[GADORO]
空間を支配する韻の黒魔術
己への狂気に正気すら失う
バッチリとこの場所で一線を画す
裂固ちゃんこの場所で死んでお陀仏
Yeah 無念だがオマエは着実に刻一刻と破滅へと向かっている
この場所で打ちくだく痕跡とバックボーン
目に焼き付けておきな衝撃のラストを
[裂固]
衝撃のラスト 俺の覚悟 オマエが勝るか?
Hey yo オマエはがらくた
ナマクラの武器 中途半端
Hey yo オマエはなっちまうここで重症患者
Hey yo まるで盗難車 どこまでも逃亡しろ
俺はこの爆心地 バッチリ合わせながら
新人でもインチ 合わせながら
そう 冷徹なまるで殺人鬼
[GADORO]
Yo yo 殺人鬼 つまりアルカイダ
イかれてる殺害者
オマエはdisられて危ないな
Hey 重症患者?
俺は勇猛果敢
牛丼屋さんに食っとけ
俺は柔道技決める
Yo BEST8でそのスキルは情けが無い
そのスキルで俺に勝てるなんざマジで哀れだぜ
Yo わかるだろ BEST8
テスト勉強からし直しなクソガキが
[裂固]
クソガキ yo 情けが無い
もっと押韻俺に勝ちたけりゃ固めなさい
Hey yo オマエはマジでダサい
残念 オマエは長いこのビートにも乗れない
この危ないな って言ったかもしれないけど
俺の方がサグライマー いじくっちゃう悪代官
俺はスナイパー hey yo バッチリ合わせる
Hey yo そう オマエをこんがり焼くフライパン
[GADORO]
フライパン オマエがどんぐらいか
オマエが高山ならば俺はドン・フライか?
わからない ボコボコにしてやるぜ顔面
わからないけど足んねぇ オマエはスキルが足んない
裂固 オマエの武器は韻しかない
そんなやつで俺に勝てるなんて信じがたい
ありがちの韻を踏むガキがひとり
明日命すらもないぜ 今日が旅立ちの日
[裂固]
Yo 旅立ち そう 始まる長旅
Hey yo 俺はそう どんだけあってもしない瞬き
真剣な眼差し
オマエの武器 心臓到達しない刃渡り
Hey yo どこまでも行くぜ
俺の心臓にバッチリ突き刺すこの韻
Hey yo 落としながら 先
裂固 上げてく狼煙
Yo オマエよりも断然ハイテクノロジー
[GADORO]
ハイテクノロジー yo 怪傑ゾロリ
って言ったの覚えてるか? KoK
青少年 Bey4K から聞いときな
オマエは死んどきな
尻もちはつかないようにしっかりと地に足つけろ
押韻を踏むことに必死すぎて
結局は生き様もすべて語れねぇじゃねぇか
俺は身を削ってでもな執念を伝える
ジエンド オマエはここで終焉を迎える
[裂固]
Yeah 終焉を迎える
残念ながらオマエは俺に負けて宮崎に帰る
俺がこの歴史を塗り替える
Hey yo バッチリこの場所で死体を積み上げる
Hey yo 俺の方が韻もかっけーだろ?
それが誇らしい
アンタは友達になれたかもしんねぇけど
この先 向ける矛先
Yo 裂固 優勝まで一杯の面舵
概要
8小節4本
ビート: オリジナル
勝者: なし(延長へ)
解説
KING OF KINGS 2016 2回戦 GADORO v.s. 裂固
今回はKOK2016からこちらのバトルを取り上げます。
この二人のマッチアップということで、当然のようにライミングの連打に次ぐ連打という凄まじい押韻対決になってくるわけなんですが、我々が期待していた以上のものを見せてくれました。
バッチリとこの場所で一線を画す
裂固ちゃんこの場所で死んでお陀仏
– GADORO
この場所で打ちくだく痕跡とバックボーン
目に焼き付けておきな衝撃のラストを
– GADORO
まず先攻のGADORO。ご覧の通りで、先攻なだけに非常にきれにまとまった押韻で話題を仕掛けていて、伸び伸びとスキルを披瀝している感じですね。
GADOROは逆になにも制約がないところでは遠慮なくストックを駆使するタイプで、トップオブザヘッドでは絶対に出てこないような練りに練られた組み合わせを繰り出している印象です。
後攻のMCが少なからず先攻から提示された話題にキャッチアップする必要に迫られることを考えれば、戦術的には非常に合理的な選択と言えそうですね。
そしてなにより終始ネタばかり使うタイプでもなく、むしろGADOROは相手へのアンサリング+バイブスが持ち味ではあるので、この先攻1本目、機先を制したデリバリーもそれほど気にならなりません。
対して後攻の裂固へと移り、そこからは両者相手の言葉を拾ってのアンサーが続いていきます。
オマエはがらくた ナマクラの武器 中途半端
Hey yo オマエはなっちまうここで重症患者
– 裂固
BEST8でそのスキルは情けが無い
そのスキルで俺に勝てるなんざマジで哀れだぜ
– GADORO
この危ないな って言ったかもしれないけど
俺の方がサグライマー いじくっちゃう悪代官
– 裂固
裂固 オマエの武器は韻しかない
そんなやつで俺に勝てるなんて信じがたい
– GADORO
俺はそう どんだけあってもしない瞬き 真剣な眼差し
オマエの武器 心臓到達しない刃渡り
– 裂固
と、それぞれ引用していきましたが、ここまで相手の言葉へかぶせて返すという応酬が続き、その中でも裂固の食い下がりも中々のものです。
特に最後の「刃渡り」の部分は彼の世代離れしたスタミナを物語っているかのよう。裂固は趣味が読書だということですが、デリバリーにそれが表れている気がしますね。
押韻を踏むことに必死すぎて
結局は生き様もすべて語れねぇじゃねぇか
– GADORO
俺は身を削ってでもな執念を伝える
ジエンド オマエはここで終焉を迎える
– GADORO
俺がこの歴史を塗り替える
Hey yo バッチリこの場所で死体を積み上げる
– 裂固
アンタは友達になれたかもしんねぇけど この先 向ける矛先
Yo 裂固 優勝まで一杯の面舵
– 裂固
そして両者のラストバースから。もう押韻でアンサーするのがデフォみたいになっているところへ、なおもGADOROは相手のスタイルを内容面で刺していく余裕が感じられます。
対して裂固の方は相手の言葉を受け止めつつも、自在に選ぶ熟語で意味を転がしつつ、それを自分のラインとして昇華させていく懐の深さで勝負している印象です。
こちらはもう文系HipHopの行き着くところといった感じで、裂固は勢いハングリーなイメージあるMCだと思っていましたが、むしろナードでややスノッブなrapスタイルと言った方がしっくりくるのかもしれません。
個人的にはそんな両者の根底のスタイルが垣間見えたやり取りで非常に楽しめました。
そんな中でもジワジワと流れを作っていったGADORO、押韻によるアンサーの他、生き様やアティテュードといった側面をrapへ織り込んでいた伏線が終盤に進むにつれ徐々に効力を発揮していきます。
対して裂固の方は、そGADOROがペースを握られそうになりつつも、なんとか後攻で追いつくというシーソーゲームを繰り返していた印象です。
この試合、基本的に裂固のバースは4小節ごとにピークがあり、1小節目で導入、2,3小節目でライミングを継続しつつ、4小節目に「オチ」となる沸きどころを用意していく流れになってます。
GADOROに勝負を決められそうになる瞬間も何度かありましたが、3バース目の「刃渡り」や最後の「面舵」など、土壇場で見事にキャッチアップしていた印象です。
そんなわけでこの勝負、審査の結果ドローとなりました。展開としてGADOROは押し切れず、また裂固の方は巻き返すまでには至らずといったところでしょうか。
GADOROのオラオラした体育会系のrapと比較すると、裂固の文系感がいやでも強調されているかのようで、そういった点でもこの二人の応酬・対話は非常に楽しめました。そしてこれがあと32小節観れます(笑)
ちなみに裂固ですが、近年は音源の方でもかなり精力的に活動しているようで、よければぜひチェックしてみてください。
個人的にはこの試合で裂固の好感度は爆上がりしました(笑)
これ一本目は延長じゃありませんか?
> アゲ太郎 さん
コメントありがとうございます!
すみません、ご指摘の通りこの対戦は延長がありました!
非常に助かります、内容は訂正させてもらいました!