Scooby J v.s. ロープ
UMB2017 三回戦 奈良代表 Scooby J v.s. 福島代表 ロープ
今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPからこちらのバトルを取り上げたいと思います。
[Scooby J]
枚方になら 地元の音楽
そこに光が差す地方のローカル
一刀両断する 俺はまるで
分かるか? 一番のリードオフマンだぜ
お前を致死量オーバー
つまりは出血多量
教えるライムは踏んでなんぼ
首にロープ巻いて忠犬ハチ公 hello
[ロープ]
難攻不落 そのフラッグ掲げたって
おめーのスタイル motherfuck
スタイルウォーズ過ぎて考え方が違う
Rude boyたちもそれじゃ踊らねぇ
かまし合い 言葉どれだけのものさ
物差し ブッ刺す核心
各地 轟かす おめーならば
ジャグジーに入ってバブルでまた終わりだろ hi
[Scooby J]
ハイハイなんてみっともなさが出てる
ブラックでもトトロ 白旗をかざしな
Yo 県から西向きの方角
俺も火の粉散らす昇り竜 みたく登るぜ
剣先を刺す 俺は常に天涯孤独
それでも吐き出した潜在能力
Rapper 力はペン先にこもる
[ロープ]
ペン先えぐる
言葉 連鎖反応 センサーが反応
てめーに反抗
てめーの衝動も反動もザイオンも感じないから
パンチライン気取ったカス カス
FA一発
食らわす言葉 タフです
だけどタフネスのバース パス
[Scooby J]
パンチライン語るとかどうか言ってる割に
こいつ 今のがパンチラインらしい
ハァ 笑わせんな 泣きっ面に蜂
ロープ 俺の前ではパンチングマシーン
三河くるから その辺 どうだ?
お前はまだまだスキルがどうか
ブラック言うてる割に全然スキルの方は白帯ラッパーですねー
[ロープ]
導火線 そいつじゃしょうがねぇ
放火して おめーのrapの頭がどうかしてる
同県に見える yellowに見える
yellow black ah-ah uh uh
鬱憤晴らすバース 俺なら言葉また腹空かす
だけどもカスにパスするマイクはないから
Lifestyle これを掲げるだけ
[Scooby J]
Yellow まるでRUMIみたく俺は
曇るだけ 肌の色はyellow わかる?
それでも浴びる 黄色い歓声
ロープ もはや死と隣り合わせになってるぜ
その辺 分かっか?
なんてお前はいつだって頭ん中
すっからかん それが分かるか
しょせんは内弁慶 首元に有刺鉄線
[ロープ]
有刺鉄線 全然 激戦
赤面 おめーの顔なら赤面
吐いて 焚いて 巻いて 繰り返しの
体験のルーティンがこのバース
から吐き出したrap 感情とともに
止まらないバースで歌いたいから
俺の方が音楽 お前はバトルMC
それだけは明確 おめーの計画
概要
8小節4本
勝者: Scooby J
解説
UMB2017 三回戦 奈良代表 Scooby J v.s. 福島代表 ロープ
今回はUMB2017 GRAND CHAMPIONSHIPからこちらの一戦。この試合は個人的にかなり好きです。
ムートンの盟友としてTRI MUG’S CARTELで活動するロープ、ムートンも宮城代表として参戦していたのでクルーとして2名代表を送る込んだ格好となりました。ロープは前年に続き2回目の出場で、バトルでも音源そのままの雰囲気がよく出ていてかっこいいです。
ちなみに音源はこんな感じになってます。こちらもヤバいです。
一方のScooby J、UMB本選は今回が初出場になるんですが、このScooby Jが本当に素晴らしかったです。
例えばこの1バース目着地の部分。ハードに踏みながら相手の名前を材料にユーモア混じりにdisで締めてます。
彼は基本的にライミングで盛り上がりを作るタイプのMCなのですが、押韻よりもむしろワードセンスやピーク作り方、バースの構成が上手いタイプのMCだと思います。
さらに少し長いですがこちらは3バース目立ち上がりの部分から。前半相手へのアンサーは思っ切り内容面に振ってますが、そこからライミングへまとめる流れが非常にスムーズですね。そして内容の面白さにも目がいきます。
ライミングと両立させながら内容面も追求していく感じや、言葉の選び方、バースの組み立て方など、全体的にはK-razyのスタイルが近いんじゃないかと思います。
特に勢いに乗った場面でライミングが内容を引き立て、また内容の強度がライミングを強調するような、そんな相補的な瞬間が調子がいい時のK-razyを彷彿とさせる印象です。
オーディエンスのツボを決して外さないデリバリーをしている印象で、その上それがこの8×4の尺でも中だるみせずに終始維持されていて、クオリティー的にもかなり安定してます。
初出場でこの3回戦まで上がってきたその実力は伊達ではなく、今回この一戦も考えうる限り最高のパフォーマンスじゃないかと思います。いや本当面白いです。
さて、一方のロープです。
こちらはビートに対してうまく自分のフローをチューニングしている感じで、いい意味で1ライン1ラインがビートに溶け込んでいく感じです。そもそもこのビートがロープにめちゃくちゃハマってますね。
こちらも気になるラインを抜き出してみます。
相対的にフローとrapのギミックが前面に出ている印象でしたが、こうした要所要所のメッセージングではフローを損なうことなくちゃんと主張が前に出てきます。
Scooby Jがライミング+内容というスタイルなら、こちらはフローやアプローチ+内容といった感じで、異なるスタイルで内容をぶつけ合っていく非常に高度な試合が観れた印象でした。
そしてそんな試合を制したのはScooby J。スタイルウォーズな好カードだったんですが、デリバリーのフレッシュさや面白み、また内容の起伏がrapにより表れていた点が作用していたかな、という印象です。とにかく彼のrapは形式的にも内容的にも興味をそそるラインの連続でした。