呂布カルマ v.s. NIHA-C
戦極MC BATTLE 第7章 呂布カルマ v.s. NIHA-C
今回は戦極7章からこちらのバトルを取り上げます。これまた面白い組み合わせ。
斜に構えたMC同士というか、シニカルな両名がお互いにどんなrapをするのか楽しみな一戦です。
[呂布カルマ]
ニヤニヤニヤニヤ NIHA-C
そうカッカすんじゃねぇ
オマエ足んねぇビタミンC
イライラした挙句
ばっかで足滑らしたヤツが
転がってく様 ざまぁねぇ
マネーゲームじゃねぇ
俺こそバーでオマエの羽もいでいくだけ
家庭環境とか知ったこっちゃねぇ
What your name? NIHA-C
[NIHA-C]
「What your name?」
知ってるのに聞いてるのはなんで?
残念だな そのフローこのビートに乗れねぇ
Oh ご機嫌いかがですか?
久しぶりだな こういうとこで会えて俺はマジで嬉しいぜ
リベンジ 今日こそはアンタに買って5万円
もらって帰ってご満悦
いつでもそう 俺は韻踏んでフロー
乗せてくだけ 俺はビートの上
[呂布カルマ]
一度 再び 三度 NIHA-C
血祭り つまり
俺の方がヤバいMC
まるで鉄人 鉄のハート
こんだけの人数の好奇の目に晒されても快感
俺上がりきったところから見てる景色
また別人 さっきまでの俺とはまた違うMC
オマエがなにほざこうが
足元でピーチクパーチク
そういうので受けんのマジでアホくせぇ
[NIHA-C]
アンタは鉄人 かもしれないけど
俺はrapに関しちゃ絶倫
なに言われても別に もう気にしない
別に劣等感今さら持ってない
どんなフロー どんなライム
どんなステージ どんなマイク
どんなリリック どんなヤツだって
俺は相手にしてない
俺は俺の道 君は君の道
いつか崩れ去るまで
君のままでいてくれ
[呂布カルマ]
どんなライム どんなビート どんなバトル
女の 腐ったようなヤツでも
俺は一々相手にしてやるぜ
しょうがねぇ ここまできて
上がってきたNIHA-C
ようこそ ここまで来たね
俺が相手してやるぜ
って俺おんなじこと何回も言ってる
これつまづいてんじゃねぇ?
大丈夫 1, 2 2.9で返す
まるでプロレスみたい
ギリギリまでやって盛り上げる
ために 逃げる 道は無いだろ
[NIHA-C]
やっとここにきてこのビートの乗り方
がわかったようだな
誰かさんに習ったのかな?
もしかして俺ですか?
もうどうでもいい
アンタみたいなフローが頂点
なヤツには負ける気がしない
俺はHipHopper
長身だろうが 低身長だろうが
ビートの上じゃ同じ一対一だろ?
死にたがりが多いようだな今日は
いつまで俺の前でそうやってほざく?
[呂布カルマ]
何の問題もない
耳の肥えてないお客さんたちが
手当たり次第
手先のライムで吠えやがる
俺は知らない
もっと高いところに持ってる理想
俺の正解は俺の中に ガッチリあるから
まるでチリ紙交換みたいな
安い言葉で上がってる
俺わかってる
そういうMCじゃいつまでも笑ってる
鼻で笑ってるから
鼻に白い粉が付いてるように見える
オマエ早いだけ 嘘っぱちのMCじゃんか
[NIHA-C]
嘘っぱちのMCじゃんか
とか ウソとか本物 偽物
リアル フェイク
今さらそういうの気にしてんすか?
いつまでそこにいんすか?
三十路のフリーター
誰も尊敬できない位置でいつまで笑ってんすか?
俺がアンタを越える日がいつになるか
楽しみに待ってたんだろ?
教えてやるよ 今日だ
政治家 みてぇなことばっか言ってるけど
どうせしょうもないことだろ
だって今日はここASIA
概要
8小節4本
勝者: NIHA-C
解説
戦極MC BATTLE 第7章 呂布カルマ v.s. NIHA-C
今回は戦極7章からこちらのバトルを取り上げたいと思います。
バリバリのバトルMCとして続々とプロップスを集める呂布カルマに対して、ニコニコ動画への楽曲アップロードなどでも活動するNIHA-C。
バックボーンはそれぞれですが、実は両者名古屋出身ということで同郷であったりします。
バトルが始まって先攻は呂布カルマ。「ニヤニヤニヤニヤ NIHA-C」という入りからスローペースで試合が始まっていきます。
続いて後攻のNIHA-C。「What your name?」「知ってるのに聞いてるのはなんで?」と非常に彼らしい切り口のアンサーから入ります。
「このビートに乗れねぇ」というdisと「ご機嫌いかがですか?」という言い回しが同居している辺りがなんともNIHA-Cらしいです。とはいえ今回は呂布カルマに対するリベンジであることを提示していて気合十分といった感じです。
それを受けての呂布カルマ。「一度 再び 三度 NIHA-C」から続くラインで珍しくタイトに言葉を刻んでいきます。こういビートも合わせやすく、余裕のあるときは実は色々なフローを試したりしていて面白いです。
またこのバースの中では「こんだけの人数の好奇の目に晒されても快感」という部分など、描写の巧みさにかけては相変わらずトップクラスです。
それを受けてのNIHA-C。「アンタは鉄人かもしれないけど 俺はrapに関しちゃ絶倫」と相手の言葉を拾いつつのアンサー。
また、「どんなフロー どんなライム」とこちらも言葉を小さく刻んだフローを混ぜながら緩急をつけた多彩なrapをしています。この辺りのNIHA-Cは純粋にrapかっこいいです。音楽的な勘の良さと皮肉めいたキャラクターが同居してるところが好きだったりします。
そして呂布カルマ3バース目「どんなライム どんなビート」と相手のフローに合せた上で「女の腐ったようなヤツ」とライミングしつつのカウンターです。
「俺が相手してやるぜ」に見られるように、呂布カルマは相手との位置関係を浮き彫りにすることで自身の優位を印象づけることがうまいですね。バトルの流れを掴むのではなく、流れを自分自身で作り出せる数少ないMCではないかと思います。
しかしそんな呂布カルマもここにきて「これつまづいてんじゃねぇ?」と勢いが失速。この大会の少し前に行われたUMB2012本選でのTKとの一戦を思わせるようなつまづきを見せていまいます。それでも「2.9で返す」となんとか持ち直してバースを終えた感じでしょうか。
そんなスキを見せた呂布カルマに対し、NIHA-Cの方は俄然勢いを増します。
「やっとここにきてこのビートの乗り方がわかったようだな」と煽った上、「誰かさんに習ったのかな? もしかして俺ですか?」とユーモラスなdisを仕掛けていくのですが、語気を強めるでもなく、含み笑いを交えて少し厭味な感じで吐いているのがいいですね。
そしてNIHA-Cといえば最後のバースもまたスゴいです。
リアルとかフェイクとか「今さらそういうの気にしてんすか?」バトルではお馴染みのテーマを切り出した上で「いつまでそこにいんすか? 三十路のフリーター」「誰も尊敬できない位置でいつまで笑ってんすか?」と続きます。
呂布カルマのお家芸をそのまま返す形の痛烈なdisになっていますが、このラインが本バトルの最大のハイライトではないかと思います。
未だ呂布カルマに「勝負を決める一発」が出ていないだけに最後のこの一連のラインは試合中で一番本質を突くdisになっていると思います。やりますねNIHA-C。
そしてどちらも一通り殴り終えたところで8×4のバトルが終了しますが、結果はなんとNIHA-Cが勝利します。
呂布カルマのプロップスは相当に大きいものでしたが、物怖じせずにしっかりと自分の言葉をスピットし続けたNIHA-Cに軍配が上がりました。呂布カルマの調子も悪くなかったですが、今回はNIHA-Cのdisがめちゃくちゃ効いていたように思います。オーディエンスのジャッジもナイスでした。
第7章の中でもこのバトルは
バックボーンからスタイルから違う両者が
じっくりと時間をかけて主導権争いをしていく
という流れになっていて、非常に面白い内容になっています。
7章をまだ見ていない、という方は他の試合と合わせて是非DVDでご覧ください!
※ 5万円
本大会の優勝賞金。
※ ASIA
渋谷CLUB ASIA。本大会の会場。
勝ったのはニハシでは?
> Ytさん
コメント頂きありがとうございます。
DVD見返して確認したところご指摘の通りでした Σ(゚Д゚
前後関係で言ってもこの次がNIHA-C対エローンなので
ここでニハシが落ちるはずないですね。
ありがとうございました。訂正してお詫び致します!