紅桜 v.s. GIL
UMB2015 BEST32 岡山代表 紅桜 v.s. 福島代表 GIL
今回はUMB2015からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
UMB本戦常連と言える二人の対戦です。
どちらもキャラ立っていて、強烈な個性同士のぶつかり合いといった感じのバトルになってます。
[紅桜]
Yo 久しぶり オマエまた俺の目見てしゃべって来んだろ
二の次 パリコレクションみたいなこの道を楽勝 帰る時に言えよチクショー
クソ味噌混ぜんな 何がHipHop
オマエみたいな奴がいるから舐められんだな
カウントダウン 1,2,3 じゃなくて 3,2,1 baby
[GIL]
俺は絶え間なくオマエを見て放ってやろう
これならHipHop舐められねぇだろ?
Oh 誰に背を向けてんのか
悪ぃ 今日着いてくる背中はこっちの方角だ
こっちが本格派 オマエの生き様にも俺はリスペクトしてるがな
あいにく 今日この場所だけは俺が勝つ方がドラマになるみたいだ
[紅桜]
オマエに「オマエ」って言われんのは100年早ぇぜ
俺ぐらいになりゃ朝飯前 背中向けるのも勝ってから言えよコラ
Uh 下向きの牙 どう? 俺の味
Uh わびさび わかっってねぇんだろ
俺のピリッと辛さはまるでワサビ
ピリッと辛い 日本式
俺紅桜 言うことは無いね 最低
[GIL]
Oh 日本男児 ワサビの辛さ
ぐれぇなら俺軽く平らげてやるから
勝ってから見せる背中? じゃあ拝んどけ
これがオマエに見せる二回目の背中だ
Uhh こんな感覚
俺はいつでも戦場で火花散らす これも一つの生き方
何度も言うがリスペクト だが今日は俺のマイクが光っているぞ
概要
8小節2本
ビート: Evidence / All Said & Done feat. Kobe
勝者: GIL
解説
UMB2015 BEST32 岡山代表 GIL v.s. 福島代表 GIL
今回はUMB2015からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
紅桜とGIL、2013本選のBEST16と全く同様の組み合わせとなります。どちらもキャラの立ったMCで、スタイルは違えどこの組み合わせは毎度面白いです。
紅桜のrapは個性的で、時に歌うようなフローでサラりと怖いことを言ったりします。フローというよりは節回しと言った方がしっくりくるような感じでしょうか。
少しかすれた高い声色と相まって本当に独特で、一度聞いたら忘れない感じです。以前は岡山と言えばFEIDAWANの牙城という印象でしたが、ここのところは紅桜が代表となることも多くなしました。
一方のGILは2012本戦以来、4年連続の4回目の出場となります。東北福島をrepいており、近年の目覚ましい活躍により、東北地方では最も名の売れたMCの一人と言っていいでしょう。
過去二大会連続でチャンピオンのR-指定に負けていましたが、R不在の今回は優勝候補の一人に数えられるほど周囲からも期待されるMCではないかと思います。
それでは試合の内容を見ていきます。
紅桜は相変わらずのキャラクターで、入りの「久しぶり〜」もフローが完全に紅桜です。
本当に自分のリズムを持っているというか、彼以外マネのできない独特なrapをしている感じですね。
1バース目最後の「baby」の部分など、彼らしい余裕と愛嬌のある言い回しで、会場の空気を掴んでいたんではないかと思います。
対するGILもいつも通り自分の言葉を吐いていきます。この人に本当にブレないですね。
いつ誰とどんなビートで戦ってもしっかりと「GILのrap」になっています。
見方によっては単調で変化に乏しいという印象も与えかねませんが、自分のrapを維持した上で爆発した時のGILの強さは誰もが知るところで、R指定と2年連続で互角に近いバトルを展開してことからもわかります。
試合中、紅桜に対して「生き様はリスペクトしている」という発言がGILから出るのですが、自分を隠さず出してキャラクター全開な紅桜に対して何か通ずるものがあるのだと思います。
非常に面白い趣向の一戦でしたが、試合の結果は熱さで勝ったGILの勝利となりました。
それ以前の大会と比較した場合、本大会の勝敗、判定の傾向としては、技巧的なライミングやコンテクストを踏まえた当意即妙なアンサーよりもここぞという場面での叫び声やスピットといった、いわゆる「バイブス」に観衆が声を上げるという印象が個人的にはありますが、GILのrapがそんな傾向にややハマっていたことも勝因の一つではないかな、と思います。
なお、この試合の模様は公式のトレーラーでも一部チェックできます。こうして見ると面白い組み合わせや見応えのある試合も多いのでよければチェックしてみてくださいー