[戦極MC 第6章] 磯友 v.s. 黄猿

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磯友 v.s. 黄猿

戦極MC BATTLE 第6章 磯友 v.s. 黄猿

今回は戦極第6章からこちらの一戦。磯友対黄猿のバトルを取り上げたいと思います。

[磯友]

思い出すぜ 何年前かな

オマエが最前列で観てくれたNight Garden

あの頃最近すげー思い出すんだよ

あの頃はあの頃で良かったなぁなんてさ

あれがあれでよかったか

今が今でどうだとか そんなんじゃねぇけどさ

まぁそれが俺の1バース目だよ 黄猿

調子どうだよ? 調子良さそうじゃねぇかよ


[黄猿]

調子 どんどん上げてく長身

長針と短針 進むイメージ 時間

まぁ 時間とともに

足治りながらrapは進んでくだけ

それしか出来ない 適当に毛嫌い

そいつは嫌だな 適当にギャンブル

まぁ俺たちは街中歩くだけキャラバン

そうやってやる オマエをぶち込む墓場


[磯友]

わかった 墓場 わかった

仲間 とかじゃなくてまたするぜ骨折

ドッペルゲンガー また見るぜ なんて言っちゃう

この前 俺もしたぜねんざ

お客さん黄猿より俺に put your hands up

なんて言っちゃう

楽しもうぜ黄猿 いいビートじゃん


[黄猿]

Eiyo ねんざ

俺は稼ぎたいだけだ 5万 そういう原価

そこでやる どこまででも限界

始まるだけだこの口ゲンカ

それでやるどこまで具現化

しながら遊ぶだけだぜ

変化する時代 どこまで付き合う

己のスタイルぶつけるだけさ


[磯友]

そうだなー スキルも諸々含めて

時代は変化する だから口ゲンカする

それをスルーするやつは面白みがねぇ

あー そういうワックなMCは今年も要らねぇ

韻だけがどうこうとか

あー rapで ビートに乗せるだけの方がよっぽど楽なんじゃねぇかなって思っちまうぜ


[黄猿]

Hey yo 要らねぇ 今年だけ

つけてくだけ 返済 落とし前

そうやってやる いつもモロ

すべて ぶつけるだけ

どこまででも偶然

韻とかライム すべてが大事

含めてやるだけ スタイル 前に

進むために 歩くだけstep まぁ

rapは決して止まらねぇぜ

概要

8小節2本
勝者: 黄猿

解説

戦極MC BATTLE 第6章 磯友 v.s. 黄猿

今回は戦極第6章からこちらの一戦を取り上げたいと思います。

第6章が行われたのが2013年の4月ですが、どちらも戦慄MC BATTLE(戦極の前進となった大会)時代から活躍している同士で、戦極でもトップレイヤーに属するMCと言っていいかと思います。

まず先攻は磯友。「あの頃はあの頃で良かったなぁ」と昔語りからのスタートで、磯友らしいと言えばらしい出だしとなりました。

磯友のrapには一切飾りがなく、ただただ溢れ出てくる心情の吐露をrapという所定の形式にフォーマットして吐き出している感じがします。

対して後攻の黄猿。「調子どうだよ?」という磯友の問いかけに対して「調子」から「長針と短針」「時間(が進む)」「足治りながら」と目まぐるしくテーマが動いていきます。

いつものフローでビートアプローチも調子がよく、聞いていて気持ちのいいrapになっていて、特にバース中盤の「キャラバン」の辺りはピークの作り方が非常に巧いです。

正真正銘のトップオブザヘッドでrapするMCは個人的にはいくつかのタイプに別れると思っていますが、その中で磯友は主張したいメッセージや話題の展開をまず先行して考え、アウトプットの段階でビートキープやライミングを後から意識していくようなタイプではないかと思います。

一方で、まずライミングやrapの完成系が最初にあり、内容の方を形式に合わせていく経過をとるタイプのMCもいると思いますが、意外と黄猿がこのパターンではないかと思っています。

磯友はライミングに関してもどちらかと言えば踏む方ではあるのですが、この試合を見る限りでもそれほど強く拘泥しているようには見えませんよね。

逆に黄猿は2小節/4小節単位で見た時に、ピークとなる後半のラインの効果を最大化させるような調整をかけているのが分かります。構成を計算した上で個々のワーディングを選びとっている感じでしょうか。

フロー・ライミングの二元論ではなく、内容先行・形式先行の二分法で見ればこの両者の違いは比較的分かりやすいんじゃないかと思います。こういうのもスタイルの違いってやつですね。

続いて2バース目。磯友最初のライン「わかった 墓場 わかった」というものですが、これは無理にアンサーしようとせず、黄猿のバースをじっくり咀嚼しているがために出ている反応という感じです。

これが黄猿なら簡単なライミングをつなぐか、またはそれが間に合いそうになければひとまず「墓場」と繰り返していたことでしょう。ピークとなる後半の小節で着地できればいいので、それで問題ないわけです。

磯友がそうした「クッション」を挟まないのは、1ライン1ラインの意味上の位置づけを重視しているからではないかと考えます。

とはいえその直後にライミングに転じていて、骨折ネタなどしっかりと状況に即した切り返しを見せている点はさすがですね。巧いです。
(今大会、黄猿は足のケガをおしての出場で、松葉杖を手にしつつパフォーマンスしていました)

また、ラストに「楽しもうぜ黄猿」と言っている通り、それでいながら変に力まずに自然体なコンディションでrapしていることがよく伝わってきます。

対して黄猿は小節ごと短いライミングで対応。冒頭の「ねんざ」から終盤の「変化」まで同じ韻が続きますが、小節の切り方に変化をつけて単調にさせていない点は技巧的です。

ここまでで両者変に気張らず緩まず、ほどよい緊張感でメッセージをやり取りしていて、とても見応えがあります。磯友にしても黄猿にしても、ややメロウなビートに雰囲気バッチリあってますね。それぞれの乗り方で消化できている感じです。

そしてラストのバース。「時代は変化する」と前のラインを受け、ここで先攻磯友のトーンがやや強まります。普通の会話で相槌を打つように「そうだなー」と入っていくのですが、この感じが磯友らしいですね。

続くラインから「だから口ゲンカする」と押韻でスムーズにつないでいるので決して逸脱した印象はなく、全体としてビートアプローチにメリハリが生まれている感じです。

また、内容面でも磨きがかかっていて、シーンの変化に反応/対応しようとしないMCを腐していく内容になっているのですが、そのメッセージの落とし方が非常にスムーズで、話題の経過や前後関係含めて完璧に整合しています。

個人的にはこの最後のバースでキレイにピークアウトしていった磯友のパフォーマンスはかなりポイント高いです。

対して黄猿。こちらもブレずに持ち前のフローに落とし込んで対話を継続しますが、等速でじっくりラインを重ねていくのですが、ところどころ微妙言葉を切ったり抜いたりして、ビートキープできる範囲で工夫されています。柔軟かつ多彩にリズムを動かしていて、それがしっかり上手くハマってます。

また、ラストは「rapは決して止まらねぇぜ」と、単純なメッセージングにスイッチして着地するのですが、これもスムーズに決まっていました。rapのクオリティという意味で言うと、この試合の黄猿は総じて完成度が高かったです。こちらも素晴らしいですね。

そんな感じのバトルでしたが、判定は黄猿の勝利となりました。この一戦はどちらも素晴らしく甲乙つけがたい感じでしたが、耳に残るという点では黄猿の技巧的なフローがやや有利に働いた感じではないかと思います。

じっくり観るとスタイルウォーズらしい展開を見せていて、かなり見応えある試合ではないでしょうか。個人的に好きな一戦です。

※ Night Garden

かつて磯友が所属していたクルー、NOMAD THE SEXGARDEN主催のイベント。

[戦極MC 第6章] 磯友 v.s. 黄猿” への4件のフィードバック

  1. 勝者KBDになってますよ

  2. チョイスイズユアーズの歌詞乗せれますか?
    GIL対ふぁんく BASE対句潤 MOL53対CIMA
    が見たいです

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