NAIKA MC v.s. 句潤
UMB2016 BEST8 群馬代表 NAIKA MC v.s. 神奈川代表 句潤
今回はUMB2016からこちらの一戦を紹介します。BEST8のNAIKA・句潤戦です。
[NAIKA MC]
WATARAIのビートの上でrap?
そんなの昔から想像したこと無かった
現実は やっぱり自分次第で変えれる?
足を一歩出し ビビってる場合じゃねぇ
DDS かっこいいこと言ってくれんじゃねぇか
俺もタイマンが大好きだぜ
タイマン いや体感 いやこれは心と心の対談
フリースタイルサイファー
よりもバトル word up
[句潤]
Hands up サイファー
俺はここでrapかましたんじゃないか
もうNAIKAは hands up そしてどう?
背中にあるもん俺も背負ってるよ
タイマン タイマンって言ったところでも
マイク 会話 がしたいんだ
Yeah 遊ぼうぜもっと しゃべるだけじゃ
bootyが音に変わってくだけ
[NAIKA MC]
オマエのその手には乗らない
俺は俺のスタンスだよ これが一つの対話だろ?
スタイルウォーズ一切ひっくり返さない
客が上がろうと上がるまいと俺とオマエだけの時間だな
こんなこと滅多にねぇしな
なぁオマエと戦うのは二度目 忘れちゃいねぇ
今日は俺の意思とスタンスを突き通さしてもらうぜ
石ころのように転がりローリングストーンとして生きるぜ
[句潤]
俺も生きる ために一途にrapスキル
力溜めて成功を尽きる
俺も生きる 24 to the 7
俺はここでオマエを連れてく go to the heaven
Yeah 俺はここで何を提示してく
正面 レペゼン 横浜背負った
背負ったナンバー 1984 黄色い男
でもオマエとオマエの男と男の子
[NAIKA MC]
俺も男と男の子
そして女の子の親父なワケです
Go to heavenするワケにはまだいかねぇ
オマエだけ天国に行ってくれよ
俺はこの地獄と天国の間でまだ生き残るぜ
それぐらいのフリースタイルを見せなきゃいけねぇ
言葉一つ一つに重みがあるぜ
1982で83世代 84 学年じゃ一個上
だけど同世代だろ? なにかもうちょいくれ
[句潤]
同世代だろ? 同世代だよ
microphone 握りしめる
俺はあの頃の気持ちも忘れねぇ
心と心 いつも通り熱い
オマエの手のひらには踊らねぇ
俺はダンス マリオネットでもねぇ
Yo そういう話 心と対話
点と点 線と線
つながり合い 混じり合う この剣とペン
でオマエを刺しに来ただけ
俺は行ってやるんだ
オマエを連れてく天国へ
[NAIKA MC]
だから行かねぇっつってんだろ天国は
しつけぇな キャッチかおめーは
…そんなことねぇよな?
わかってる わかってる
ギャグにしたくねぇんだろ?
でも句潤 覚えておいてくれNAIKA MC
目を見てしゃべろうぜ
ギャグでも フリースタイルでも
ハゲたオッサンでも くまだまさしでもなんでもいい
大丈夫だ microphone
NAIKA MC check 1,2
俺のスタンス 提示
おいそこ見ずここ見なよ
[句潤]
「このバトルがヤバい」 やっぱ思ったヤツ
Put your hands in the air
遊び足らねぇ ファット目パッとしねぇヤツとっとと去っとけ oh yeah
Yeah やり合おうぜって言っても
オマエずっと変わんねぇから
俺なんかもう なんか困難なんです
オマエの相手 マジで嫌だ
音楽 通して 俺は繋がる
NAIKAはNGだな
概要
8小節4本
ビート: 東京弐拾伍時 / Time Check
勝者: NAIKA MC
解説
UMB2016 BEST8 群馬代表 NAIKA MC v.s. 神奈川代表 句潤
今回はUMB2016からこちらの一戦を紹介します。NAIKA対句潤、非常に面白いバトルです。
それとやはりビートはWATARAIだけあってかなりイイです。シリアスかつ熱い雰囲気でドラマを感じるチョイスなのでややNAIKA向きかもしれません。
先攻はそのNAIKA MC。やはりビートとの相性が非常によく、出すメッセージの一文一文がバチッとハマってます。
LIVEアクトを務めたDDSを引用したりと、自らを奮い立たせる内省的なラインを駆使してこのバトルにかかるドラマ性を強調していくメッセージを吐き出していきます。
対して後攻の句潤。こちらもビートをみて「背中にあるもん俺も背負ってるよ」とこちらもメッセージングにシフトした内容で、リズムキープはしつつ淡々としたフローですが、ややNAIKAにすり寄った手法でバース展開していきます。
ビートや相手を見て戦い方を選び取るこうしたセンスや柔軟性も句潤の強さのひとつですね。各小節を目一杯に使って一語一語じっくり聞かせる内容です。
そしてここから二人の対話が展開されていく訳なのですが、スタイルの差を超えてこれがもうしっかりと熱戦へと発展していきます。
例えば2バース目は「タイマンよりも会話がしたい」という句潤に対して、「オマエのその手には乗らない」と突っぱねるNAIKA。戦い方を誤れば一瞬で勝ちをさらわれる相手だけに「俺は俺のスタンス」とやり取りの主導権を離しません。
そうした心境がストレートに表れているのが「今日は俺の意思とスタンスを突き通さしてもらうぜ」とのラインで、愚直に思いの丈をぶつけていくスタンスがrapとして完全な形で表現されている感じです。こういったキャラクターや人間性に絡んだ特性も支持を集める要因のひとつなのだと思います。
また、それに対する句潤も珍しく熱いバースをスピットしていくのですが、個人的目に止まったのは「24 to the 7」「go to the heaven」の部分で、音が似たイディオム同士の韻ではありますが、句潤の口から不意に出たやや長文のライミングに思わずおお、と唸りました。あえてタイミングをずらしたフローをしていて、ベタさを感じさせない点もよかったですね。
続くNAIKAは「オマエだけ天国に行ってくれよ」とここでも句潤からはやや距離を取った内容になるのですが、後述しますがこちらの部分はあとに続くピークへの前フリになっています。
そして句潤。「俺はあの頃の気持ちも忘れねぇ」とNAIKAに触発されてか、熱の込もったメッセージが目立ちます。フローもライミングもかなりオーソドックスなスタイルで、句潤にしてはかなり珍しいかもしれません。
それほどまでに内容面・メッセージの対話にリソースを割いているというこでしょうか。このバトルの句潤は終始そんな感じでしたが、後半にいくにつれその傾向は顕著に見えてきました。
そしていよいよ4バース目。前のバースで「オマエを連れてく天国へ」と重ねた句潤に対してNAIKAが「しつけぇな キャッチかおめーは!」と声を荒げます。
はい、出ました。ここがこの試合のハイライトです。
対話の内容から鋭く揚げ足取りをすると同時にお笑いのツッコミさながらの切れ味のあるアンサーで切り返し、一気に試合の流れを引き寄せます。感心すると同時にここは本当に笑いました。
同じ世代でそれまで同じく不遇をかこっていた者同士、熱いメッセージを交わし合うやり取りをしていた流れでしたが、そんな中で出た起死回生のパンチラインだと思います。
句潤の方は抜群のビートアプローチと緩急自在のフローという武器を活かすタイミングを狙っていましたが、NAIKAの方は流れを一挙に変え、相手をねじ伏せるパンチライン一発を狙っていた感じでしょうか。それが見事にハマった瞬間です。
その後「わかってる ギャグにしたくねぇんだろ?」とすぐさまフォローを入れてはいましたが、これがNAIKA本来のカラー、本来の戦い方と見るべきでしょう。一撃で自分のフィールドへ相手を引きこんだ様は見事の一言です。
それが証拠に後攻句潤は技巧的なフロー・ビートアプローチで盛り返そうとするも及ばず、「オマエの相手 マジで嫌だ」と少々あきらめムードでした。こうまで勢いに乗られてはもう残り数小節で流れを変えることも難しく、それが最後のバースでは少々表に出てしまっていた感じです。
そんなワケで勝者はNAIKA MC。途中までは両者かなり拮抗した試合展開を見せていましたが、最後のバースで一気に流れが傾いていました。
句潤と適度に距離をとり、必要以上に寄せ付けずにスキを見て一気にかっさらっていったNAIKAの巧妙な試合運びが第一の勝因になったと思いますが、私の見た限りではそれ以外にもやはりビートの相性、また対戦相手との相性も少なからず影響していたように感じました。
句潤にとってNAIKA MCは相性の非常によろしくない相手だということなのだと思います。
それにしてもこの一戦は面白さは大会全試合中でも指折りで、スタイルウォーズでありながら同じテーマで熱のあるメッセージをぶつけ合うという見応えのあるバトルだと思います。
そしてなによりNAIKAのあのライン。個人的にはUMB史上に残る屈指の一撃だったと思います。もしかしたらバトル界隈の誰かの音源で引用されることもあるかもしれませんね(笑)
※ DDS
沖縄出身のMCで、UMB2010ファイナリスト。今大会ではLIVEアクトで出演。
NAIKA MC 強いですね笑
句潤もかっこい良かった!
ヤングたかじん vs MAC-Tの試合をお願いします。
> 無 さん
コメントありがとうございます!この試合は双方とも良いパフォーマンスしてましたよね。
また、リクエストも承知しましたー!