RHYME BOYA v.s. D.D.S
UMB2010 二回戦 横浜代表 RHYME BOYA v.s. 沖縄代表 D.D.S
今回はリクエスト頂いたこちらの一戦です。独自のスタイルもそれに対するプロップスも十分にある両者の対決。このバトルはUMB2010の中でも屈指の名勝負ではないでしょうか。
[RHYME BOYA]
Yeah まずはこんなBEST8
別の経路たどって来たぜD.D.S
沖縄 大きな輪 この場で作る
よりも綴る俺らのストーリー
かすめる よりもKAZZ-Kのこんなビート
俺が進行しながらオマエの心臓 止める
ストップ よりもスコップ 顔面にぶつけるような感じ
ような刺激的なライムを届ける yeah
[D.D.S]
俺は本当に残念だ
オマエは神奈川藤沢
これはBRON-Kの曲だから聞いてると思った
なのにただのバカみたいなことを
言ってそれだけ言ってわからない
俺には何も伝わらない
だから ちょっと落ち着いて語ってみろ
[RHYME BOYA]
Yeah 落ち着く よりも帳尻
よりも俺らの常識とオマエの常識
この場で合わせる オマエは掃除機
オマエの葬式 この場で開催
しながら毎回同じ言葉を吐かない
今日のRHYME BOYAやっぱ半端ない
まさに飽きがない まさに秋より冬
越冬 まさに越えながらヘッドフォンから流れるHipHop
[D.D.S]
オマエは俺のセコンドが言ったことを
全くもって聞いていない
韻だけ重視 それこそBullshit
そんなことやって 先はないし
俺が作るのは改革 革命
独立独歩 赤道直下
レペゼン琉球
[RHYME BOYA]
Yeah 手に入れるABC ABC
この場のすべて 俺のrapがすべってる
なんてことはねぇ
ハンデよりも100点満点
よりもかっけーライムこの場で届ける
まるでとろけるチョコレート
オメーは俺に負けるのが超こえーの
とか言ってるオマエの悲劇
よりも西城秀樹みてぇな悲劇のヒーロー
じゃねぇ Nasみてぇなヒーローになる
俺はワナビー yeah
[D.D.S]
今言っていたヤツほぼサクラ
俺がこの場でほら咲くさ
俺が百花繚乱
レペゼン I 琉球 59式最後の奴ら
俺がハスラー? それかカスか?
って言われたって問題はねぇな
レペゼンするこの街
あの街 どの街でも関係はねぇな
[RHYME BOYA]
Yeah 関係ねぇ
まさに完璧よりも安全性とか
まさにねぇぜ これが最終系
沖縄D.D.Sよりもまさに藤沢D.D.F
が作った今年のマジでヤバい名盤のCD
まさにオマエのrapは定番
うさんくせぇな やべーフレーズが浮かんでんだ
この上昇しながら 口より行動
マイクで証拠を見せつける
オマエはもう消耗
[D.D.S]
それは 認めるからオマエらの
Welcome to the bed townもiPodに入ってる
完全にヤバい曲もあった
だけど 俺は来年な
オマエら超える完全なアルバムつくる
こんな曲みたいにな
Yeah 耳から入って心を掴む
俺がdouble D Squad D
概要
8小節2本
ビート: BRON-K / 何ひとつうしなわず
勝者: D.D.S
解説
UMB2010 二回戦 横浜代表 RHYME BOYA v.s. 沖縄代表 D.D.S
今回はUMB2010からこちらの一戦。私はこのバトルのD.D.Sが本当に大好きです。
ビートは「何ひとつうしなわず」。メロウでしぶい超有名ビートですが、これバトルビートとしても非常にハマっています。そしてどちらのMCも自身のスタイルに合うように完璧にアプローチしていて、このバトルをさらに熱いものにしています。
先攻のRHYME BOYAは完全即興と言えるスタイルで、大筋では各小節ごとに最初のラインに対して続く単語・続くラインでトップオブザヘッド韻を後から合わせていくような形式になっています。
陳腐なライミングも多く含まれていますが、それでも音源そのままのrapのスムーズさや3バース目「やべーフレーズが浮かんでんだ」のように強調された一節などバリエーションも豊富なバースで、十分にかっこよく感じられます。
一方の後攻DDS、1バース目冒頭の「俺は本当に残念だ」は最初からパンチラインで、強烈に印象に残っている方も多いかと思います。
それで何が残念かというと、同じく神奈川藤沢のSD JUNKSTA、BRON-Kのトラックなのに、それを無視して下らないrapをしてるな、という訳なんですね。ここはオーディエンスの共感を呼んでかなり盛り上がっていました。
また、「Dinary Delta Force好きだよ」など、随所でRHYME BOYAのクルーやその音源を褒める場面もあって、対話の起伏というか話題の重層感を生もうとしていることがわかります。
DDSのrap、フローは単調ながらもrapとして見事にビートによくハマっていて、独自の声質と強いメッセージング、またトラックが持つドラマ性なども手伝ってめちゃくちゃ素晴らしいクオリティに仕上がっています。これ本当にスゴいです。
DDSの解説が続きますが、圧巻は2バース目。「俺のセコンドが言ったことを全くもって聞いていない」と韻に拘泥するスタイルをdis、セコンドからの引用は珍しいですね。「韻だけ重視 それこそBullshit」と先ほど記載した通りのRHYME BOYAのrapスタイルをズブズブ刺していってます。
また、「俺が作るのは改革 革命」「独立独歩 赤道直下」の辺りは文章だと分かりづらいのですが、言葉の選び方や乗せ方、ビートへの落とし方がバッチリハマっていてかなりかっこいいです。ぜひ映像で見てみて欲しいシーンの一つです。
そしてラストのラインは「何一つうしなわずすべて手に入れる」というトラックからリリックの引用で締めます。かっこいいですDDS。ここまで完璧なバースはそう多く見れるものではないと思います。
試合の後半もスムーズなフローの中に簡単なライミングを随時織り込んでいくRHYME BOYAに対して、DDSはその場の状況を踏まえたメッセージをしっかりと落として、それでいて彼にしかできないような太いrapを展開していく、という流れが続いていきます。
何か言っては切り返して流れを持って行かれるといった感じで、RHYME BOYAにとっては非常にやりにくい相手だったように思います。
そんなわけで結果はDDSの勝利となりました。RHYME BOYAのrapもかっこよく、音源で見られるような長所も出てはいましたが、DDSは内容やメッセージで相手を圧倒していた点もさることながら、ビートとの相性が抜群に良かった点も大きいのではないかと思います。
どちらも8小節4本というボリュームを高いパフォーマンスでrapしきっていて、最高の対戦になっています。UMB2010は晋平太の大会という印象が強いですが、他にもこうした名勝負が随所に見られるのがいいですね。
ちなみにバトル中「完全なアルバムつくる」と表明していたD.D.Sですが、ソロでのフルアルバムはまだなく、広島のMULBEと組んで音源を出しています。こちらも名盤と呼んでいい優れた作品なのでぜひチェックしてみてください。
※ KAZZ-K
本試合のバトルDJ。横浜ZZ PRODUCTION所属。
※ BRON-K
神奈川のSD JUNKSTA所属のMC。本試合のビートは彼の楽曲。
※ Dinary Delta Force
RHYME BOYAの所属するクルー。音源の評価が高いことで有名。
※ 越冬
横浜ICE BAHNの楽曲タイトル。
※ 俺のセコンドが言ったこと
試合前、DDS側セコンドのシャウト、「韻だけ重視で中身がないし」より。
※ 何一つうしなわずすべて手に入れる
ビートからリリックの引用。
※ 西城秀樹
昭和期の日本のタレント。
※ Nas
USの言わずと知れた有名MC。
※ 59式
昭和59年生まれであることを表す。
※ Welcome to the bed town
DDFの楽曲、WELCOME TO MY CORNERと思われる。
読まさせていただきました!最高でした!
有り難うございます!