CHICO CARLITO v.s. 句潤
UMB2015 BEST8 REVENGE代表 CHICO CARLITO v.s. 神奈川代表 句潤
今回はUMB2015からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
フロー対決と呼ぶにふさわしい、どちらも独特なフローにプロップスのあるMC同士の対決となりました。
それでは早速バトルの模様をご覧ください。
[CHICO CARLITO]
Yo このビートの上
俺と句潤さん
日本の一番のフローを決める
それができれば 俺も最高
こんな 東京の空の下
でも地元はただ一つさ
横浜だったらそこローカル
沖縄からここに飛び込む CHICO
[句潤]
飛び込む それを全て受け止め
発車寸前 ハートが高ぇ
ターゲット いつもオマエには言っとく
一言たわけ どっかに去っとけ
時計の針ゼロ回り出した
年次 何時だまし取る
俺は日本男児
また ローカル045に
体内 ような感覚に
[CHICO CARLITO]
俺も日本男児 沖縄生まれ
だけど それは どこか 遠くの場所が
内地 だけじゃない
ちゃんと持ってるMIC
句潤さん 乗りましょう 俺らのためのビート
最高 のフロー見せなきゃつまらなくなっちまうだろ?
ぶつけるMY SOUL
[句潤]
フローじゃなくて戦いたいぜ
ここに立ってる意味 you know I’m saying?
Yeah やっぱここは日本一
決めなけりゃいけない
離さない男の意地と意地
位置が固まり またのMIC
石ころは蹴飛ばしに
オマエが変だから俺が上がらないの
I gotta fight, yo
[CHICO CARLITO]
俺もちゃんと持ってる意地 誇り
Can I kick it ?
チコカリ From 暗がり
Bang Da Rhythm 一瞬 先
その石ころ 俺は転がった先に
見えてきたぜこの場所
東京 ageHa で掴みにきたぜMICを
[句潤]
マイクは掴んでるよとっく
もう話す時間置いとく
そこが似合っとく オマエの定位置
ピーーー 心臓停止
Yo 俺はこういうノリが ノリノリだ
また泳ぎだしたら 止まらん
口からベロベロベー
またfunkならmotherfuckerどっかいけ
[CHICO CARLITO]
どこにも行かない
アンタの前に立ちはだかる
ベロベロバー もしくはケンケンパ
今日は勝ちに来てんだ 決定打
打ち込む チコ 俺のマイクは
逃げも隠れもしねぇんだよ
だから地元背負って
いやリベンジだけど
ちゃんとここに話すよアンタに
[句潤]
ケンケンパ あっかんべーだ またべーだ
晋平太 の方がやっべーじゃん
アッ? 出てこい目の前が
俺いっとくケンケンパ よりも
天陸Ragga 音楽家
いつもの秒針指してる 興味は尽きないし
俺はここの ヘンテコな奴らを終わらせに来たんだ
概要
8小節4本
勝者: なし(延長へ)
解説
UMB2015 BEST8 REVENGE代表 CHICO CARLITO v.s. 神奈川代表 句潤
今回はUMB2015からチコカリートと句潤の対戦をピックアップします。
どちらもスムーズなフローに定評のあるMCで、BEST8という優勝が視野に入ってきたこのタイミングで激突することになりました。
まず先攻はCHICO CARLITO。「日本の一番のフローを決める」という切り出しから、シンプルなビートの上に言葉を刻んでいきます。
そして一方の句潤も1バース目はCHICOと同様に短く言葉を刻んでビートとの調和、フローの効果を重視してバースを進めていきます。
2バース目に入って、CHICOも一定のリズムでフローするものの、「句潤さん 乗りましょう 俺らのためのビート」など、要所要所でのメッセージはしっかりと前に出していて、フローに隠れてしまうことなく、力強いrapで対応していきます。
このあたりのメッセージの中での強弱のつけ方もCHICO CARLITOのうまいところ、武器のひとつだと思います。
対する句潤のバース。「フローじゃなくて戦いたいぜ」とショーケースではなく、あくまでバトルに勝つために来ていることをアピールして幕を開けます。
この切り返しはいいですね。こちらもフロー一辺倒ではなく、的確に核心をついていきます。
句潤は例えば2小節あればそのうちの1小節は抑揚とリズムのために犠牲する場面がまま見られますが、それでも8小節全体で見ると非常にまっとうにメッセージをぶつけていることがわかります。
特に3バース目などは、前半4小節で相手の揚げ足をとりつつ後半は自分のリズムをキープしつつ、メッセージなどどこ吹く風の自由なフローで盛り上げていきます。「口からベロベロベー」のところなどはもう最高です。彼の良さが非常によく出ている部分だと思います。
そして最後のバース4バース目。まずはCHICOのアンサーで、「ベロベロバー」という句潤のラインを受けて、「今日は勝ちに来てんだ 決定打」と返していくのですが、これがビートへのハメ方、言葉の落とし方が完璧で、かなり効果的にオーディエンスに印象づけています。ここはこのバトルの中でも屈指のラインと言えるでしょう。
後攻の句潤も負けてはおらず、「ケンケンパ あっかんべーだ」とまた音や語感に訴えるアンサーをしつつしっかりと見せ場を作っていきます。
こちらも一定のリズムでrapしつつも決して平板なものではなく、しっかりと詰め込むべきところで詰め込んでいて、それが独特のグルーヴを生んでいるのがわかります。
どちらも会場を盛り上げていましたが、4本終わって結果は引き分けとなりました。勝負はこのまま延長へと進みます。
CHICO CARLITOは苦戦していると言っていいかもしれません。一方の句潤も山場は作りつつも、同じくフロー巧者を相手に止めを刺し切れていない状況でしょうか。
どちらもフローに定評のあるMCで、文章に書き起こした以上のグルーヴが生まれたバトルとなっているので、ぜひ一度映像で見て頂ければと思います。この一戦も中々見応えがあって面白いマッチアップでした。
※ ローカル045
045は横浜市の市外局番。
※ 内地
沖縄や北海道から見た本州の呼称。特に戦時中には各植民地と日本本土とを区別するため用いられた。
※ リベンジの生き残り
本大会、CHICO CARLITOは地元である沖縄予選で敗れREVENGE大会の代表として本戦へ出場している。
※ Bang Da Rhythm
CHICO CARLITOの所属クルー。同大会に出場するTENGGも所属している。
※ ageHa
本大会の会場となった新木場のイベントスペース。
※ 晋平太
本大会のレフェリー。UMB2010、2011大会のチャンピオンでもある。