[UMB2017 TCIY] じょう v.s. ムートン

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じょう v.s. ムートン

UMB2017 TCIY BEST32 じょう v.s. ムートン

今回はUMB2017 THE CHOICE IS YOURSからこちらのバトルを取り上げたいと思います。

[じょう]

俺は自分が選ばれた意味を理解している

ローカルの街のボス

客はdisを待ち望む

コイツの耳を飼い殺す

Yo CHOICE IS YOURS

実際誰が勝ち残る?

俺が勝つ どけやカス

コイツはプロップスを持て余す

東北で寒さに慣れてるか知らんけど

客の耳冷やすようなrapならやめてくれよ


[ムートン]

Hello 選手権上がり かっこ良すぎる東北訛り

これに食らわないで HipHop dream

Sisi da wannabe

Boom 乗りこなしたビーツの谷間

Hurry up まだ間に合う

クッシュにサティバ スキル磨きな

ちんカス TTC 次よガキが


[じょう]

結局その クッシュ みたいなこのフローしてるだけ

俺のdisをアンサーで返すんじゃなくて

2,3文字の韻で返してるだけ

四方八方ふさがって 八方塞がり

リズムキープだけやってる 韓国まがい

コイツ逆ギレして癇癪回し するような奴にはない雑草魂


[ムートン]

悪ぃ ダサすぎてそんな早口は吐けねぇ

俺は人と同じことが出来ない

だから人と違うことが出来る

これで首を切る オマエよりill

Scene 目標をセンターにスイッチ

聞け 本日の運勢 大凶で大吉


[じょう]

オマエそもそも俺のこと選手権上がりどうのこうの言うてきたけどさ

オマエ ローカルで10人や20人や30人の客沸かして楽しい?

100人以上沸かしてみろや

オマエが言ってるの的外れ

中身スカスカの鳩サブレ

何がかっこいいか分かんねぇ

何言ってん? センパイ帰れ


[ムートン]

沸かせるよ 100人

沸かす100人 one-hundred 掴む日本列島

揺れるか これをBET

ULTIMATE 甘っ チョコレート

食らわねぇぜ シンシティーカット

また韻吐くと コンパクト

生きるローカルと音楽は道楽

外さねぇ頸動脈

概要

8小節3本
勝者: ムートン

解説

UMB2017 TCIY BEST32 じょう v.s. ムートン

今回はUMB2017 THE CHOICE IS YOURSからこちら。今やシーンの最注目株と言っても過言ではないムートンのバトルを紹介したいと思います。

一方の対戦相手はじょう。こちらも高校生rap選手権での優勝を契機に一気に知名度を上げ、同世代の中でも一二を争うプロップスを持っています。

そんな両者が一回戦で当たるわけなのですが、そもそもこの対戦カードが非常に面白い組み合わせだと思います。さすがUMBです。

それではバトルの内容を見ていきます。

まず先攻はじょう。「街のボス」「待ち望む」と意味の通ったライミングで始まり、大会テーマに絡めて「CHOICE IS YOURS 実際誰が勝ち残る?」と綺麗なピークを作っていく上々な滑り出しです。上手いですね。

ただし最後の「東北で寒さに〜」のくだりですが、これはオーディエンスの反応いまいちでした。高校生rap選手権であればおそらく声が上がる部分だったのではないかと思いますが、UMBはさすがに手厳しいですね。

特にUMBでは2012,2013辺りからその傾向が顕著なのですが、使い古された陳腐なライミングや独りよがりラインに客が反応しなくなって久しく、バイブスがあっても技巧が伴わないと評価されにくく、選手権と同じテンションで臨むとかなり厳しい戦いになってしまいそうです。

対して後攻のムートン。こちらは「Hello 選手権上がり」というdisからのスタート。ビートに合わせる形でゆっくりと、語りかけるようなラインで、余裕を感じさせる立ち上がるです。

特に先述の傾向があるだけに、プロップスがあるだけにシンプルな「Hello」のラインでもネタ臭さがない分素直に響きます。

そしてそれで終わらないのがムートンで、その後は後半へ進むほどペースアップしていき、短く刻んだライミングをとっかかりに徐々にバイブスを高めていきます。この辺りも巧い。

続く2バース目。じょうからはアンサーをまともに返せず「2,3文字の韻で返してるだけ」というdisで幕を開けます。

その後はじょうの真骨頂とも言うべきフレッシュでいやらしいライミングによって早回しに展開されるdisで、ムートンがフローに力を割いてない分余計に勢いを増していきます。

続いて2バース目の後攻ムートン。ここからがスゴかった。まず冒頭ではそんなじょうのスタイルを「悪ぃ ダサすぎてそんな早口は吐けねぇ」と一蹴。

ここもビートに合わせたフローではなく、会話と変わらない調子で一語一語が強調されたメッセージになってます。

さらに後に続くラインもまた奮っていて、「俺は人と同じことが出来ない だから人と違うことが出来る」とのラインに会場も大盛り上がりです。

おそらくこの辺りで試合の流れもある程度決定づけられた感じでしょうか。それにしてもしっかり聞かせたいメッセージを強調して、パンチラインをパンチラインらしく仕立て上げるムートンのバース構成には思わず唸ります。

ムートン、技巧的なライミングや安定感のあるフローもそうなのですが、やはり特筆すべきはそんな中で安定供給されるパンチラインの数で、ここまでrapの基礎的なスキルやスタミナ、パフォーマンスのセンスなども含めてムートンのスキルの幅広さには驚かされます。ビートアプローチやライムストックだけではありません。

続いてじょう。ラストの3バース目は試合冒頭の「選手権上がり」に反論。「100人以上沸かしてみろや」とドヤります。

高校生rap選手権の優勝で知名度とプロップスを集めてきたじょうらしいdisですが、これがオーディエンスの共感を呼んだかというとちょっと微妙で、この辺りはさすがにUMBですね。もう少し踏み込んだ内容やウィットを利かせた意味付けが欲しかったところでしょうか。

そして後攻のムートン。「沸かす100人」からライミングでつないだアンサー。「I’m a chocolate」の辺りまでスムーズなラインが続きます。ただしスローなビートに等速で合わせたストックの組み合わせで、もう少しフローやボキャブラリーに変化があってもよかったかもしれません。

高めの声で勢い込んだラインを重ねていくじょうに対して、低い声で1ライン1ライン凄みを利かせたメッセージを放つムートン、という構図でしたが、判定により勝ったのはムートン。今回も聞き取りづらい箇所が多々ありましたが(泣)、それでもじっくり聞かせるメッセージが多く、要所要所の重たいラインで徐々に会場の流れを掌握していった感じです。

特に2バース目冒頭の「ダサすぎてそんな早口は吐けねぇ」から続くパンチラインの連続は圧巻で、ビートをよく捉えた中でじっくり吐き出された重たいラインという感じでした。

「俺は人と同じことが出来ない、だから人と違うことが出来る」はもう名言の域ですね。この辺りは公式トレーラーでも一部上がっていますのでまだチェックしてない方は是非ご覧ください。

ムートンはやはり安定して巧くて強く、今大会でも並み居る強豪の中でもかなり異彩を放っていました。続く早雲戦や輪入道戦など個人的に好きな試合も多く、大会のベストバウト製造機と言っていいかもしれません。

[UMB2017 TCIY] じょう v.s. ムートン” への6件のフィードバック

  1. いつもみてます!
    「I’m a chocolate」ではく、じょうのスキルが甘いとディスる意味での「あまっ チョコレート」だと思います!

    • > サービスさん

      コメントありがとうございます!

      ここは前後で草ネタが続いていたのでそういう意味ではないかと思ってましたが、ちょっと自信ないのでいったんそのようにしておきます!

  2. ムートンかっこいいですよね〜!
    早雲や輪入道戦のリリックも書いてほしいです!!!!

    • > mol53 さん

      コメントありがとうございます! ムートンの試合はどれも熱かったですね。

  3. ムートンはUMB宮城でとったので
    目標を仙台にスイッチ
    代表で来日 ですよ

    • > ゆうご さん

      コメントありがとうございます!

      前半部分ですが、こちらはじょうからオーディエンスに向き直っていたことから「センターにスイッチ」とし、また「本日の運勢」から続く内容としては「大凶」や「大吉」といった語が妥当ではないかと思うことから、ひとまず見送らせてもらいますねー

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