[戦極MC BATTLE 第17章] FRANKEN v.s. 山本びんた

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FRANKEN v.s. 山本びんた

戦極MC BATTLE 第17章 1回戦 FRANKEN v.s. 山本びんた

今回は戦極17章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

[FRANKEN]

Yo マジでそうさ この場でぶちかましてくぜ

のび太に向かってマジでビンタかましてbitter

調子はどうだ? そうさ ビビんなチビんな

俺はエンターテイナー

お前の顔は変化ねぇな

チビんな マジでガチガチ

俺のrapはマジ卍

こんな感じで俺マンチ

クソピロリアンは死んどきな


[山本びんた]

俺はビデオ映写室では

12倍速にも8倍速にもしない主義だ

そういう趣味はない ゆっくり聴きたいぜ

起承転結 こいつ殺してばっか

結果を残すのは何って

板で決めるインフルとちょっと


[FRANKEN]

お前はなんだかウンチ臭ぇな

かますぜ今から羞恥プレイだ 変態野郎

マジでこの場でかましてくぜ

俺はそうさ全開で行っとくぜ

頭のゼンマイ 全開 外れちゃってるけど

溜まってる状態の台場シティーに

挨拶しに 来ましたぜ

マジでこの場で狩ってやる お前の首

乱射サーチ ハンパない


[山本びんた]

さっきから 「だからそうさ」「だからそうさ」って言ってるけど

お前が一番操作されてんじゃねぇの?

だから捜査線上にはお前はいない 俺がいる

360度 視野前方

ここから仕掛けんぞ

概要

8小節2本
勝者: FRANKEN

解説

戦極MC BATTLE 第17章 1回戦 FRANKEN v.s. 山本びんた

今回は戦極17章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。この試合も個人的に好きです。

まず先攻FRANKEN。1バース目ファーストラインから彼らしいrapをしていくんですが、会場からの盛り上がりも大きく、もうFRANKENがrapするだけで声が上がっているような状態です。これは完全に役得ですね。

倍速フローとライミング、そして「ピロリアン」などの独特なワーディングで沸かせていきます。

のび太に向かってマジでビンタかましてbitter
– FRANKEN

ご存知の通りFRANKENはどちらかと言えば内容を練り込むタイプではなく、トップオブザヘッドで「いかに言葉を途切れさせずに継続できるか」という点を重視するスタイルなのですが、ネタだけ言っているわけでもなく、ちゃんと相手へのdisも混ぜてくる辺りは面白いです。

メディア上ではネタキャラ扱いされる帰来もあるようですが、いざrapとなればさすがのキャリアだとは思います。

俺はビデオ映写室では12倍速にも8倍速にもしない主義だ
– 山本びんた

対して後攻の山本びんた。こちらは同じトップオブザヘッドでありながら完全に内容を練っていくタイプで、もう完全に好対照をなしています。

例えば上で引いた冒頭のラインはFRANKENの倍速フローを揶揄するラインで、直接言及せずにメタファーで包みながら暗示していくようなやり方を採っているのが分かります。FRANKENだとこんなやり方はまずしませんね(笑)

この両者、そのバックボーンも対照的で、FRANKENの方はバトル勃興期である2000年代前半から3on3MCバトルなどいくつもの大会へ出場し、バトルMCとしてストレートな経験を積み上げてきたベテランなのに対して、山本びんたは地方出身の若手MCとしてUMB2015のファイナリストである他、スポークンワーズの大会にも挑戦していたりと、rapのみに閉じない活動をしています。

[UMB2015] 泉ピン太郎 v.s. 山本びんた

そんな二人のキャリアはそれぞれのrapにも色濃く反映されていて、そういう背景も踏まえた上で観てみるとまた違った視点で楽しめるんじゃないかと思います。まさにスタイルウォーズと言える対戦ですね。

お前はなんだかウンチ臭ぇな
かますぜ今から羞恥プレイだ
– FRANKEN

さっきから 「だからそうさ」「だからそうさ」って言ってるけど
お前が一番操作されてんじゃねぇの?
– 山本びんた

FRANKENのバースは音として緩急や起承転結があり、ピークアウトする部分では気持ちよく耳に入ってくるので、その辺が有効打として機能している感じです。

他方で山本びんたは内容の起承転結。相手の言葉を受けつつちゃんとオチをつけていて、一連の意味の繋がりとしてrapを完結させようとしているのが分かります。

8×2と短い試合でこの展開なので、対話やアンサーらしいアンサーで相乗効果が生まれにくく、オーディエンスの判定もそれぞれの好みによる部分が大きくなっていく感じです。

あとはもうバイブスというか、バース中の瞬間的なスパイクがモノを言ったというところでしょうか。

そういうわけなので最初から空気をかっさらったFRANKENが優位なポジションをとったまま逃げ切り、そのまま勝利を掴み取っていきました。少し意地悪な言い方をすれば、最初からオーディエンスを味方につけて逃げ切った格好と言えるかもしれません。

これが8×4等の長丁場であれば山本びんたが徐々に圧倒してく展開も十分にありえたのですが、そういう意味では戦極の1回戦、当日初お披露目となったFRANKENが対戦相手だったこと自体が山本びんたにとって不利な条件だったかもしれません。そういう意味ではキャラクター勝ちと言えるかもしれませんね。

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