 大丈夫か?

韻踏めてないぞ オイオイ

そんな感じさ オマエのライムが際立ってない

自分のスタイルが商売

ならばつけちまってる勝敗

白と黒 出していくフロー

フローだけじゃねぇぞ

俺は熱さ 内面を

MICで放ってるだけさ

鼻垂れなフロー

ちゃんと目を合わせて

ここら辺でバチバチと

火花散らすのが俺のスタイルさ


[GOLBY]

ここまでは ただの様子見

指摘は終わりか? じゃあもう用済み

対戦相手に期待をすんな

踏んではいけない地雷を踏んだ

Yeah オマエが助かったよ

Yeah オマエの気合 今回は生半可

春日部に2回 負けられねぇ

Motherfucker

勝つ これは俺の番だ


[TK da 黒ぶち]

相手に期待したいと思ってるぜ

俺は魂の会話を求めてる

一人じゃバトルは成り立たないからな

オマエとの口のせめぎ合いを求めて

ここに来てんだよ

なんかの縁で当たってる

これは偶然かもしれねぇが

風船 みたいに膨らましてくぜ

時間は有限 その中で目指す

ゴールという最終地点

Yo オマエとは違う意見があるが

地雷を踏んだ

爆破しても 生き残る

like a ゾンビ


[GOLBY]

Yeah オマエが踏んだ地雷はそうだな

これから生まれてくる俺にとっての韻の時代だ

Yeah それか時代か

期待感あるけどやっぱまだまだ

俺とオマエこんなrapがしたいじゃん

Yeah だから友情の中で

通常の倍速だってやるぜ

Yeah 俺らのライムがお買い得?

そんなことはねぇよな?

オマエは俺の 最高のライバル

Yeah だけど今夜は勝たしてもらいます

概要

8小節4本
ビート: French Montana / Shot Caller ft. Charlie Rock
勝者: なし(延長へ)

解説

戦極MC BATTLE 第8章 TK da 黒ぶち v.s. GOLBY

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今回は戦極8章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

ビートが少しノリづらい、扱い方の難しそうなものになっています。

まず先攻はTK da 黒ぶち。緩急をつけたスムーズなフローでのすべり出しです。

また、「そのニヤついた表情が気に入らねぇな」のところで地の会話のような調子に切り替わるのですが、普段のフローにリズムがある分、より内容が強調されるという効果を生んでいます。

さらにバースの後半では、「リリー・フランキー」とUMB2011本戦でのNAIKAのラインを引用して攻め立てていきます。GOLBYにとっては負けたバトルの一節であるため、「悪夢」というのは本当にその通りなのでしょう。

ちなみに余談となりますが、この「リリーフランキーネタ」は別大会であるAdrenaline2014、R-指定との延長戦で蒸し返されてます。

[ADRENALINE2014] GOLBY v.s. R指定 延長

1バース目としては全体的にそつの無い内容で、スキルの高さを改めて感じられるバースではないかと思います。

続いて後攻のGOLBY。「オメーもしつけぇな リリーフランキー」と受けて、「俺は普段着」でキレイにライミングさせていますが、この異様なスムーズさは相当disられ慣れている感じですね(笑)

そして「しおれたパーカー」のくだりは押韻も内容もしっかりつながっていて、これぞGOLBYといった感じのキレイなパフォーマンスです。その後も8小節目まで同じ韻で通してバースを終える辺りはさすがです。

2バース目は一進一退の攻防という感じで、TKは1バース目同様にメリハリのあるフローで変幻自在にrapを続けます。

中盤の「いつも通り放つMICで内心」など、1バース目同様に突然フローを切り替えて言葉の意味をそのまま聞いて欲しい部分を際立たせる手法は功を奏しているように思います。

一方のGOLBYはラインとラインのつなぎ方にあらが目立つような印象を受けましたが、それは即興性の高さを意識していたことの裏返しなのではないかと感じました。

随所でストックを利用しつつも場面や相手の言葉によく注意を払っていて、その場で最適な言葉を引き出すことに心を砕いている様子が見て取れるのではないかと思います。

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そして3バース目。先攻のTKは「大丈夫か?韻踏めてないぞ」と日頃の良さを出し切れずにいるGOLBYを煽り立てます。

しかし「オイオイ」のところ、厳密に言うといわゆる踏み外しになるのですが、語気を強めた瞬間的なインパクトもあって会場も盛り上がります。

対するGOLBYはそれを受け、「ここまではただの様子見」「指摘は終わりか?」とアンサー。ご覧の通り内容の上ではしっかりとした対話になっていて、この一戦に熱さを加えている感じでしょうか。

そこから続くのは「期待をすんな」から「地雷を踏んだ」への七文字踏み。意味とライミングの均整が取れた内容で、こちらも負けじと場を沸かせています。

そしてラストの4バース目。「相手に期待するな」とのGOLBYに対して「魂の会話を求めてる」からの「一人じゃバトルは成り立たないからな」というラインが文脈上ものすごくハマっています。

TKはその高い即興性のゆえに、たとえバトルの終盤であっても敵の内容へ的確にアンサーを打ち返していけるのだと思います。TKと言えばフローの豊富さに目がいきますが、アンサーでの安定感という点も相当なものです。

また、続くバースの後半では「偶然」「風船」と細かい押韻が入りますが、どちらかと言えばライミングよりも前の文脈をしっかりキープした内容の連続性の方が印象に残ります。

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続いて後攻のGOLBY。こちらは対照的に内容よりも押韻の印象が強く、「地雷は」「期待感」などの細かい押韻。

続いて「通常の倍速だってやるぜ」のところではこの1小節を契機に踏む言葉をスイッチさせるという膨大なストックをもつGOLBYだからできる技巧を見せていました。

中盤からなんとか持ち直していましたが、冒頭の部分では意味・内容の面でTKと比較してやや見劣りする部分もあり、メッセージのTKとライミングのGOLBYという構図がより色濃く現れていたのがこの4バース目ではないかと思います。総じて、それぞれ「らしさ」の出ていたバトルになっていました。

そんな展開のバトルでしたが、判定は割れて結果はドローに。勝負は延長へと進んでいきます。

個人的には惜しいと思ったのが主張の強かったバトルビートで、これがもう少しライトでノリのいいものだったら、という印象は否めません。ビートのせいで両者の良さが3割くらいは殺されてしまってたんじゃないかと思います。
(あくまで私見です、あしからず)

ちなみにこの一戦は公式の動画がyoutubeに上がっていますのでまだ見ていない方はこちらをチェックしてみてください!

※ リリーフランキー

日本のタレント。

※ また言ってやるぜあのパンチライン

UMB2011本戦にて、GOLBY vs NAIKA MCの一戦でNAIKAの放った以下のライン。

「よく見たらリリー・フランキー 『東京タワー』書いてろよ」