早雲 v.s. NAIKA MC
UMB2015 BEST8 京都代表 早雲 v.s. 群馬代表 NAIKA MC 延長
今回はUMB2015からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
NAIKAと早雲の延長戦で、延長前の試合は以下のリンクからご覧ください。
この試合、個人的には文句なく大会ベストバウトです。
そしてこの試合、相当長いです。16小節4本分くらいのボリュームがありますね。シリアスなビートにそれだけメッセージが詰まった濃いバトルになってます。
[早雲]
完全無欠のフリースタイラーになりたくて
ここまでやって来たぜ
未だに耳に鳴り止まない 黒いオルゴール
オマエはTOP体勢じゃないけど
オマエに大勢 勝利は与えないぜ わかる?
俺はバッチリかましてく ah
オマエBEST8じゃないヤツ
Ah オッサン頭がおかしくなってる
ボケて オマエ一瞬でKOさ
俺は提供してくぜ脳内セオリー
全部へし折るぜメモリー oh
俺はレペゼンタ Zero-G
いつでも無重力で漂うぜ
[NAIKA MC]
「無重力で漂うぜ」の意味がまったくわからねぇ
それと 拍が取れなかったの
オマエが意外とどっちらけ
こっちはシラけるぜ オマエのその瞬間
目ぇパチパチすんなよキメぇ
目の前からどいてくれよ早雲
俺その話しなくても
一歩だって引かねぇって なぁ
北関東殺しの螺旋にいるぜ
イかれたMC いやイカしたMC
オマエよりもイかせるMC
テクの方はどうだ?
no doubt言わせるくらいやるどうだ?
[早雲]
NAIKA MC 北関東の舌担当
それは知ってるが
オマエ熱いだけじゃ次のドアは 絶対に開かんぞ
わかるか? 声を張り上げるだけがバイブスじゃないな
それは知ってる
だから冷静にやろうか全席満員御礼 俺全盛期
わかる? 俺はいつでも軽快に
乗って行くぜこのビート
ヒント は一切与えない
適当に乗っかって楽しくやるぜ
無重力の意味わからない
俺は背負ったもんレペゼンZERO-Gravity
裏道を王道に変えてくぜ
俺のチャンプロードが背中にある
[NAIKA MC]
チャンプロードは背中にないよ
あるのはコンビニ ヤンキー雑誌
それがチャンプロードだろ
それとZERO-Gravityは知らないよ
でも京都だろ 幕末の志士
最高にかっけー場所じゃねぇか
さっきから言ったことがブレまくりだよ
芯はいったいあるの?
無くてもいいよ なぁ 気持ちよくやるだけ
俺でも気持ちよく乗れる
他にない言葉 俺がこのビートで撹乱すると思った?
甘くねぇぜ 俺もサイファー
フリースタイル ライブをやりまくり
オマエよりもガッチリ
現場を盛り上げまくり オマエはパクリ
[早雲]
全然できてないぜ オマエ
NAIKA MCの撹乱作戦
俺は一瞬で爆弾作成
オマエの頭に落としてやるぜ
わかるかオマエ一瞬でbomb! 一瞬でbomb!
分かってくどうなってるか知らねぇが
ドーナツ化現象 MC じゃないこれはドーナツ
回るレコード これはテコンドー
足技しっかり決めてくハイキック
禁句なんて無いんだ一切
言いたいこと全部ブチまける
やりたいように やりたいやり方 これHipHop
これで実証 さしていく真夜中
竹原ピストル 耳元に響く俺の脳内
[NAIKA MC]
つまり 竹原ピストル
オマエよりも俺はオールドルーキー
わかる? オマエメッキだぜ
皆覚えてくれ俺ゴールド純金
このフリースタイル完璧さ
オマエが言ってる音楽は ah
すべて吐き出してくれ受け止める
俺はある意味宇宙かも
ブラックホール すべて飲み破る
それこそまさに無重力じゃねぇの?
話の終わりは続いてる
そこスパッと切ってもカットはしない
ハッとしてるけど まぁパッとしねぇ奴らより 俺らマシ
最高の試合にするために
お互い出せるベストを全力で出す
[早雲]
Yo NAIKA MC渡すぜ引導
一瞬で殺すぜオールドルーキー
わかるこのライムつないでけば
一瞬で早雲の空気に変える
これは中心 どっちがジューシー
どっぷりどっちに使った方が ヤバいかここで証明する
まだまだだ 浅はかな考えさオマエは8小節 頭が過剰摂取
脳内おかしくなってる汗が滲む ひたい
いや違う 左 右に 右往左往
オマエの声なら一瞬で不協和音
に変わってるんだぜ その耳に aight?
[NAIKA MC]
確かに間違えたことはやっちまう
やっぱマジの真剣でな
自分を見失っちまうな
木刀じゃなくて真剣持って斬り合いさ
そりゃそうさ
俺たち一体なに出来るか皆に見せてやりてぇ
フリースタイルは自由に伝える
rapだけじゃないことも伝える
芸術品 粗悪品
俺も粗大ゴミのただの一人かも
勝たなきゃただの使い捨て
俺はそんなのなりたくねぇ
自由にやりてぇ でもやっとルールの上に則るけどな
俺ん中では 守るルールと破るルールがある
今だったらそっちの後者
概要
8小節4本
ビート: O.T. Genasis / CoCo
勝者: 早雲
解説
UMB2015 BEST8 京都代表 早雲 v.s. 群馬代表 NAIKA MC 延長
今回はUMB2015からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
プロップスもある実力者同士の組み合わせで、前の試合16小節2本で決着がつかず。今回の延長戦となりました。
この試合はめちゃくちゃスゴくて、個人的にはぶっちぎりで大会ベストバウト認定してます。
この1戦があるだけでもDVDを入手する価値があるんじゃないかと思うくらい素晴らしいバトルです。
今回のビートは3つの候補の中からDJセロリが選択されます。
基本的にはBPMの遅いトラックなのですが、表でストリングが一定のリズムで1小節中に16回も入っている感じなのですが、どちらもストリングの方に合わせて倍のリズムで取っていて、結果的に双方が各バース16小節分行っているかのようなボリュームとなっているわけですね。オーディエンスにとっては嬉しい事態かもしれません。
それで肝心の内容の方ですが、どちらも熱いrapを披露していい具合にバチバチな感じになってます。
しかし早雲の方はその上で持ち前のスムースなライミングを織り交ぜていたりしていて、要所要所でそういったスキルの差がジワジワ効いているように感じます。
例えば、2バース目の「北関東の舌担当」から「次のドアは絶対に開かんぞ」へとつなげていくラインや、4バース目でNAIKAのバースを受けた上での「オールドルーキー」から「早雲の空気(に変える)」というアンサーなど、文脈を踏襲しつつアンサーしつつも簡単には予測できないようなライムを間に挟んでいて、彼の各バースをよりクオリティの高いものにしています。
まして延長でこうした切り返しが出てくるのですからそのスキルには素直に脱帽です。
真正面からメッセージがぶつかり合った非常に面白い試合でしたが、結果はミスもなく相手を上回る技巧的なrapを披露した早雲の勝利となりました。
また、この試合は確かに拍の取りづらいビートで、NAIKA MCはバトル中に2回ほど相手のrapに割り込もうとしてしまいます。そこを早雲にもれなく拾われてしまったことも敗因の1つとなりました。
それにしてもビートを確実にモノにしつつ相手に割り込まれてもつられることなくrapを続けていく早雲の高い能力には目を見張ります。
基礎体力やリズム感はじめ音楽的なスキルの高さ、ライミングの引き出しの多さなど、早雲は本当に全パラメータが高いレベルにある感じです。
また、NAIKA MCのようなタイプとの相手とも戦い方を心得ているようで、あまり相性の悪い対戦相手というのが思い浮かびません。まさに全天候型のオールラウンダーといったタイプのMCだと思います。
今大会でも高いラップスキルと熱いメッセージが同居していて早雲は本当にカッコイイrapを見せてくれていました。
本選へは2012以来二回目の出場となりますが、もはや優勝争いに食い込む実力者という印象が早くも定着しているように思います。いつか京都に優勝旗を持って帰る日が来るかもしれませんね。期待です。
※ Kyoto Most Dope
Kyoto Most Dope Spot。2011に閉店した京都のCLUB。
※ 小節のカウントも出来ないの?
4小節目終盤でNAIKA MCが入りこむ素振りを見せたため。
※ Zero-G
Zero-Gravity。京都/滋賀を拠点とするHipHopクルー。
※ 嫁子供の話 もう終わった?
延長前の試合で早雲が複数回話題に上げていたことから。また、その試合前のシャウトでは「家にいる二人の女神のために戦う」と、家族に対してメッセージを送っていた。
※ テメーはテメーで誇るために来てる
K DUB SHINE「俺は俺」より、「自分が自分であることを誇る」のラインから。
※ 殺しの螺旋
漫画『バガボンド』より。
※ 北関東の舌担当
UMB2012本選、TK da 黒ぶち戦でのNAIKA MCのライン。
※ 声を張り上げるだけがバイブスじゃないな
UMB2012本選、SURRY戦にて早雲は「俺は声を張り上げるだけがバイブスと思わない」と同様のことを言っていた。
※ 竹原ピストル
歌手。フォークバンド「野狐禅」の元ボーカル。
※ オールドルーキー
※ レペゼンWHOOPEE’S レペゼンBLACKBOXxx
ともに京都に存在するCLUB、ライブハウス
※ 俺も・・・
ここでNAIKA MCが早雲のバースに割り込もうとして中断された