[戦極MC BATTLE 第16章] ミステリオ v.s. ホロンバイム

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ミステリオ v.s. ホロンバイム

戦極MC BATTLE 第16章 二回戦 ミステリオ v.s. ホロンバイム

今回は戦極の第16章から、こちらの一戦を取り上げたいと思います。

[ミステリオ]

始まってますよ二回戦が

めっちゃ緊張 胃が痛ぇな

俺にあんのは意外性だ

お待たせ I’m a Mr.エンターテイナー

上がってけ ホロンバイム このマイク

知ってるオマエが長崎県民

首切ります 阿散井恋次


[ホロンバイム]

オマエが エンターテイナー

なら俺に対して勝利に縁がねぇな

ならば俺は開眼中 ならばフリースタイル開花中

ならば行けるぜ 俺のスキルならどこまで行けるかかましてこう

合わせてく オマエと行動

ミステリオ 俺が沈めるぞ


[ミステリオ]

確かにイケてるねフロー

家帰って入っとけよトイレ

みたいな感じ トイレに行く便所 ジ・エンド

まだまだ負けない そんなやり方

ちゃうちゃうちゃうって 顔面チャウチャウ

実力勝負 パンチライン一発ミルコ・クロコップ


[ホロンバイム]

顔面チャウチャウ なら俺このビートに合う 合う

カウカウみたいなギャグラップ

コイツからマイク剥奪

こっから乗せてく

おい、オマエさ さっきからギャグラップばっか

やっとけなんばグランド花月

Rapには格好良さが不可欠

概要

8小節2本
勝者: ミステリオ

解説

戦極MC BATTLE 第16章 二回戦 ミステリオ v.s. ホロンバイム

今回はこのほど発売された戦極16章からのピックアップです。

最初に取り上げるのはこちらのミステリオとホロンバイムの対戦で、ざっと通して見たところ、2回戦ながらこの試合は非常に強いインパクトがありました。個人的には気に入っている戦いです。

それでは内容を見ていきましょう。

まず先攻はミステリオ。BPMがかなり早めな忙しいビートですが、持ち味である意外性のある言葉のチョイスも出しつつ、見事に乗りこなしていきます。

特に1バース目最後の「首切ります 阿散井恋次」というラインですが、「長崎県民」をライミングで受けた綺麗な着地であるとともに、戦極U-22大会の裂固戦でK-razyが見せた「首切ります バルタン星人」というラインのサンプリングでもあります。

ここは巧い上に言葉の選び方も新鮮で、かなり面白い部分です。先攻1本目ではありますが、長崎出身の対戦相手に対して意味的にもスパッとハマっている感じですね。

対して後攻のホロンバイム。こちらもビートに対してしっかりと乗りつつライミングを随所に挟んでいくスタイルで、ミステリオ同様にアラの無い丁寧なrapになってます。

「エンターテイナー」「縁がねぇな」という部分や相手の名前での押韻など、その場でトップオブザヘッドで言葉を選びつつアンサーしている様子が伺えますね。ビートのBPMが速く、本当にあっという間に8小節が走り去っていくのですが、フローの面でも内容面でも即興で見事に走りきっているという感があります。

そして後半の2本目、先攻のミステリオ。そんな様子のホロンバイムに対して「確かにイケてるねフロー」とした上で、続くラインが「家帰って入っとけよトイレ」です。

この流れから誰もが家に帰って入るのは「風呂」だと思うところですが、踏み外しを甘受してまでそれを裏切ってくるミステリオ。曲者過ぎますね(笑)

また、2バース目最後の「パンチライン一発ミルコ・クロコップ」のライン。一見「実力勝負」からのライミングが綺麗に結実したように見えますが、これもサンプリングですね。ちゃんと元ネタがあります(笑)

UMB2017春の選抜大会であるTHE CHOICE IS YOUSより、早雲戦で見せたムートンの「ハイキック一閃 ミルコ・クロコップ」というラインが元になっているのですが、時期的にすぐ前の大きな大会ということもあり、結構気づいた方も多かったのではないでしょうか。

一見するとストックを組み合わせてバースをまとめているような感じですが、上記のような色々があって、実はけっこう見どころが多いのがこの試合のミステリオでした。そういった細部まで理解された方はけっこう楽しんで観れたのではないかと思います。そういう元ネタありきの小技を随所に挟んでくるミステリオのスタイル、個人的には嫌いじゃありません。

そしてホロンバイムのラスト。こちらはミステリオと異なり最後まで用意なしの完全トップオブザヘッド。その分ライミングもシンプルなものになっていますが、言葉一つ一つの強調の仕方やdisをはじめとした内容面のバランスなど、無駄がなくとてもパフォーマンスの高いrapをしているのではないかと思います。スキルとしては申し分なしです。

「ギャグラップばっか」というdisに続き、ライミングを挟んだ末に「Rapには格好良さが不可欠」というラインで終了。文脈的にもかなりキレイな着地を迎えています。

どちらもハイペースなビートにきっちりと自分のrapを乗せていた点では共通していますが、完全即興の中で相手の言葉にしっかりアンサーしてまっとうに戦ったホロンバイムに対して、ミステリオは飛び道具満載のどこか余裕と遊びを感じさせるような戦い方をしていた感じでした。

そんな感じのバトルでしたが勝者はミステリオ。スタイルを完徹して乗りこなすことに重きをおいたホロンバイムに対して、こちらは余裕や遊び心を見せつつ面白みのあるrapで会場を巻き込んでいたことが勝因のひとつでしょうか。

8小節2本、さらに速めのビートで時間にして1分そこらというあっという間に駆け抜けていくような試合でしたが、いくつも面白いポイントのあった楽しいバトルだと思います。まだ観ていない方はぜひどうぞ。

※ 阿散井恋次

漫画『BLEACH』の登場人物。

※ なんばグランド花月

大阪にあるお笑いの専門劇場

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