呂布カルマ v.s. NAIKA MC
戦極MC BATTLE 第10章 二回戦 呂布カルマ v.s. NAIKA MC
現在12/30 22:47。とてもタイムリーな話題ですが、UMB2016はNAIKA MCが獲りましたね。おめでとうございます。
そしてその決勝戦は相手が呂布カルマということで、この試合と全く同様の組み合わせになります。そんなわけで今回はコチラのバトル。
[呂布カルマ]
Yo mic check, mic check
さっきコイツチョキ出す
って言ったのにグー出した奴
汚ぇ内面はrapに出る
開いた口ふさぐな 声出し続けろ
NAIKA MC 評判ほどじゃないな
コイツただ声デカいだけじゃないか
俺に負けて後ろで泣いた
男の涙はみっともないな
[NAIKA MC]
あー そうですか
声デカいだけでも武器になるんだわ
オマエがそのスタンスなら
変えねぇ 俺はコレ
あ みんな言っとくぜ
俺この戦利品 ガッツリ狙う
オマエも殺して サングラスと
そのなんかのシャツも
俺によこしなよ
[呂布カルマ]
サ上死んでねぇ 後ろで元気
さっきからコイツ嘘ばっかりつく
負けたMCの衣を羽織る
勝つ気が無いように見えるがどうだ?
デカい声 出すだけなら
その辺の外人さん連れてこいや
こっちは熱くならず クールにやる
名古屋のMC そういうスタンス
[NAIKA MC]
クールにやるならHOTにやる
スタイルウォーズで現場叩き出す
それは変わりません
いや 嘘、嘘って言われりゃ
嘘に聞こえるが
これも勝ちの執念ですから
天辺狙うためだわ
そろそろそのCOOL COREも
HOTに変えてやるぜ
ほらよこしなクール
[呂布カルマ]
勝つために何やったっていい訳じゃねぇ
こちとらホンモンのMC
勝ち方にこだわる
まっすぐ 強く
誠実にやるしかねぇ
嘘ついて しょうもねぇこと言って
ただデカい声出すだけで
アガるようなバトル
じゃあ勝ったってしょうがねぇ
10万円持ったって
ソイツはしょうもねぇMC
[NAIKA MC]
あー そうかそうか
ありがとね 美談は結構
じゃあ負けてそれを伝えろよ
俺は勝ってもこのスタンス
崩さねぇ それも男のひとつ
かかってこい ならガチでやるぜ
呂布カルマ 目外してんじゃねぇ
タモリのオールバック野郎
消えてなくなれ motherfucker
概要
8小節3本
勝者: NAIKA MC
解説
戦極MC BATTLE 第10章 二回戦 呂布カルマ v.s. NAIKA MCのバトル
今回はこちらの一戦を取り上げたいと思います。
先ほども言いましたがUMB2016の決勝と同じ組み合わせとなります。
そちらの方はDVDを楽しみに待つとして、3年ほど前に行われた戦極の試合を見ていきましょう。Rapスキルの面でも内容の面でもかなり拮抗した接戦で、個人的には非常に好きなバトルです。
ちなみにこの試合はyoutubeにも公式の動画が上がっていますので、まだ見ていない方は以下をご覧になりながら読んで頂けるといいかと思います。
ちなみに他記事でも再三にわたり言及している通り、10章は戦極の中でもトップクラスに面白い大会なので持ってない方は今すぐDVD買いましょう(笑)
さて、バトルの内容です。まず先攻は呂布カルマ、1バース目。
冒頭から先攻後攻を決めるジャンケンでの一幕をネタに攻撃していきます。この「汚ぇ内面はrapに出る」はなかなかのパンチライン。
続くバースの後半では「評判ほどじゃないな」の辺りから小節ごとに丁寧にライミングしていて、一文一文で諭すようなラインが良くビートにハマっています。
そういえばこのビートもバトル映えしていて両者のrapの雰囲気にマッチしていますね。
対して後攻のNAIKA MC。「ただ声デカいだけ」との指摘に対して第一声から「あ゛ーーーー」とあらん限りの勢いでガナり立てることでアンサーします。
もうこの時点で真っ向からのスタイルウォーズという感じで、双方のアティテュードの凌ぎ合いがバトルの中心的なテーマになっています。
そして続けてバースの後半、「サ上、死んだってよ」とのラインですが、こちらは本大会でのサ上の敗退と、同年話題になったdodoとサ上のbeefを絡めた絶妙にタイムリーな一節になります。もうこの一事だけでもNAIKAの実力が伺い知れるというものです。
またその後も、「戦利品」とあるようにこの派手なジャケットは一回戦の対戦相手であるサイプレス上野その人が着ていたものになります。
そしてそこから俺に負けてオマエもよこせ、という風につないでいくわけですね。
本来のキャラクターに加えて、こういうrapスキル以外の様々な要素を使ってバトルを盛り立てていくスタイルはNAIKAの持つ強さの一つだと思います。
続いて呂布カルマの2バース目は「サ上死んでねぇ 後ろで元気」というマジレスからスタート。ジャンケンのくだりと併せて「さっきからコイツ嘘ばっかりつく」というdisへとつながります。
また圧巻はその次のラインで、「負けたMCの衣を羽織る」「勝つ気が無いように見えるがどうだ?」とNAIKAの用意した小道具を一蹴します。
ここはこの試合のみならず、大会通しても最高クラスのパンチラインではないかと思います。ちまたの評判に違わぬ重たい一発ですね。個人的にはもうこのラインだけで呂布カルマの勝ちでもいいんじゃないかと思ってしまいました。
そして後攻NAIKAの2バース目。「クールにやるならHOTにやる」と、相変わらず呂布カルマの逆張りで攻め、「嘘ばかりつく」とのラインに対して「勝ちの執念ですから」とあくまでも勝利にこだわる姿勢を強調していきます。
呂布カルマのキレイなパンチラインの後ですが、メッセージの面ではこちらも負けていません。また、「COOL CORE」は大会の同年に発売された呂布カルマの音源のタイトルで、このラインはそれを茶化したものですね。
そして呂布カルマ3バース目。「勝つために何やったっていい訳じゃねぇ」と、先ほどのNAIKAに対抗してこちらもアティテュードの面で真逆をいきます。
「勝ち方にこだわる」「誠実にやるしかねぇ」など、もう半ばわざとらしいくらいにバトルに対する精神性を強調することで、NAIKAの(このバトルでの)意地汚さを対比的に浮き彫りしていくような戦い方ですね。「10万円持ったってしょうもねぇ」と最後まで相手の卑しさをアピールして観客に支持を訴えます。
ラストは後攻のNAIKA MC。こちらはこちらで「美談は結構」と呂布カルマのラインをあしらった上で、「じゃあ負けてそれを伝えろよ」と、にべもなく撥ね付けていきます。ここも呂布カルマに負けず劣らずの力強いパンチラインで観衆も盛り上がります。
「勝ってもこのスタンス崩さねぇ」とやはりこちらもメンタリティの話題から退かず、その上でなお相手を凌駕しようというrapになっています。
また最後の「タモリのオールバック野郎」から続く「motherfucker」までのラインは、ビートの拍にしっかりと合わせつつ大きな声量と独特な声質が非常にハマっていて、内容以上の効果を生んでオーディエンスに強烈な印象を残します。
NAIKA本人も常々言っている通り、良く通る声というはバトルにおいて強力な武器になり得るのだと納得させられるようなバースになっていました。
総じて、この試合巧者同士の流れの探り合いは本当にレベルが高かったです。キャラクターやrapスタイルの差異に加えてメンタリティの部分でも好対照をなした構図の中で、お互いに真正面からメッセージをぶつけ合っていました。
非常に拮抗した勝負となりましたが、客判定により勝者はNAIKA MC。ただし内容的にはかなり均衡していて、微妙な差の中での判定ではなかったかと思います。
余談ですが、試合後に司会の八文字が「NAIKAさん服一枚増えるんすかねー?」とつぶやいていたのがこのバトルの裏パンチラインです(笑)これには笑いました。
いかがでしたでしょうか。UMB2016もDVDが楽しみですね!
※ サ上、死んだってよ
同年にネット上にアップロードされ話題になったサイプレス上野本人による楽曲。
ラッパーのdodoから仕掛けられたbeefに対するアンサーソングとなっている。
※ COOL CORE
THE COOL CORE。同年に発売された呂布カルマの音源。
※ 10万円
同大会の優勝賞金