[般若]
Yo いくぞ 入れろよ 決勝
気合い入れろよオメー?
いくぞ yes, yes y’all
英語 日本語
全部使い分け この場で
歌い方 それも人それぞれだぜ
オマエがどこ代表? 確か神奈川
だけど今日はまだまだ
優勝はできねぇかもな
Yo 俺を先攻にしたのがオマエの穴
Yo かましてみろよ これがプロとアマ
[YAS]
違ぇんだ 先攻の穴
自分で作ってんだろ
俺はそう 神奈川代表だ
でも俺はそう語ってる静岡
いろんな顔がいるのさ
こういうことだぜ どの音だけ
ちゃんと目と目を見ろ
さっきから視点が下の方
だからオマエいつもネガティブの下向き向こう
だからこうやって言葉をいつだって伝えていくよ
般若熱いのかましてくれよ
[般若]
フローで聞かしてうやろうか
じゃあ中身で勝負
静岡だったら刺身
だけど俺は超dope
ソース? しょう油?
今日ここはどこだ?
タコに焼き入れる
タコよりもホクホク
ここで見せつけてやるよドッグタグ
行こうぜこの10年
もっとそのHipHop
俺とオマエで最高の決勝
わかるだろ かましてくれよ Ei-yo
[YAS]
つまりそのテンションをみんなに伝えてえの
だから普段通りやってるこのフリースタイル
何年前にやってる? 誰が何年やってる?
なんて関係ねぇんだ
ここで俺が起こすよremember
じゃねぇんだ こうやって俺を邪念が
自分を打ち勝つためにただマイク握ってんだ
そういう般若
オマエにやべーことを伝えてくよ
音楽はオマエも大好きなんでしょ?
[般若]
Yo 10代 20代 30代
だけど俺は全然止まんない
この場のフリースタイル
まるで飛行機 それとも同乗人
ようこそ この搭乗 入り口
これが発つ基地
まるで神社靖国
それか剛長渕
それ以上の熱い魂 この語り口
Rapってのはよ いいもんだなぁ
楽しいな今日は
[YAS]
いや でもぜってぇ負けねぇよ
つまりYASが
見せつける独学はまるで泰葉
みたいな感覚だ
試合中に水を浴びても関係ねぇ
俺には絶対ないよ反省点
でもそのまま 次の次のレベルへ
掴み取るマイク 俺が絶対に勝つんだ
ビッグネーム 俺が飲み込むビッグウェーブ
俺がY.A.S
[般若]
Yo 勝ち負けの向こうにあるよ その価値が
俺はいくぜこの場で変えてやろうぜ価値観
Yo ビートに乗った俺らの文化じゃねぇ
異文化だぜ それだけど
ここにいるのは自分らだぜ
俺とオマエで最高のrapを見せるため
Yo 夢を与える
だけどこの場でくたばる
わけにはいかねぇから
俺がマイクを掴む
[YAS]
Yo そうやって掴んでるマイクで
最後何が言いてぇかって
俺ももちろん男だ
長渕よりも 長靴履いた
あの小5の頃から始めたrap
思い出せば最高さ
でもまさにその言葉で
何ができるのか 俺がどこまで
でも次から次へと
Yo とりあえず打倒 般若くん
ていうか口だけの 麻生内閣
概要
8小節4本
ビート: Wu-Tang Clan / Ain’t Nuthing Ta Fuck Wit
勝者: なし(延長へ)
解説
UMB2008 FINAL 東京代表 般若 v.s. 神奈川代表 YAS
UMB2008の決勝はこの二人の対決となりました。
ソロMCとして当時からすでに一定の成功を収めていた般若に対して、フリースタイルバトルで名を馳せつつ、地元伊豆で地道に活動を続けているY.A.S。そんな二人がUMB決勝戦でぶつかった試合になります。
どちらも現在も変わらず活躍している一線級のMCになりますね。そして般若は音源以外でも、バトルではフリースタイルダンジョンのラスボスとしてすっかりおなじみですね。一方のYASは変わらずUMBファイナリストとして多くのバトルで戦績を残しています。
それではバトルの内容です。まずは先攻、般若から。リリックご覧頂ければお分かりと思いますが、完全にトップオブザヘッドで臨んでいるようですね。
そしてその中でも小節の最後に韻を挟んだりしていますが、なんといっても言葉のひとつひとつに気迫がこもっていることが見て取れます。
最後の「かましてみろよ これがプロとアマ」というラインなどは般若が言うとかなり説得力がありますよね。
それに対するのが後攻のY.A.S。地元ではない神奈川の代表者として出場しているという指摘を受けつつ、受けたラインに即座に押韻含めて返している辺りはやはりさすがだと思います。
当時の技術水準で言うと間違いなくTOPの部類に入るんではないかと思います。また、余談ですが般若に比べて、当時のY.A.Sは髪型も坊主ではないので今と雰囲気がかなり違って見えますね。若いです。
どちらも1バース目からいきなり熱いですね。
そして続く2バース目。般若は「静岡だったら刺身」というラインから「タコに焼き入れる」で話題を会場の大阪へ移し、話題に広がりを見せていきます。
ちなみにこの辺りからだと思いますが、両者のバースの切れ目が徐々にズレが生じ、3小節終了時点で交代、というタイミングになってしまうという非常に珍しい展開になっています。。
それでもDJのドラムスクラッチはきっちり4小節の切れ目で行われていくので、ややいびつな感じでバトルが進んでいるように感じます。
そして驚くのがそんな状況の中でもお互いにしっかり4小節ずつrapしていて、ドラムスクラッチ前にスパッと渡しあっています。
こういう様子を見ていると、世のバトルMCたちはビートの進行ではなく体内時計的に自分の中で小節をカウントしているのだと思わされますね。そういう意味でもこの試合はかなり味わいがあります(笑)
さて、後攻のY.A.S。引き続き熱のこもるrapの中で、般若の「行こうぜこの10年」というラインに呼応した「何年前にやってる? 誰が何年やってる?」「なんて関係ねぇんだ」との一節が非常にかっこいいです。
キャリアの差を一瞬で埋めていくような、そんな威力のある力強いパンチラインだと思います。
続く般若3バース目。「神社靖国」や「剛長渕」など、まさに彼らしい語彙が次々と出てきます。自分を出し切って戦っている感じですね。
そして中盤の「Rapってのはよ いいもんだなぁ」。おそらくこのラインが本バトル最大のハイライトでしょう。決勝戦、熱いメッセージの応酬の中、不意に般若の口から出たこのしみじみとした一言に心から共感したオーディエンスも多数いたのではないでしょうか。
後攻Y.A.Sの3バース目。こちらは熱さそのままにハードライミングの度合いが増し、それまでよりも「より綺麗なrap」にまとまっている印象です。
また「ビッグネーム 俺が飲み込むビッグウェーブ」意味の通り方も比較的ストレートになっていて、聞きやすく、素直に耳に入ってくる感じです。
キャラクターの勝負になると般若は当時から相当にアクが強く、印象に残りやすいため、総合的な技巧に訴えるこの判断は非常に真っ当なものではないかと感じます。
そしてラストの4バース目。「変えてやろうぜ価値観」という切り出しから、般若はHipHopについて語っていきます。
俺らの文化じゃなく「異文化だぜ」としながらそれでも「ここにいるのは自分らだぜ」とスッキリと意味の通ったラインを展開していて、思わず唸らされました。rap巧いですね般若。
そして「大阪っていうこの最高の地」「俺とオマエで最高のrapを見せるため」と続くのですが、そういえば今回は大阪の会場で東京と神奈川の代表が優勝争いをしている、という構図になるんですね。(Y.A.Sは出身地は厳密には静岡ではあります)
一方の後攻Y.A.Sです。「長渕よりも 長靴履いた」と般若に対して2バース越しのアンサーを展開し、最後まで思いの丈を言葉にしてぶつけていくような内容となっていました。
また先ほど述べた通り、Rapに対してビートが1小節分ズレたまま展開されてきたバトルでしたが、ラストの「口だけの麻生内閣」では、きっちりrapの終わりに合わせてビートも終了していました。
そうしてバトルは終了しますが、結果はドローに終わります。決着は延長へ。
通してみると一方的な試合展開ではなく、どちらも自分のカラーを出しながら見せ場を作っていたので、ナイスなジャッジではないかと思います。
※ 剛長渕
ライブでの共演など、般若と交流のある日本のシンガーソングライター。
※ 泰葉
日本のシンガーソングライター。
※ 大阪っていうこの最高の地
同大会は唯一大阪で開催された(難波HATCH)。
※ 麻生内閣
2008年当時の日本の内閣。
ビートは多分 Ain’t Nuthing ta Fuck Wit / Wu-Tang Clan だと思います
> 無名 さん
情報ありがとうございます!
ビートの欄、追記させてもらいました!