[Mr.Q]
今日未明 聞こえたお前の悲鳴
超機嫌悪ぃんだ ここで死ね yo
お前なんかマジでハッタリばっかり
あーかったりぃ
俺の方がヤベーってことを証明
お前なんかまだ少年
あと20年後にかかって来いよ
だから俺の方が スゴいぞ
[ミメイ]
Rapはスター級 でもMr.Qに
キャリア出されちゃそりゃ負ける
送るリスペクト 任天堂ならWii超え
一気にこっちにSwitchさせてやる
俺のやり方出そう
俺のこの8小節で Qさんがパッと消える
ヤバスギルスキルのパート11
[Mr.Q]
間違い無さすぎるヤバスギルスキル
持つ俺Qがmicrophone握る
韻踏むデンジャー 俺が蔓延さす
like a インフルエンザ
分かってんだろ? 戦極
俺が持ってく猛毒
俺がレペゼンラッパ我リヤ
全員ここであったまりな
[ミメイ]
Yo 間違いない お前のそのやり方
だが蔓延さすインフルエンザ
俺の方が巧く乗れるinstrumental
Yeah これはB級映画 みたいにちゃちな話じゃない
ライム踏むことがルーティーンワーク
ライマー 時代は移り変わる
概要
8小節2本
勝者: Mr.Q
解説
戦極MC BATTLE 第17章 1回戦 Mr.Q v.s. ミメイ
今回は戦極17章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。
ラッパ我リヤのQに対して新世代のミメイ。当然ライミング主体の撃ち合いになってて、面白い戦いです。
この試合は個人的にはQがシーンの最前線でまだまだ余裕で戦えてる存在感と、それに対してスキルで圧倒しにかかる若手のミメイという、遠慮会釈のないぶつかり合いみたいな構図が非常に楽しめました。
特に両者とも押韻のバトルスタイルながら、自身のルーティーンを程よく組み込みながらオーディエンスを巻き込む空気を作り出すQに対して、ミメイの方はライミングを交えながら高度に複雑で意味づけの際立ったラインを組み立てていて、その辺りの戦い方の違いも見ていて楽しめます。
お前なんかまだ少年 あと20年後にかかって来いよ
– Mr.Q
まずは先攻Qの先制攻撃で、ライミングで踏み固められたバースの中にも、しっかり相手や文脈を踏まえたラインを盛り込んでいきます。
この辺りの世代では、当時「フリースタイル」と言えば自分のルーティーンや手持ちのリリックをビートやその場の状況に合わせてに披瀝することを指したそうですが、そんな垣根を乗り越えて現代的なバトルの文脈でまっとうに戦ってることがもうすでに凄いと思います。
そして嬉しいのが「あのラッパ我リヤのQ」という、誰もが期待する当時のスタイルそのままのバイブス・クオリティでフリースタイルしている部分ではないかと思います。
Qのもつ異様な迫力に、シーンの勃興期そのままの雰囲気に、世代を超えたバトルの皮切りに、オーディエンスからの反応も思ってたよりずっと大きいものでした。
対する後攻のミメイ。「キャリア出されちゃそりゃ負ける」という入りから、Qへのリスペクトを言明していきます。
送るリスペクト 任天堂ならWii超え
一気にこっちにSwitchさせてやる
– ミメイ
続いてそんな流れの中でこちらのライン。「リスペクト」からの押韻で「任天堂」と繋げつつWii→Switchと綺麗に繋ぎます。
実はこの一節、Qのリリックの引用だったりします。初出はMuro / Chain Reactionに客演した際のバースですが、比較的最近にも同様のリリックがありますね。
1行に意味が何層も絡み合ったラインはこうしてじっくり聞いてみるとかなり面白いです。ただしその分、会場のオーディエンスが初見でどこまで肉薄できていたかはちょっと微妙なところではあります。
俺のこの8小節で Qさんがパッと消える
ヤバスギルスキルのパート11(イレブン)
– ミメイ
またミメイ、同バースで続けざまにこのライン。こちらも練りに練ったという感じで、ラッパ我リヤ連作の楽曲を引き合いに出しつつのライミングです。
ちなみに「ヤバスギルスキル」は現時点でパート10まであり、ミメイの言う「パート11」はそのさらに次、未来への予言的な意味合いで吐き出されたラインになってます。
ミメイ、本当に出来過ぎなほどに考え抜かれたラインが続きますが、何より凄いのがこれを相手へのアンサーとして当意即妙に組み込んでいる部分で、その瞬発力は凄まじいものがあります。
そして試合後半。ここまでくるともうライミングが前提のアンサー合戦になっていて、皆が期待していたであろうハードなインファイト、打ち合いへとシフトしていきます。
間違い無さすぎるヤバスギルスキル
持つ俺Qがmicrophone握る
– Mr.Q
先ほどのミメイのサンプリングに応える形でQからは同じくChain Reactionの引用。出ましたね。
これにも当然のように声が上がってます。ややお約束的な展開ですがやはり盛り上がります。
Qの方がお家芸とも呼ぶべきルーティーンを織り交ぜつつ、要所要所しっかり沸きどころを作っていくのに対して、ミメイが超人的な瞬発力とライミングスキルでことごとく打ち返していく感じで、その攻防は非常に見応えがあります。
ルーティーン、つまり誰もが知る「あのリリック」をバースに盛り込むことでオーディエンスを反応させるQに対して、誰も予想できないスキルフルな繋げ方でアテンションを集めるミメイ、と両者非常に好対照をなす戦いになっていました。
韻踏めてんじゃん?
俺が蔓延さすlike a インフルエンザ
– Mr.Q
だが蔓延さすインフルエンザ
俺の方が巧く乗れるinstrumental
– ミメイ
特に個人的にはこの「instrumental」の切り返しが瞬間的な反応速度も含めて凄いと思いました。「インフルエンザ」に対してゼロベースで母音を合わせようと思ったら、この流れの中では相当に難しいでしょう。
それゆえに、ミメイの基礎体力の高さと、それらを活かし切る瞬間的な切り返しのスムーズさが本当に際立っています。
「インフルエンザ」「instrumental」から「B級映画」というところまで繋げていて、Qとは異なる先鋭化されたライミングスキル、が余すところなくガッツリ披露されていた感じでした。
結果的にそれまでのプロップスやその場のバイブスなど、様々な要素も手伝って、試合はQが制します。
ミメイはもう一つ踏み込んだポイントがあれば、といった感じでしょうか。クオリティもめちゃくちゃ高く、手数とウィットでは圧倒していたものの、短い尺ではいま一つ崩せずといった印象でした。
個人的にこのマッチアップは非常に楽しめました。惜しくも及ばなかったミメイでしたが、そのパフォーマンスは素晴らしかったです。この試合は組み合わせも展開も、戦極ならではという感じで本当に面白い一戦でした。
いつも見てます!試合結果やリリックが書いてあってうれしいです!写楽対ニガリのが見てみたいなあと思いました。
> モノトーンコーデ さん
コメントありがとうございます!
また、リクエストもありがとうございます、近日書いていきたいと思いますー!
韻踏めてんじゃん→韻踏むDanger
だと思いました。間違ってたらすいません。
> S さん
コメントありがとうございます!
該当の箇所、訂正させてもらいました!