DOTAMA v.s. 黄猿
戦極MC BATTLE 第7章 BEST8 DOTAMA v.s. 黄猿
戦極第7章からこちらの試合をピックアップ。
戦慄MC BATTLE時代から数えて、このマッチアップはすっかりお馴染みかもしれません。
[DOTAMA]
ハイ 黄猿くん こんばんわ
お元気そうだな
やっぱり俺たちやる運命
まるでベジータ
と悟空みたいな関係性
ワンツー そんな感じ
こういうフローも試せる事ここで証明
お客さんから観る俺の照明
[黄猿]
まぁ とりあえずベジータ
テキーラ 乾杯しながらもスタンバイ
は? オタクが悟空?
ベジータしょうがねぇ
下手くそなナッパ みたいなもんさ
みたいなrap
まぁ少しはマシかな
いつだってカラー 描くだけ
スタンバイ
とりあえずオマエ踏み潰すキャンバス
[DOTAMA]
あのさー それしっかり持って
目に当たりそうでマジ怖ぇ
ハッキリしゃべれよな
言っとくけど3年前からフローが全部
おんなじにしか聞こえないよ
俺もう 泣きそうだよ
頑張ってほしい
あ そこは評価してあげよう
黄猿くん がんばりましょう
[黄猿]
わかった早口
オマエがしゃべり場で
どこまでやるかなvery bad
いつだってそう
どこでカラフル
描きながら do
オマエ空振る
悪いっすね こんなステッキで
じゃあオマエ
俺のボルトの代わりになる?
いつだってそう 描くだけ
痛いんすよね
オマエ障害者批判すんの?
[DOTAMA]
障害者批判すんの? ってなんだよ
弱者を逆手にとってんじゃねぇよオメー
共産党員かオマエ
勘弁してくれよ そんな感じ
確かに足に埋め込んだボルトになって
腐食してってどんどんオマエの足を侵食してやるよ
そして歩けなくして
ステージ上まで這い上がってこれなくしてやるよ
Yeah 1, 2 そんな感じ
でもやっぱり
がんばって がんばって がんばって
[黄猿]
這い上がり ヤバい
かなり いつだって
まさにヤバい
いつだってそう
俺は 死んでも生き返る
2倍で復活 まるでサイヤ人みたいに
いつでもそう サイヤ人
倍ヤバい いつだって
半端じゃないから
いつだってそう さいなら
オマエのrap
正直胡散臭いから
[DOTAMA]
1バース目でアキバ系
ドラゴンボールとか言っておきながら
サイヤ人ネタで返してるぜコイツ
なんだよ この引用
あ ゴメン
俺の言い方が間違ってたら謝るよ
でもな やっぱり
ドラゴンボール世代
やっぱ戦闘民族なんですよ
MCバトル バトルMCは
Yo そうやって上手く
繰る まとめる
俺の家の前にクルマ止める?
[黄猿]
え 俺 後攻だけど
コイツなんだ? 先攻だけど
ドラゴンボール言ったの
オマエっスよね?
まぁ そうやって胡散臭く論じるんスか?
あっちやって こっちやって
テキトー難癖つけて それだけ?
まぁそうやって勝ってんスよね?
ダッセー
概要
8小節3本
ビート: チプルソ,PONY,DDS,晋平太 / Devil’s tongue
勝者: DOTAMA
解説
戦極MC BATTLE 第7章 BEST8 DOTAMA v.s. 黄猿
戦極の7章からこちらの戦い、DOTAMA対黄猿のマッチアップです。黄猿は個人的に好きなので取り上げます。
まず先攻はDOTAMA。この二人は戦極MC BATTLEやその前身となったイベント時代からたびたび対戦していますね。「やっぱり俺たちやる運命」とのラインにはそんな背景が見え隠れしている感じでしょうか。
対する黄猿、即座に「テキーラ 乾杯」とDOTAMAの「ベジータ」へ返していくあたり、キャラクターが濃く出ています。
同じような言葉の反復でフローしつつもライミングも多く交えていて、いつも通りに勢いのある黄猿という感じです。
スタイルでいうと対戦相手のDOTAMAとは全くの対象をなしていますが、黄猿の方もここぞというラインを強調させる術は十分に心得ていて、通常のフローが滑らかな分だけバース全体に程よい緩急を生んでいます。
DOTAMAもパンチラインとなる一節とそれ以外のメリハリが強いMCですが、その点に関してはやや共通しているように感じます。
DOTAMAの方も舌戦ではさすがに強く、たとえば2バース目には「フローが全部おんなじにしか聞こえない」というdisを入れつつ、「俺もう 泣きそうだよ」という他MCではあまり聞けないようなアプローチでしっかりと相手のことを煽っていきます。
この辺りはキャラクターのなせる技と言えるでしょう。おどけたようなスタイルもここまでブレがないと本当に強いです。
そしてこの一戦、個人的に最大のハイライトはなんと言ってもDOTAMA3バース目、「共産党員かオマエ」という切り返しでしょう。
当時足を負傷中で杖をつきながらの参戦となった黄猿の「障害者批判すんの?」というラインに対して、「弱者を逆手にとってんじゃねぇ」とバッサリ切り捨てた上でのアンサーとなります。
これはもう斜め上からの一撃という感じで、オーディエンスの笑いを誘うことはもちろん、表現のフレッシュさに加えて妙な説得力もあり、
会場は大いに盛り上がります。ホント最高ですここ。
こういう他MCがやらないような攻撃をサラッと、平然とかましてくる辺りがDOTAMAの強さの源泉の一つだと思います。見ていて非常に楽しいrapをしていますね。
そして試合後半の展開ですが、黄猿は冒頭で出たドラゴンボールネタを継続しつつ、相手の話題・フィールドで自らのrapスキルの優位を提示していくような戦い方を展開します。
DOTAMAとのスタイルの相違を考えると、これは完全に正攻法と言えるかと思います。
対するDOTAMAは「サイヤ人ネタで返してるぜコイツ」と相手の揚げ足を取りに行く方向で攻めていて、こちらも自分の土俵で戦おうという意図が見えますね。
ただしこの時のDOTAMAは終始余裕を持った戦い方をしているようで、いちいち鋭さのある言葉で返しつつオーディエンスの盛り上がり方も制御しているように感じたのが印象的です。
ちなみにラストバースでの黄猿の反撃はまさにDOTAMAのスタイルに関するもので、最後のラインでは「Rくんにもそうやって勝ったんスか?」など、過去の具体的な試合を持ち出していたり、こちらもエグいdisを畳み掛けていました。
そしてバトルが終わって結果ですが、判定によりDOTAMAの勝利となりました。
先ほど共産党員のくだりでハイライトと申し上げましたが、この日のDOTAMAは勢いやrapのスムーズさに加えて、語彙の選び方やビートキープ、disの強度など、総合的なバランスが良く、さらに目立ったアラもなく非常に調子が良いように感じました。
それにしてもDOTAMAの揚げ足取りが最高で、予測できない方向からの攻撃すぎる一戦でした。見てない方は是非一度ご覧ください。
※ これリミックスでrapしたけど
Devil’s Tongue remix /DOTAMA, SUKUN, hiero, NAIKA MC, DJ RIND
※ パラッパラッパー
1996年に発売されたプレイステーション用の初期ゲームソフトで、ラップを主題としたリズムゲーム。
※ 3年前
戦慄MC BATTLE vol.12での対戦のこと。
※ SoundCloud
黄猿 kizal mitsu。
※ 共産党員
共産主義を掲げる政党の党員。現代日本においては野党としての日本共産党がある。
※ Rくんにもそうやって勝ったんスか?
[UMB2011] R-指定 v.s. DOTAMA