[ミステリオ]
先攻取んのは当たり前
前回のリベンジ叩き上げ
降らすぜ赤い雨
ブロッケンJr. 勝つのは当然無理さ
Yeah ダンディー dancin’
フェンシングじゃないぜ このやり方
体型マジで ポムポムポムリン
主人公 ゴムゴムのルフィ
[スナフキン]
yeah 終わった?
ガキは帰る時間だぜ
もちろん 言葉 じゃねぇな
さらさらマトモにやるつもりもねぇ
そのまま刺さってるよお前に
関西なのに 笑えねぇよ 失笑しかねぇだろ
実証 it’s like this y’all
もちろん手合わせ合掌 like y’all
[ミステリオ]
一般家庭で育った俺
もちろんこの勝負 勝つのは俺
聞かすぜこのrapのメドレー
お客さん俺に一目惚れ yeah
Yeah 気合が違ぇ
次元も気合もなんにも違ぇ
不器用な人間 失敗の連続がなきゃ
成功に気づかねぇ
[スナフキン]
失敗の連続がある割に 何も学んで無ぇみたいだな
HipHopってのはHipは知識で
Hopは行動 つながるレコード
Hold on 黙らしに来た
4つのエレメンツが大事だぜ
合わしたビートに三下
満下 HipHopを感じねぇ
[ミステリオ]
大切なのはエレメンツ
集まる17 どえれーメンツ
俺には無いぜ 社会常識
On fire 鳴らせ火災報知器
Yo 今日は掃除機
キューンってダイソン 掃除機 みたいな感じ
こいつの最後のバースが遺書代わり
耳に残してやるぜ
[スナフキン]
Yeah 火災報知器はBASEかfrogか
mol53かCIMAが鳴らしてるぜ
黙々目論んで ノープレブレム
Flow like a butterfly, no problemだぜ
つまり黙々目論む スローにロックするO’clock
速度 なしだぜ目論む
喪黒じゃねぇけども黒になってるぜモクモクで
概要
8小節3本
ビート: MSC / 音信不通
勝者: スナフキン
解説
戦極MC BATTLE 第17章 BEST8 ミステリオ v.s. スナフキン
今回は戦極17章からこちらの一戦です。
ミステリオとスナフキン、両者ライミング主体のスタイルではありますが、ユーモアやギャグを前面に押し出すミステリオに対して、スナフキンはrapのかっこよさを軸にしてバースを構成するシブいMCです。BEST8にしてこれは中々面白い組み合わせが見られました。
試合の内容ですが、大方の予想通りに先攻ミステリオがユーモラスな語彙をライミングに乗せるスタイルで攻勢をかけていき、後攻スナフキンはそれを突っぱねつつカッコよくまとめ上げる、という流れで展開していきます。
まずはミステリオ1本目から。これがスナフキンだったら「ポムポムポムリン」なんてまず言いません(笑)
そしてこちらはスナフキン冒頭の一節。そんなギャグ全開のミステリオを突き放す内容から立ち上がります。
「関西なのに笑えねぇよ」とdisもかなり直接的で、ライミングを絡めながら言いたいこと言ってる感じです。
そこから続いてビートのサンプリング合戦が続きます。このシーンは本試合のハイライトのひとつではないかと思います。
「音信不通」、もう10年以上も前の古い楽曲になるんすが、それぞれ有名なラインを抽出していて会場も良い感じに反応しています。またどちらもバースへの組み込み方が自然で上手いです。
特にミステリオの方は本来ダークなラインにアレンジを加え、意味を反転させて利用しているんですが、元ラインとのギャップがユーモアを生んでる感じですね。これは非常にミステリオらしいサンプリングだと思います。(どういうアレンジかはぜひ原曲と聴き比べて見てください)
そしてこの対戦で最大の見どころはスナフキンのアンサーで、ミステリオがここぞとアツい内容を吐き出せば、スナフキンがそれに合わせてカッコよくカウンターを食らわす、という面白いやり取りが何度もありました。
ちなみにスナフキン後半部分にはちゃんと元ネタがあって、KRS-Oneの”Hip Hop Lives”という楽曲から、下記のリリックを引っ張ってるわけですね。
なにが凄いってこの偶発的に生まれた文脈にアンサーとして自然な形で引用、そして見事に自分のバースとして収束させていくそのスムーズさでしょう。
知ってる人が観ればニヤリとするパンチライン。さすがにこれはスナフキン強過ぎです。
続いてもスナフキンの超絶カウンター。瞬発力もさることながら、ただ押し返すのではなく、あくまでも「カッコいいフロー」の中で反撃しているという辺りがなんともスナフキンです。ミステリオの放った長めの韻ものここも会場が大きく沸いてました。
そこから着地に至るまで、短い韻を刻みつつ最後の「黒になってるぜモクモクで」というラインで火災報知器の話題を見事に回収していて、冒頭の当意即妙な切り返しに始まって、勢いづいたまま最後まで一気に疾走していった感じでした。
そんなわけで勝者スナフキン。これはもうアンサーの威力がそのまま結果に表れた感じですね。
ミステリオもオーディエンスへのアピールなど、会場を味方につけるような戦い方で応戦していたんですが、そんな作戦も一発のアンサーで吹き飛ばすという展開が何度かあり、スナフキンの強さが純粋に感じられた一戦でした。