[UMB2009] P-PONG v.s. MC松島

LINEで送る
Pocket

P-PONG v.s. MC松島

UMB2009 神戸代表 P-PONG v.s. 札幌代表 MC松島

少し古めのバトルですが今回はUMB2009からこちら。素晴らしい一戦で、個人的にはMC松島史上のベストバウト候補だと思ってます。

[P-PONG]

MC松島くん

北海道のシーンはどんな感じなんですか?

同じ同世代 次世代

俺たちのやり方を見せたいねんから

タイマンから言葉で快感

見出していく己のスタイル

集まるマイク

小細工なしのrap ここでずっとrap

ずっとトラップ

罠にハマらないから

俺たちは笑いたいだけだ


[MC松島]

Yeah わかってる キミすごくいい人

印象もバッチリ

札幌のシーンの質問

だったらスグに返す

キミじゃ生き残れない

容赦ない rap かましまくる

同年代 どうしたい?

この先 就職?

なんとかかんとかあるけど

P-PONGよりある実力


[P-PONG]

なにが実力?

俺はパッパッパッパ

パッパッ 撃つ

これはピストル 銃

だから言葉持つ野獣のように

これはかなりこれは焚く

ピンポンパンから言葉でキンコンカン

決めるから 俺の甲高い声が響き渡る

じきにわかるこのシーン

だから優勝するよ 今年


[MC松島]

じきにわかる キミにはまずってか?

ありきたりな韻ばっか

P-PONG 「キンコン」で終わり

鐘は二つだけ それで十分さ

キミのrap聞き飽きたぜ

せいぜい頑張ってる

わかる 気持ち

でも俺はそんなに頑張らなくても

キミなら殺せるよ

Fuck you baby


[P-PONG]

Fuck you

下手くそでゴメン

Rapやってまだ4、5年

俺もマイク持って認め合うから

オマエのrap おもんないから二度寝

グースカ グースカするからやっぱり

俺スターが取りたい

スカンクとか要らない

ただrap micが欲しい

だから取りたいよ今年咲くと同じ


[MC松島]

いやいやいやいや 俺こそゴメン

俺も下手くそ 実力キミの方が上

名前呼ばれた瞬間に

湧き上がる歓声 キミの方が上

今まではそう これからはどう?

それは俺次第 わかるでしょ?

すべて逆転するぜ P-PONG

「ピーーーッ」ってなっちゃう心音


[P-PONG]

やっぱ好きだよ こんなのビート

オードロックするため

外すよオートロック

今日もドクッドクッ

心拍数上昇 みんなブルーな状況

でもやる 手を振る

言葉でテーブル

目の前なくても 手ぇ振る

言葉のケーブルつなぐ 全国各地

言葉で突く核心


[MC松島]

全国各地 つなぐケーブル

間違いないよ その通りだぜ

でもこのバトルじゃ媚びは売らない

コービー ホーベンよりもヤバい

俺のrap出てきたから勝負

決着は楽勝 つけちゃう

容赦 なんかしない

俺はマスター・ヨーダ よりもヤバい

フォースで勝つ力がある

概要

8小節4本
勝者: P-PONG

解説

UMB2009
神戸代表 P-PONG v.s. 北海道代表 MC松島
のバトルです。

当時からすでにキャリアも長い中堅MCのP-PONG対北海道を代表するMCの一人MC松島。対するP-PONGも相当なキャリアで、どちらもUMB2005には既に出場していた同士の対決です。

ちなみにMC松島、この当時は長髪+ヒゲの出で立ちであの妖しいrapをするのでちょっと不気味です(笑)

試合の序盤、まず先攻のP-PONGが「北海道のシーンはどんな感じなんですか?」と問いかけて話題を作り出していきましたが、それに対する松島のアンサーが「キミじゃ生き残れない」と即答していて、当時から口喧嘩の巧さが伺えますね。ここはバトルの流れ的にも素晴らしい回答だと思いますし、こういう松島は好きです。

一方のP-PONGも「実力」という言葉を受けてすぐさま「ピストル」と切り返した上で、「銃」「野獣」など立ち上がりの瞬発力はさすがです。3バース目でも「下手くそでゴメン」「Rapやってまだ4、5年」とこちらも相手の言葉を受けた直後のアンサーになってます。

バース全体で見ると話題の横滑りがやや目立ちますが、アンサーまでのスプリント的なスタミナとボキャブラリーはこの当時かなり高い水準にいたのではないでしょうか。

そしてバトル中盤。この辺りから松島の毒が徐々に強まってきます。

「P-PONG “キンコン”で終わり」など、ウィットというか一捻り加えたdisをしてみたり、「気持ちはわかる」と歩み寄る態度から続けて「でも俺はそんなに頑張らなくてもキミなら殺せる」というラインで攻撃したり、いわゆる「バチバチ」な感じではありませんが、これぞ松島といった感じのユニークなチクリとくる言い回しで攻勢に出ています。

また、先ほどの「下手くそでゴメン」というP-PONGのラインに対しては「俺こそゴメン」「実力キミの方が上」というアンサーを展開。相手が謙虚に出ればこちらもそれを上回る勢いで下がりにいくという、少しあまのじゃくな戦い方ですが、それでもこうした展開で徐々に試合のペースをつかみ始めていました。

バースの最後には「すべて逆転するぜ」など最初の下げモードからすっかり文脈を転換していて、大きな話題の展開という点では主導権が松島にあったように思います。

終盤では、相手から出た言葉を軸として瞬発力とライミングスキルでどんどんさばいていくというP-PONGに対して、松島は話題やビートに対して安定感のあるrapを見せていく感じで進んでいきます。

松島の「心音」に対して「心拍数上昇」というワードを入れてきたり、よくよく見てみるとP-PONGの方も丁寧に展開していますね。バース全体のバランスやビートアプローチについても、決して外さずにそつなくこなしている感じです。

一方の松島。相手のrapに共感するアンサーをしつつも、「媚びは売らない」とスタイルは崩さずにあくまで話題の主導権を握っていく戦いをしています。

技巧的な部分では勝負にならないが故の作戦だと思いますが、それでもrapの形式の面で言うと、ビートがゆったりとしたものだけに、語中の音節や文の末尾を伸ばすクセのある松島のrapが妙にハマって聞こえます。

そしてラストには「フォース」のくだりまで一気呵成にrapしていて、緩急のあるrapながらも綺麗な着地を迎えました。これは双方に言えることですが、いずれのバースもラストのラインがかなり綺麗に締まっていて試合全体を通して綺麗に交互のバースが展開されていきました。

そんな感じでバトルが終了しますが、判定により勝者はP-PONG。文脈的にはかなり拮抗した展開となりましたが、rapの技巧的な側面、特にコンスタントなライミングの供給がポイント高かった感じですね。

※ じきにわかる キミにはまず

Kick The Can Crew / マルシェより引用。

※ 鐘は二つだけ

TV番組「NHKのど自慢」における評価システムで、最高評点に届かない点数。不合格を表す。

※ スカンク

英語のスラングで、人に対して侮蔑的に貶める意味で使われる。

※ マスター・ヨーダ

米映画「スターウォーズ」シリーズの登場人物。

[UMB2009] P-PONG v.s. MC松島” への3件のフィードバック

  1. 名無しのソナタ

    UMB2008の智大vsしろくまお願いします

  2. 戦極15章のmol53 vs ken the 390お願いします

コメントを残す

名前 *
メール *
サイト

CAPTCHA