peko v.s. RHYME BOYA
UMB2012 UMB VOTE代表 peko v.s. 横浜代表 RHYME BOYA
今回はリクエスト頂いてUMB2012からこちらの一戦。
横浜代表として2010大会以来の出場となったRHYME BOYAに対して、大阪のpekoはファン投票でトップを取った結果VOTE枠での出場となりました。
[peko]
Yeah HEY, MISTA.B 調子どう?
やって来たぜ東京
まずは揺らしていく 1verse
オマエら音源かっけー マジで
だけどオマエ なんかライム味気足んねぇ
残念ながら 俺には勝てねぇ
オメーに負けた 京都でのリベンジだ
じゃあ まずは1バース
軽く流していくぜ
2バース目で本気でいくぜ come on
[RHYME BOYA]
peko 久しぶりだぜ
ちょっと見ない間にオマエはイメチェン
いつのまにかオマエは金髪
Rapができなきゃただのチンカス
Yeah 大阪弁 yeah
このまま1verse 軽く流すわけねぇぜ
8小節 俺のソウル全部込める
ここでビッグバン 起こす俺の番
[peko]
Yeah 金髪でrapできないなら
EMINEMみたいじゃないか
俺ならばどこまでもやり続ける
オマエに勝利ない すまんな
みたいにヤバいライム繰り出してく
RHYME BOYA いつだってセッション
楽しすぎて止めらんねぇぜ
だけどB-boyは格好じゃねぇんだよ
motherfucker
[RHYME BOYA]
Uh 格好じゃねぇ 百も承知
オマエは頂けない この賞金
まさにごきげんよう 調子どう?
って言ってるオマエはすでに包囲網
オマエに勝利の女神は微笑まない
俺のrap この場では転ばない
オマエに足元にも及ばない
ビートが無いプールじゃ俺は泳がない
[peko]
包囲網 もういいよ
そんなもんより狙う賞金を
勝利をつかむのは俺だぜ
オマエのライムストック
ネタっぽ過ぎてマジで
売られてるぜリサイクルショップ
Wack MCに与えるショック
まぁ 俺が止めてやるぜ一回戦でストップ
本気でぶつけてやるライムスコップ
[RHYME BOYA]
Yeah スコップ スコップ ズボズボ
侵入してくぜ オマエは負けて心中
してちゃダメだぜ まさに豚に真珠
よりもこの場で 大阪-神奈川リンク
してぇけど 大阪弁
オマエなんだかもう下がれ
オマエの音源じゃ儲からねぇ
から辞めちまいな yeah
[peko]
Yeah 掴むぜ big money payback
どこまでいっても俺はヘイター
すらも撃ち抜いてくだけだぜ
神奈川県 まだまだです
ここらじゃ勝てねぇ
頭の中から生み出すライムで
オマエ 送り込むぜ墓場
Yeah また藤沢行くぜ
その時までhallaback
[RHYME BOYA]
Hallaback hallaback
オマエほどのイケてるMCが
予選負けで 誰かに投票
されてこの場で復活してきた
誰がコイツに投票したのか
まさにこの間の選挙みたいに
遠隔操作 してんじゃねぇか?
オマエは自民党
俺のrapでオシッコちびんぞ holla
概要
8小節2本
勝者: RHYME BOYA
解説
UMB2012 UMB VOTE代表 peko v.s. 横浜代表 RHYME BOYA
今回はUMB2012からこちらの一戦を紹介します。
UMB VOTEというシステムで、ファンからの投票で選出されたのはMCだけでなくDJとしてもダンサーとしても、さらにグラフィティーまでこなす一人Hiphopなpokoです。
対するは横浜代表のRHYME BOYA(現在はRHYME&Bと改名)。Dinary Delta Forceのメンバーとして音源にも定評があり、pekoの言及する通りで本当に楽曲はカッコイイです。
さて、そんな両者がぶつかり合ったこのバトルですが、pekoの1本目は穏当なスタートで、説明的にこの一戦の背景をrapにしていく感じでしょうか。「軽く流していく」との言葉通りの内容でひとまずは終えています。
続いて後攻のRHYME BOYA。「いつのまにかオマエは金髪」とまずはpekoの見た目を引き合いに出した上、「Rapができなきゃただのチンカス」とかなりダイレクトにdisを入れていきます。さらに「軽く流すわけねぇ」とpekoとは対照をなすラインを重ねていきます。
これはpekoの特徴の一つでもありますが、相手のターンの間、敵のrapに熱心に何度もうなずき、良いラインが飛び出せば指を立てて盛り上がったりして、まったく敵愾心を感じさせない見ていて清々しいほどのアティチュードを見せていました。
今回は対戦相手が知り合いで、気心知れた仲ということもあるのでしょうが、これが初対面のMCでもそれほど違わず、彼の優れた人格がにじみ出る一幕ではないでしょうか。UMB VOTE、ファンによる投票で選ばれたことがよくわかりますね。
そんなpekeですが、2本目は「金髪でrapできないならEMINEMみたいじゃないか」と見た目disに対して切り返し、会場を盛り上げていきます。
また、さすがのビートアプローチやスムースなrapなどはさすがのスキルで、さらにボキャブラリーも豊富でフレッシュで、例えば「9th Wonder」のくだりや3バース目の「リサイクルショップ」の辺りなど、対戦相手のRHYME BOYA比べても遜色ないほどです。
そしてRHYME BOYAの2本目。バース後半の「オマエに勝利の女神は微笑まない」からの4小節はこの試合のハイライトの一つだと思います。
すべて動詞でのライミングではありますが、ラストの「ビートが無いプールじゃ俺は泳がない」という詩的な着地まで、一気呵成に唄い上げるようにrapしていました。言葉では表現しづらいですが、RHYME BOYAの魅力が詰まった一節ではないでしょうか。
そしてバトル後半。双方相手の言葉を拾いつつしっかりと話題を派生させていき、文脈的に流れるような展開になっています。p
eko3バース目の冒頭、「包囲網 もういいよ そんなもんより狙う賞金を」とのラインはRHYME BOYAの言葉を複数拾いつつキレイに自分のrapとしてまとめ上げていて、pekoのスキルが伺えるナイスなラインになっています。
このバトルで最も盛り上がったのが4本目ラストのRHYME BOYAで、今回のpekoが予選負けた上、得票により本戦出場を決めたという話題を蒸し返して、「この間の選挙みたいに遠隔操作してんじゃねぇか?」というパンチラインで場を盛り上げます。
このラインは本当にハマっていて、時事ネタを上手く絡めつつ相手MCを立場を鋭く批判する屈指の一節になっている感じです。もちろん「オマエほどのイケてるMCが」と、相手へのリスペクトを見せることも忘れていません。
最後には「自民党」「ちびんぞ」でキレイにライミングで着地して、最後の最後で頭一つ抜けた感のあるバースが飛び出し、結果はRHYME BOYAの勝利に終わりました。
このバトルは知った者同士の対決で、どちらも随所に対戦相手へのリスペクトが見受けられましたが、それでも決して馴れ合わずにdisりあってそれぞれ自分のスタイルでrapし合っていたのが印象的でした。総じて見ていて気持ちのいい素晴らしい一戦だと思います。
※ HEY, MISTA.B
RHYME BOYA / HEY, MISTA.B
※ オマエら
RHYME BOYAの所属するクルーであるDinary Delta Force。
※ EMINEM
アメリカで活動する白人のMC。
※ 9th Wonder
アメリカで活動するDJ、MC。
※ この間の選挙
同年に行われた第46回衆議院議員選挙。各所から投票システムに対する疑念の声が上がっていた。