[UMB2011] 紅桜 v.s. NastyTEZ

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紅桜 v.s. NASTY TEZ

UMB2011 一回戦 岡山代表 NAIKA MC v.s. 札幌代表 NastyTEZ

今回はUMB2011からこちらのバトルを取り上げたいと思います。

[紅桜]

ベニーの殺人show time

俺がレーザーのフロー

音拾ってからrapする

俺はそれくらいカッコつける男

レザーのジャンパー

だけどオマエの言ってることサッパ

でもまだ聞いてない

だけど二人だけ言っとくぜ

二人だけリスナー

じゃなくてオマエらもったいぶるな


[NastyTEZ]

あー良かった まずは格下

ハッキリ言っとくカムサハムニダ

とか言いながらも韓国語

てかライムをオマエ ちゃんと踏もう

Yeah 韓国語ならばパク・ヨンハ

俺はrapする活動家

ほら優勝するまで泣くもんか

てか オマエが相手なら楽勝だ


[紅桜]

ライムが踏めたらいいのか

ならばオマエのつけるぜ俺の足型

ハァ どうかな俺の歯型

燻製じゃねぇのは確か ハハハ

笑って終わらすぜ 俺エンターテイナー

俺の目ぇ見てな

ネオンのサングラスで隠した魔性の男に聞かす

言って聞かせやしょう


[NastyTEZ]

あれ? そのサングラス もしかしてマトリックス

俺ちゃんと韻踏むワックMC

こうやって作戦しで食らわすぜ クソデブラッパー

プロレス技で食らわしてやるから ストレス発散

死んどけや 動けるからこっちの方が

正拳突き 食らわせるぜ

俺ならあるぜ 経験スキル

概要

8小節2本
勝者: NastyTEZ

解説

UMB2011 一回戦 岡山代表 NAIKA MC v.s. 札幌代表 NastyTEZ

今回はUMB2011からこちらのバトルを取り上げたいと思います。

紅桜対NastyTEZ。岡山、北海道とそれぞれの予選を勝ち抜いた本選初出場同士の対戦です。

紅桜と言えばUMB2013、その後の2015など、続く大会でも非常に強い印象を残した大会常連とも言えるMCですが、この時が初出場でした。

RAPの強烈な印象もさることながら、バンダナにレザージャケット、サングラスという怪し気な出で立ちで当時からインパクト十分です。

一方のNastyTEZも初出場で、予選では前年予選王者のしろくまをはじめ、KAIやMC松島、MABOと行った強豪を抑えての代表となりました。こうして見ると当時の北海道勢も中々層が厚く、その中でチャンプとなったNastyTEZに期待もかかります。

それでは試合の内容を見ていきましょう。

まず先攻は紅桜。ビートに対して独特の節回しでrapを始めていて、のっけから早くもキャラクターが前面に出ています。ただし先攻1本目ということもあって、内容としてはややきっかけを掴みあぐねているような印象で、それをキャラクターの部分でうまくフォローしている感じでしょうか。

ヤクザのようなセリフ回しでガナる場面があったり、長々と「yeah」だけで歌い上げる場面があったりと、何かと破天荒なラインの多い紅桜ですが、この試合でもそんな個性が見え隠れしています。

続いて後攻のNastyTEZ、一本目。紅桜のバースを受けて「あー良かった まずは格下」と最初から攻勢を仕掛けます。

NastyTEZはGOLBYやKBDのようにキレイにライミングを織り込みながら文脈を踏まえたアンサーを重ねていく職人タイプのMCで、このバトルでも小節ごとに教科書に載せたいくらいキレイに、また器用に押韻を重ねていきます。

冒頭の「まずは格下」「カムサハムニダ」からラストの「パク・ヨンハ」「楽勝だ」に至るまで、全小節で精密なライミングを繰り出しています。2011年当時にしてこの技巧はなかなかのものだと思います。

前年代表だったしろくまは勢いに乗せたら手がつけられない程強いMCではあったものの、多少の踏み外しや文脈のカオスさを許容するスタイルであったため、その整然さが一層際立ちますね。

また、内容面で言っても「ライムをちゃんと踏もう」「オマエが相手なら楽勝だ」など、相手の弱みを的確に突いた上でしっかりと落とすべきところに落としているのがわかります。

北海道シーンが着実に進化していることを体現するようなクオリティではないかと感じました。一言でいって巧いです。

そして2本目、先攻の紅桜。「ライムが踏めたらいいのか」と相手のスタイルを揶揄するところから始まりますが、そこからやや攻め手を欠いたような印象です。

飄々としたスタイルを乗せたラインを吐いていくものの、バースから発せられるキャラクターのインパクトも今一つで、どうにか攻撃の糸口を見出そうとするも、この2本目では叶わなかったという感じで終わってしまいました。

おそらくビートとの相性もあったかと思いますが、手数ではなく、攻撃の鋭さやrapの迫力のようなものがうまく活かし切れなかった感じです。

対してNastyTEZの2本目。こちらは「クソデブラッパー」「プロレス技」など、意味を通しつつの押韻が止まることなく出せていて、紅桜とは対象的に好調さを感じさせるrapになっています。

拍の取りやすい単調な1ループで、逆にNastyTEZにとってはビートの相性が良さそうでした。もう最後までライミングも止まらず、自分のスタイルを無理なく効果的に発揮できていた感じがします。

そんなわけで本試合の結果は文句なくNastyTEZの勝者となりました。

おそらく敗れた紅桜にとっては対戦相手、ビートともに相性の悪さが出ていた感じはあります。

これが技巧的な面で勝負するタイプではなく、メッセージングとバイブス主体の「主張するMC」が相手であればもう少し紅桜の戦い方も変わっていたかもしれません。

とはいえ、2011年当時の水準にあってNastyTEZのスキルの高さも疑いなく勝利に相応しいものだったと思います。この二人、ビート変わって延長になっていたらもっと面白いものが見れていたかもしれません。

これは」毎回書いている気もしますがやっぱり8×2の一発勝負はどうしても短く感じてしまいますね。

※ カムサハムニダ

韓国語で「ありがとう」の意。

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