[UMB2016] ムートン v.s. LEON

解説

UMB2016 2回戦 福島代表 ムートン v.s. 和歌山代表 LEON

今回はUMB2016からこちらの一戦、2回戦のムートン対LEONです。リクエスト頂きありがとうございました。

ムートンは先日取り上げたBASEとのバトルを始め、めちゃくちゃ凄まじいパフォーマンスを見せていたMCで、今大会で最も目立っていたMCの一人と言っても決して言い過ぎではないと思います。

[UMB2016] BASE v.s. ムートン

それではバトルの内容を見ていきましょう。

まず先攻はそのムートン。スローなビートに対して一拍一拍確かめるようにしっかりと乗っていきます。「ワ ワ ワン ツー」と独特のアクセントを入れつつ高いパフォーマンスを見せていて、スキルフルなrapです。

また、バース後半には「B-Boyの匂いを感じねぇ」とdisの火を起こしていき、「B-Boyがジーンズ引きずらねぇで」のラインで着地。攻撃の面でも先攻から飛ばしてます。

続いて後攻のLEON。ムートンのdisに対して「3歳の頃からDr.Dreに2pacを聴いて育った」と切り返すところからスタート。

「クラブの子ども」「クソな男」と自分と相手を対比させる描写も交えてやり返していきます。いいアンサーですね。

また「全方包囲」「原稿通り」など、こちらはライミングをハードに維持することに重きを置いているような印象です。どちらかというとフロー先行型なムートンと比較するとなかなか対照的ですね。

そして試合後半、2バース目。こちらもアンサーが素晴らしく、先ほどのLEONに対して「3歳で2pac聴いて そのままスキルも3歳児」と見事な切り返し。ここはいきなり素晴らしいラインが出ましたね。やはり最高ですムートン。

また、そのまま「3歳児」から「安楽死」までペースダウンすることなく韻が途切れず、ラストの「魑魅魍魎」までムートンの方も固い押韻が維持されていて、フローやアンサーの強烈さと見事に両立させています。

ムートンはrapのクオリティを一切落とさずに当意即妙なアンサーを繰り出せるところがスゴいですね。大会出場者の中でも際立って上手いです。

続いて後攻のLEON。こちらもアンサーでは負けじと「魑魅魍魎」「日々上昇」から最後の「耳元」まで、得意のライミングも活かしつつ返していきます。

ムートンと比較するとこちらは押韻への意識が強く、ラストまでそれは継続しています。しかし2小節ごとに正則で踏んでいく中で、後半部分にピークを持ってきている点はさすがと言うべきでしょうか。最後のラインとなった「ピラミッド」も意味の上でも中々の着地です。

そしてこのバトルの勝者はムートン。やはりライミングに加えて気持ちのいいフローも完璧な形で両立できている点で頭一つ分くらい抜けていた感じでしょうか。相手のラインを捉えて跳ね返す瞬発力もあり、終始スキの無いバースが展開されていた感じです。