[じょう]
地元出て王になりに来た
革命をjouleに移しに来た
大阪 俺はオマエの死神
大阪 他所者を倒す町のしきたり
韻の沸き方 気合の入れ方
すべて違うぜ オマエとやり方
俺の言葉だけチェックしな
無論 東京のシーンにはいないMCさ
[SAM]
俺も栃木にいないMC
巧妙な手口 コイツはまたベルリン
俺も同じさ 地獄で旅
綴れたライムは一筆書き
OK まるで波の様
豪華客船 浄化作戦から始めてく
脳がスライドムービー
今宵じょう君 不採用通知
[じょう]
オマエのアンサーまったく分かんない
ネタを仕込んでるだけのザ漫才
聞きたくないんだテメーの座談会
栃木 とっととDOTAMA出さんかい
分かってるか? ムービー
それならピューリタン
言葉ならば空気圧のようにしとくぜ
オマエの韻
しょせん引き出し 押し出ししてるだけ
[SAM]
Yo 栃木はDOTAMAじゃないし
バッチリ栃木の田舎のライミング
オマエのギャグなら井戸端会議
マイクを使ってトリプルタッチ
Yeah オマエは漫才
スベりギャグで 上島竜兵 みたいなもんさ
俺は 後ろにゃ退かねぇ
あいにくじょう君は死に行くさだめ
概要
8小節2本
勝者: なし(延長へ)
解説
戦極MC BATTLE 第16章 一回戦 じょう v.s. SAM
今回は戦極の第16章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
じょう対SAMの一戦。ありそうでなかった組み合わせですね。
先攻はじょう。1本目からかなり気合が入っているようで、声に力を込めて積極的にSAMに対して攻勢に出ています。
最後の「東京のシーンにはいないMCさ」のラインですが、これはもちろんOZROZAURUSのサンプリングになってます。最近いくつかの試合でこのフレーズ聞きます。流行ってますね。
対する後攻のSAM。こちらはじょうとは対象的にビートにキッチリと合わせつつ、一定のリズムで押韻を置くようにリズムを保ったrapになっています。
また、じょうの「オマエの死神」というフレーズに対しての「俺も同じさ 地獄で旅」というラインから「一筆書き」とつなげたり、相変わらず押韻の巧みさが光っています。
特に最後の「スライドムービー」「不採用通知」の辺りは非常に綺麗な着地になっていて、バース全体のピークとして機能している感じです。ここは本当に綺麗でした。
続いて先攻のじょう2バース目。「オマエのアンサーまったく分かんない」から同じライミングの連続で4小節分つないでいきます。
「ザ漫才」「座談会」と、SAMのお株を奪うかのような綺麗な押韻が続いたかと思えば、「とっととDOTAMA出さんかい」とのdisでバッチリ締めてピークアウトします。
この辺り、ご覧の通り前バースに依存しない汎用的な入りからここまで流れるようにスムーズになっているのですが、これはバースの始まる前にあらかじめここまで狙っていたかもしれませんね。いずれにせよ試合中盤の要となるタイミングでしっかりと流れを作っている感じです。
そして後攻SAMの2本目。こちらも逐一ライミングを入れながらアンサーを返していくのですが、押韻のクオリティもさることながら、DOTAMAのくだりに対する明確な反論や、「座談会」という語に対して「井戸端会議」など、詳細に見ていくと相手の内容とかなり対応関係が取れている感じです。決して韻のためだけの言葉ではないことがわかりますね。
そして「ギャグ」や「漫才」という相手の言葉を利用して「上島竜兵」等のラインへつながっていくのですが、試合の中で生まれる文脈と、あらかじめストックにより規定された話題との境界をあまり感じさせず、かなりスムーズに両者を使い分けている印象があります。
比較するとじょうの方はストックの部分があまりにハマり過ぎているだけに、それ以外の部分との境界が際立ってしまう感じでしょうか。SAMも部分的には用意されているラインが分かるのですが、この違いは大きいですね。
そして結果ですが、この試合は引き分けに終わり、延長戦へ突入していきます。どちらも見せ場を随所に作っていて、お互いに相手を引き離せず2本が経過していった印象です。続く延長戦にも期待がかかります。