CIMA v.s. mol53
UMB2017 TCIY FINAL CIMA v.s. mol53 延長
今回はUMB2017 THE CHOICE IS YOURSからこちら。決勝の延長戦をピックアップします。
ちなみに延長前の試合は以下からご覧ください。
[CIMA]
見た目はガイコツ
骨があるMCかどうか今ここで判定
させてやる お前は反省
むしろ ANTITHESIS? 関係ねぇぜ
俺の出番でhead bang
鉄板焼きで焼き入れる
滋賀住んどんやろ?
滋賀 知らへん 滋賀県 帰れ
島根 行ける 俺がCIMAです
[mol53]
どこに行っても俺はラッパー
この言葉を吐き続けてきた
何年前? そんな話じゃねぇ
今現在 ここで証明
オマエに否定される筋合いねぇ
オマエはアルバム1枚も出てねぇ
自分のマイクで握ってみな
ハァ? one mic あんまりなめんな
[CIMA]
BOIL RHYMEは2MC
2MCsじゃないんだよ
HipHop知ってるんやろ?
醍醐味 `2MC 1DJ`, yo
オマエとは違う
友達いないからソロ? って思っちまうよ
オマエのhood ナイスはナイス
だけどもパンチライン サプライズ
[mol53]
俺は馴れ合いが嫌いだから
仲間を遠ざけてきた 一人で立った
だけど一匹狼じゃねぇんだ
ここまで仲間の支えがあった
これは嘘つかず 俺は言う
もうパクられても明日がねぇかもしれねぇ
マイクを握って言いてぇこと吐くだけ
オマエにゃ分からねぇ
[CIMA]
オマエがパクられて
戦極で一番はじめにLIVEしたのは俺らだ
敬意を表せよ 仲間をリスペクトするんだろ?
オマエの下手打ちだろ
おい ドラッグ吸うなら捕まんな
草吸っても捕まんな
俺は腹からこれを捧げてる
地元のホーミーも一緒
Still one love
[mol53]
俺が嫌いだった大人と一緒だな
上から目線であーだこーだ マジでうるせぇな
パクられたからなんだ?
オマエもリスク背負ってんだろうが
その言葉二度と吐くな
Yo パクられても仲間のおかげでREVIVAL
俺の1枚目のアルバムがきいてる
そしてANTITHESIS 2枚目でトドメをさす
Avex 処刑と化す
[CIMA]
黙れ なにがREVIVAL?
俺がここらでリサイタル
磨いたる このスキルとスリル
オマエじゃ小学生レベル
まるで高校野球なら強豪
わかる? いつもつなぐこのロード
オマエのロードはオフロード
わかるか? もっとちょうだいよ応答
[mol53]
これはまるでBlack Moon サンプリング
俺も兵庫 saboを愛してる
これは嘘つかず 仲間を背負う
オマエのためにも俺はしゃべる
だから言う 草を吸ってるヤツとか
ドラッグ マネーとか 興味ねぇ halla
そんなウワサにゃ 流されんな
マイクを愛した 本当のことだ
概要
8小節4本
勝者: mol53
解説
UMB2017 TCIY FINAL CIMA v.s. mol53 延長
今回はUMB2017 THE CHOICE IS YOURSからこちらのバトルをピックアップします。
大会の決勝、延長戦になります。mol53とCIMAという最高のマッチアップで、延長前はスタイルとスタイル、本音と本音がぶつかり合う白熱した展開になっていましたが、決着はつかずこの延長へと続いていきます。
UMB2017 TCIY FINAL CIMA v.s. mol53
引き続きこの延長戦も熱いです。そして内容的にもレベルの高いやりとりが続きます。
それでは見ていきましょう。
この試合、最後ということでどちらも即興で分かりやすいメッセージ・主張を飛ばし合っていく展開になっていて、内容面での核心やアンサーの強度が試合の決め手になるようなバトルでした。
特にmol53の方は先攻のCIMAと比較しても分かりやすいほどにアンサーシフトのスタイルになっていて、ビートアプローチを抑えた分だけ、言葉に込もる熱は高いです。
させてやる お前は反省
むしろ ANTITHESIS? 関係ねぇぜ
– CIMA
オマエに否定される筋合いねぇ
オマエはアルバム1枚も出てねぇ 自分のマイクで握ってみな
– mol53
まずは1バース目の攻防から。「ANTITHESIS」というのはmol53がリリースした音源のタイトルで、煽っていくCIMAに対してmol53が器用にカウンターで切り返してます。巧い。
そしてここから連綿とアンサーの応酬が続くんですが、「one mic」と提示したmol53に対して「BOIL RHYMEは2MC」というCIMAの反撃もまた素晴らしいですね。
オマエとは違う
友達いないからソロ? って思っちまうよ
– CIMA
俺は馴れ合いが嫌いだから
仲間を遠ざけてきた 一人で立った
だけど一匹狼じゃねぇんだ
ここまで仲間の支えがあった
– mol53
続くこちらもそんな流れの中でのやり取りで、これまた嘲るCIMAに対してmol53が真っ向から返す形になってます。
この「仲間を遠ざけ〜」の辺りはTHE BLUE HERBからの引用と思われますが、「友達いないから」とのdisに対応する綺麗なカウンターパートになっていて、サンプルのタイミングとしてはバッチリです。
もうパクられても明日がねぇかもしれねぇ
マイクを握って言いてぇこと吐くだけ
– mol53
オマエがパクられて戦極で一番はじめにLIVEしたのは俺らだ
敬意を表せよ 仲間をリスペクトするんだろ?
– CIMA
そしてこちらはCIMAの反撃です。
mol53の真に迫る主張に対して、CIMAもまたリアルな返答で見事な切り返しを見せてます。相手の言葉を使いつつ威力を倍にして打ち返しているような感じですね。
その後も「オマエの下手打ちだろ」、「草吸っても捕まんな」など、非常に手厳しい攻め手が続きます。
これに対してはmol53も「パクられたからなんだ?オマエもリスク背負ってんだろうが」と反論しますが、アンサーの妙味という意味ではややCIMAに分がありそうです。
パクられても仲間のおかげでREVIVAL
俺の1枚目のアルバムがきいてる
そしてANTITHESIS 2枚目でトドメをさす
– mol53
そこから転じてこちらのライン。自身の音源のタイトルを絡めて綺麗にまとめている内容になってます。
ちなみにこちらがREVIVAL。レーベルは戦極CAICA。
そしてこちらがANTITHESISですね。
ここまでくるともう両者の戦い方はかなり対照的を成していて、mol53がメッセージングに全力を傾けている一方で、CIMAは相手とアンサーのやり取りをしつつも器用にライミングやフローも混ぜながらバランスの取れたrapをしている印象でした。
両者とも即興性の高い内容で、瞬間瞬間で言うべきことをしっかり選び取っていくという前提があり、その上でスタイルウォーズしてるわけですね。それも大きな大会の決勝、延長戦ということで、バトルとしては申し分のない展開だったと思います。
これは嘘つかず 仲間を背負う
オマエのためにも俺はしゃべる
– mol53
そんなウワサにゃ 流されんな
マイクを愛した 本当のことだ
– mol53
そんな中でこちらは後攻mol53の最後のバースですが、かなり気持ちが入っていることが見て取れますね。
普段から熱っぽくrapするシーンは往々にしてあったわけですが、決勝で相手がCIMAというシチュエーションも手伝ってか、かなりストレートな表現をそのまま言葉にしているような感じがしますね。
そしてこの延長戦を制したのはそのmol53でした。rapの技巧という意味ではCIMAが安定していたのですが、とにかくこの試合のmol53は一語一語に気持ちが入っていて、そのバイブスが一つの勝因ではないかと思います。
ビートアプローチのスキルが抜群に評価されているmol53ですが、今回はそうした「最大の武器」を一切捨てており、アンサー・メッセージに全力を注いで勝利を掴み取った格好となりました。
実力やプロップスによって選び抜かれたMCが集結した今大会でしたが、結果はmol53の優勝ということになりました。
さすがに厳選された試合ばかりで、スキップしたくなる対戦が一つもないのがこのUMB2016 春選抜の特筆すべき点ではないかと思います。JAKE対輪入道をはじめ、ベストバウトも多数ありました。一度は観るべき大会だと思います。
今更ですが、最後のバースデー 兵庫のサモではなく、兵庫のsaboではないでしょうか?
HIPHOPの服飾店のことだと思います
ご指摘ありがとうございます!
正直全然わからなかったところなので、たぶんおっしゃってる内容で合ってるのだと思います!
感謝です、訂正させてもらいました。